敬意
(……思えば、すごくあわただしい一週間だったな)
一日目で取り調べを受ける(尋問攻め)。
二日目で急に監視付きの客人扱い(隔離)。
三日目で皇女に相談されて、皇帝の病気を治療(緊張)。
四日目で重臣たちが集まって馬鹿皇子の処遇を決める(関係なし)。
五日目で死体を率いるクロズクのリーダーとの戦い(あっけない)。
六日目で皇女と食事(頼られる)。
「そして、今日は皇帝直々の演説ってわけだ。大変だな」
「……大変か。そうだよね」
隣にいるミーラもローグのつぶやきに同意する。彼女も思うところがあった。今でさえやつれているから、その思いはローグ以上かもしれない。彼女の場合、城に宿泊することになってから緊張しっぱなしで、慣れた頃に皇帝に直に対面してますます緊張。その二日後に無残な死体が動き出す気味の悪い事件に遭遇という修羅場(?)をくぐったのだ。今、疲れを見せても仕方がない。
二人がこの一週間を振り返っていると演説ステージで変化が起こった。
「皆のもの、静粛に。言いたいことも多々あるであろうが、ここは余の顔を立ててくれ。質問なら一人ずつ受けよう。今から皆の疑問に答えようではないか」
群衆の一人が挙手し、皇帝が発言を促す。質問を受けるが納得せざるを得ない答えを返す。更に別の者から挙手が上がって質問が飛んでも、皇帝はうまく返す。それは流れる水のようだった。ローグとミーラの見ている前でこれが繰り返される。嘘か真かは別としてだ。
(うまくやれるもんだな。流石は皇帝と言ったところか。知られたくないような重要なことだけはペラペラしゃべらないだけなら誰でもできる。だが、それをうまくはぐらかすか違っているのに納得できる返答ができるとは)
ローグは皇帝を高く評価する。もはや本気で敬意を感じた。国の長としての威厳とかではなく、話術で巧みに先導できる才能に関してだ。隣にいるミーラでさえ真相を知っているのに、皇帝が嘘を何一つ言っていないと思っているのだ。
「すごいよね、皇帝陛下って。本当のことを包み隠さず国民の皆に語るんだもの。しかも自分の責任だって一人で抱え込むなんて!」
ミーラは本気で国の長としての皇帝の姿に尊敬しているようだった。ローグの眼からすれば違っているというのにだ。実際は、大事なことはうまく隠してるし嘘も混じっている。それに、クロズクやアゼルの責任だと民衆が感じるように誘導しているのだ。
(ミーラだから仕方ないか)
ローグはミーラのことは置いといて、終わるまで静かに質問と受け答えに耳を傾ける。
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お正月二日間の2時間おき更新はいかがでしたか? 楽しんでもらえれば幸いです。これからの更新何ですが思うところがあって、またもう少し時間をかけて構想を練ってからしていくことにしました。来月からになりそうですが、ご容赦ください。




