六日目2
「おはよう、ローグ」
「ああ、おはよう。リオさん」
「……おはようございます」
帝城の食堂で3人は合流した。3人というのは、ローグ・ミーラ・リオルのことだ。朝の挨拶の時に、リオルはミーラの顔色が悪いことに気付いた。
「ミーラの顔色が悪いようだが具合でも悪いのか?」
「い、いえ、そんなことは……」
「昨日見たアレが原因だ。夜、眠れなかったんだろ?」
「! ………」
「そうか、何かすまん……」
3人は席に座る。目の前に豪華の料理が並ぶが、リオルとミーラは食欲がない感じだった。二人ともそれぞれ全く別の理由で食欲が落ちていたのだ。ミーラは昨日の恐怖体験、リオルは夜中の会議内容、というのがローグの考察だ。
(俺が会議に出れないのは当たり前だが、内容は知りたいものだ。リオルはそれを伝えるためにも顔を見せてくれたんだろうか? それにしても……)
リオルが食事に誘う暇などないはずだ。仮にも皇女だ。やるべき仕事があるはずだ。特に今の状況ならなおさらだ。
(時間を作って食事に誘うか。余程、複雑で伝えにくい内容なんだろうな。昨日とは別の食堂に連れてきて、3人しかいない状況にするぐらいだからな)
帝城の食堂は3種類ある。皇族用の食堂、客人用の食堂、兵士用の食堂だ。今、ローグ達がいるのは皇族用の食堂だ。これまでは客人用の食堂で食事していたのに、今日に限ってこの待遇だ。
(怪しさ満載だな。一般の兵士に聞かれたくないか、俺達を試すためか。どちらにせよ、彼女の望む答えを提示したほうがいいな。それも、俺のほうから――)
ローグはリオルが言うことをある程度予測していた。だからこそ、彼女が求めてくるであろうローグの本心と方針を先に聞かせて、会議の内容をしゃべりやすくしようと決めた。
「ローグ、ミーラ、食事しながらでもいいから聞いてほしい。実は――」
「王国と戦うぞ」
「……え?」
「へ?」
「近々、王国と戦争をするんだろ。喜んで協力するさ」
「「っ!?」」
リオルの言葉を遮って、ローグは望まれる答えを先に答えた。リオルの目的が、二人を帝国に味方させることだと推測したうえで答えたのだ。帝国側のはずのウルクスが王国と繋がっていた。多大な情報が流出したのは間違いない。更には、アゼルが事件を起こしているのだ。これに乗じて王国が責めてくる可能性は高い。その備えが必要になるはずだ。
例えば、王国から帝国に亡命してきたものの協力を得るとか。




