#2気になる木
木の説明だけで物語が終わるんじゃないかという気持ちになりますね
「……またこの木…」
辺りを探索し始めたあたしは疲労困憊になっていた。
今私が見ているのはかなり特徴的な木だった。
平たく言うならばマングローブのような形。大きな幹を支えるように細い幹が地面に向かって伸びている。
でも大きさは地球のそれの比じゃない。
支柱のようにも見える幹はそれぞれ人の体ぐらいの大きさがある。
これだけ大きな木なら周りの動物がねぐらにしてもおかしくなさそうなものなのに、なぜかこの木の周りは不自然なほど開けていて周りにいる動物たちも近寄らないみたいだった。
まあ、ほかの動物が来ないなら寝込みを襲われることもないと思ったあたしは最悪ここで一晩を過ごそうと目印をつけていた。
…それが大体3時間くらい前のことだったかしら。
最悪ここに戻ってくると決めていたとはいえあたしの第一目標は人もしくは人里に出会うこと。
だからこの木に戻ってこれるように目印を残しつつもまずはあたりをいろいろ見てみることにしたの。
するとしばらくしてこの木の根元に戻ってきてしまった。
この木に戻ってくるように動いたつもりはなかったけれど、どこかで方向感覚が狂ったのかもしれない。
そう思ったあたしは今度はこの木から離れるようにできるだけまっすぐ進んでみた。
…結果は一回目と同じ。またこの木の根元に戻ってきた。
さすがにおかしいと思ってこの木を離れるように動いてみたけどどうやってもこの木の根元に戻ってきてしまう…
まるでこの木に誘われているみたいに…
「そんな馬鹿なことあるわけないわよね。……しょうがない、もう暗くなって来たし今日はこの木の根元で寝かせてもらいましょう。」
いやな考えを振り払うようにわざと明るく声を出したあたしは木の根元で横になった。
おなかも空いているけど、結局何を食べたらいいかもわからなかったあたしはとりあえず眠って体力を回復させることにした。
「明日は食べ物を探さないとよね…なんだっけ、一口かじって何分待つとかそんな感じのことしてみましょうか…」
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「ん……んぅ…?」
なんだかとてもだるい気持ちで目が覚めた。
何よ、疲れて気持ちよく寝てたのに。
軽い苛立ちを覚えながら目をこすろうとすると右手が動かなかった。
「……?」
どこかに引っかかったのかと右手に視線を送ると
肘から先が――――――――木に埋まりかけていた。
「っっいっっやぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!??」
反射的に右腕を力任せに引き寄せると意外にもあっさりと拘束は解かれた。
けれど、右腕に寄生するかのように何本も細いツタがまとわりついていた。
半狂乱になりながらその場から走って逃げだす。
しかし、足に力が入らずすぐに転んでしまった。まるで何かに力を吸い取られてしまったみたい…
自分の体ではないかのような倦怠感に起き上がることもできなくなっていた。
次第に意識も薄れ始める。
朦朧としてきた頭で何となく理解した。
あぁ、そっか。この木はこうやって他者を栄養分にして成長するのね…
だから森の生き物たちが近づかないんだわ…
いまさらそんなことが分かったところで何になるわけでもない。
あたしはきっとこの木の養分になって死ぬんだろう。
「あぁ、、最後はイケメンの腕の中で死にたかった…」
薄れていく意識のなかで最後に聞こえたものは何かの足音だった。
イケメンの腕に抱かれて死にたかった…はオカマ系キャラのテンプレですよね