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#5どうもありがとう

なんか完結するみたいなタイトルですが、まだまだ続きます。


次の日も森の中を歩き詰めだった。

というかこれだけ歩いても一向に出口が見えないとかこの森でかすぎない……?


歩いている間に二人はいろんなことを教えてくれた。

貴族に捨てられたショックで記憶をなくしている(ということになった)あたしに同情してくれているみたい。

……この二人なんだか憎めないのよね。


二人によるとこの森は【シンレイ王国】という国の東側にあること。

この森には魔獣と呼ばれている生き物たちがいて、その魔獣たちは女性しか襲わないこと。


「女性しか……ってもしかして男性に魔力がないことと関係があるの?」


「そうだぜ。魔獣どもは魔力を奪って生きてるからな。魔力のない男を襲ったって意味がないのさ。」


「マシノキは例外だがな。あれは生き物を道に迷わせることで疲労させ、そいつの生気を奪う。ただ、あいつのセンサーには魔力しか反応しないから、魔力のないおれらには害はない。」


ヘイグの説明を引き継いでシャガルが話す。

この二人いつもこの順番で話すわね。


「ふ~ん…だから襲われなかったのね…。でも、魔力が女性にしかないなら男性には何もないの?」


「俺ら男には法力があるぜ。」


「ほうりき?」


聞きなれないことばに首を傾ける。


「魔力と対をなす力だよ。女は魔力を、男は法力を持って生まれてくる。」


「お前にもあるはずだぜ。」


ふむ、あたし異世界の人間だけど法力とやらはあるのかしらね。

っていうか魔力がないのに何で襲われたのかしら……?


――――――――――――――――――――――――


そんな話をしながら森を歩いていると前の方が少し騒がしくなっているのに気付いた。

これはもしかして…!


「もうすぐ町につくぜ!」


ようやくね!!


「お前も売られる覚悟をしておけよ。」


あ、そうだったわ…すっかり忘れてたけどあたしこの後奴隷にされるんだった…

…まぁ、この二人には命を救ってもらったわけだし、あたしを売ったお金でこの人たちが生活できるなら少しは恩返しになるかしらね。


…あたしいくらで売れるのかしら…

めちゃくちゃ安かったりしたらいやなんだけど……


――――――――――――――――――――――――


「珍しい髪と目の色だね。華奢だがそれなりに顔も整ってる。こいつなら……金貨五枚ってところでどうだい?」


それが奴隷商人のババ、…女性のあたしに対する評価だった。

ヘイグとシャガルが喜んでるところを見ると高かったってことでいいのかしら。

……この二人とはこれでお別れでしょうしお礼を言っておかなくちゃね。


「ヘイグさん、シャガルさん、助けてくれてどうもありがとう。」


そう伝えると、二人は驚いた顔をした。


「お前さん、自分が売られたってことわかってるのか?」


「奴隷に売られて礼を言ってくる奴は初めてだな。」


最後まで話す順番は変わらなかったわね。

そう思いながら頭を下げた。


「そんじゃな!」


「死ぬなよ。」


再び頭を上げたときには二人は部屋からいなくなっていた。


……後ろで奴隷商人のバ、…お婆さんがぽつりとつぶやいた。


「まぁ、あんたは大金貨二枚で買っても惜しくはなかったけどねぇ。」


……………………あの二人、このババアに完全にカモられてるじゃない……。

大金貨が何かは知らないけど、口ぶりからしてもっと高かったってことよね?

……あの二人、こんな風に騙されていてよく生活できてるわね。

そんなことを考えていると、


「とりあえずあんたの素性を確かめないとだねぇ。奥の部屋に来な。」


とババアに声を掛けられる。

そうだった。あたしは人の生活なんか気にしている場合じゃない。 

この先どうなるか一番わからないのはあたしの方なのだ。


ヘイグのスペルはHAGEです。

スキンヘッドですしね

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