3冊目 ~しゃっくり猫 と くしゃみ猫~
村の子供の きび助 が、神隠しにあった。
よく遊んでいた ベル も心配で、独自に探すことにした。
ベル は妖怪の伝手で、探すことにした。
「ものしりばばあ、きびすけ をさがしてにゃ。」
「探しものなら、しゃっくり猫 に聞くとよい。」
ベルは 居場所を聞いて、古い庵にやってきた。
「くしゃみねこ いるにゃ?」
「くしゃみ猫ではない、しゃっくり猫じゃ。」
「間違えた、百里猫 じゃ。」
「ワシは 千里眼 ほどは見えない、百里眼 持ちの 猫又 じゃから、百里猫 を名乗っておる。」
「わかったにゃ、くしゃみねこ。」
「ぜんぜん わかっとらん。」
あきれた 百里猫 だが、自分と同じ 猫系妖怪 のよしみで、ベル の手助けをしてあげることにした。
「ふむ、竹やぶが見えるのう。 竹やぶを探すのじゃ。」
ベル は村の竹やぶを探し回ったが、きび助は見つからなかった。
「今度は井戸が見える。 井戸を探すのじゃ。」
ベル は村の井戸を探し回ったが、きび助は見つからなかった。
「次は狛犬が見える? 神社にいるのかも?」
ベル は神社を探し回ったが、きび助は見つからなかった。
いろいろ言われて探したが、結局 見つからない。
そうこうしているうちに きび助を、村の大人たちが見つけた。
どうやって入ったかはわからないが、村祭りの物置きの大きめの 太鼓 の中に、きび助はずっと閉じ込められていたらしい。
「おお、太鼓 じゃったか。」
「つまり 竹やぶの『た』、井戸の『い』、狛犬の『こ』、で『た・い・こ』(太鼓)、というわけだったのじゃな。 なるほど、なるほど。」
「ワシは 千里眼 じゃなくて 百里眼 じゃからの。 探しものの ヒント しか見えんのじゃ。」
いろいろ無駄足をしたが、きび助が見つかったので、ベル は とってもうれしかったのでした。
めでたしめでたし。