六日目4
リオルは複雑そうな顔でローグに問いかける。すると、ローグは不思議そうな顔で答える。
「いいのか、だと? いいさ。確かに王国は俺達の故郷だけど恨みのほうが強い。思いっきり敵対した後なんだから覚悟してる。そもそも、最初から協力していく約束だったはずだ。もう忘れてしまったのか?」
「い、いや。そういうわけでは……」
「わ、私も大丈夫です!」
「そ、そうか……。分かった。お前たちの覚悟を受け取ろう」
リオルは一度大きく息を吸って吐くと、気を引き締め直して真剣な顔になった。
「ローグ、ミーラ。これまで私達に力を貸してくれて本当にありがとう。だが、情けない話だが私達は近いうちに戦争を起こしてお前たちの力と知恵を更に借りることになってしまうだろう。お礼は必ずする。望むものは可能な限り用意すると約束しよう」
「俺が望むのは王国にいる幼馴染に復讐することだ。王国と戦える時点で報酬はもらったようなものだ」
「わ、私はローグの傍に居られれば何もいりません!」
「…………分かった」
ローグとミーラの言葉に若干引くリオルだったが、とりあえず協力していく約束ができたので苦笑した。ここで話題を変えてこれからの方針を話題にした。
「明日、父上がこれまでの事件の真実を包み隠さず国民に発表すると決めた」
「! おいおい、全部話すつもりか?」
ローグの目が鋭くなる。いくら何でも全てを話すのはマズいはずだ。アゼルの本当の処遇といい、クロズクと王国の繋がりといい、民が知ったら不安を起こす要因ばかりではないか。
「……いや、表向きは包み隠さず、と言ったほうが正しいか。兄上の状況とクロズクのことは――まあ、兄上は処分が処分だし、クロズクは秘密組織だ。その辺は省くさ」
「そうか、なら安心だ。馬鹿正直に話す皇帝は流石にドン引きするからな」
「私個人としては、兄上のことは……いや、仕方ないか」
「え? え? どういうことですか?」
ローグは安心するがミーラは話についていけなかったらしい。オロオロしてもローグとリオルは苦笑するだけだった。二人はするべき話はできたとばかりにナイフとフォークを手に取る。
「大事な話はもう終わりだ。まずは、昨日の疲れを取ることを優先しよう。さあ、食事を再開しようじゃないか」
リオルが笑顔でミーラに笑いかけたので、ミーラは二人に倣って食べ始めた。




