#15やっと現れた
次の日あたしはキースさんに連れられて神殿に来ていた。
なんでもあたしの法力量を調べるらしい。
あたしみたいなカクサレは基本的に法力や魔力の量が多いのだそう。
前にババアから聞いた話にもあったけど自分の法力量に合わずに術を使おうとすると暴発してしまう。
そうなった場合、カクサレの魔力・法力量だと被害が甚大になることも少なくないんだとか。
…あたしそんな力持ってないと思うけどなぁ…。
「それでは松村様、こちらへ。」
司祭の人に声を掛けられ彼の前に立つ。
なんかちょっと緊張してきたわ。
司祭さんがあたしのおでこに手をかざして何かの呪文を唱え始める。
「―――神の名において彼の者の力をここに示さん。」
司祭さんの手が光ったかと思うと、その光があたしの中に入っていった。
この後、あたしの力の量に応じてこの光が色を変えるらしい。
法力の場合は力が低い順に黄緑・群青・青へと変わっていくらしい。
魔力の場合は黄橙・橙・赤の順になるのだそう。
群青辺りの色が来てくれるといいなぁ…。
力が強すぎて期待されるのも嫌だし。
そんなことを考えていると、先ほどあたしの体に入っていった光が出てきた。
そして徐々にその色を変え…………変え…?
「…あの、色変わらないみたいなんですけど…?」
えっ失敗?そんなことある?
そう思いながら司祭さんの方を見るとめちゃくちゃ驚いた顔をしていた。
あ~やっぱりこれは失敗かしらね?…にしても失敗したぐらいでそんなに驚くことないと思うけど。
「し、少々お待ちください…。」
そういうと司祭さんは急いで何処かへ行ってしまった。
…なんかさっきまで緊張してたのに拍子抜けしちゃったわね。
とりあえずこのまま待ってればいいのかしら。
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しばらく待っていると、先ほどの司祭さんが女性の司祭の人を連れて戻ってきた。
今度はこの人が測定をしてくれるらしい。
あれ、でも法力の測定は男性の司祭が行うって言ってた気がするけど…?
まぁ、よくわからないしお任せしましょう。
そして女性の司祭さんがまた呪文を唱えてあたしの中に光が入っていく。
そして出てきた光は…
やっぱり白だった。
これは…さすがに二度も失敗はないわよね。
ってことはあたしの問題?もしかしてあたし法力ゼロだから色がつかなかったとか!?
あたしが一人焦っていると急に二人の司祭さん達が崩れ落ちるようにあたしに跪いた。
えっなに?どうしちゃったの?
『やっと現れた』
急に頭の中に少年の声が響く。
それに驚く暇もなく目の前に白い髪に白い瞳をした青年が現れた。
青年はその姿に似合わない少年の声であたしに向かって話し出す。
『あ~よかった~…。探し回った甲斐があったよ。ちょっとぼくについてきてもらえるかな?』
それだけ言うと返答も待たずにあたしの手をつかむ。
そしてあたしの視界は光に包まれた。
誤字脱字ありましたら教えてください。