2冊目 ~ものしりばばあ と ものわすれじじい~
五郎 と 伍作 は ケンカばかりしている。
基本 村の子供たちは仲良しなのだが、このふたりだけは別だ。
顔を合わせるたびにケンカしているといっても過言ではない。
しかもその理由は くだらない小さなことばかり。
これにはほかの子供たちも辟易としていた。
ベルも困って、妖怪に相談してみた。
「ものしりばばあ、どうしたらいいにゃ?」
「それだったら、ものわすれじじいに たのんでみな。」
ベル は ものわすれじじい をたずねた。
「頼みを聞いてやってもいいんじゃが、先にこっちの頼みを聞いておくれ。」
「なんにゃ?」
「もふもふ させておくれ。」
ものわすれじじい は、かわいいものを もふもふするのが 大好きだった。
ベル は ネコ耳 と しっぽ を じじい に もふもふされた。
「ああ、堪能した。 それじゃまたな。」
「まつにゃ。 やくそくをまもるにゃ。」
「はて? なんじゃったかのう。」
ものわすれじじい は、約束を忘れた。
「ごろう と ごさく をなかよくさせるやくそくにゃ。」
「ほうほう、頼みを聞いてやってもいいんじゃが、先に もふもふ させておくれ。」
ものわすれじじい は、さっき もふもふ したことを忘れた。
ベル は 猫の爪を出して、猫の牙を光らせた。
「あ、思い出した(汗) そうじゃった、そうじゃった。」
ものわすれじじい は、まじないを唱えると、シャボン玉(?)を 3つ 飛ばせた。
「これでもう大丈夫じゃ。 お礼におまえの 耳 と しっぽ を もふもふ させておくれ。」
シャボン玉のひとつは ベル の頭の上ではじけ、ベル はさっき じじい に もふもふ されたことを忘れてしまって、また じじい に もふもふ された。
ベル は村に帰って、子供たちとまた仲良く遊んだ。
それ以来 五郎 と 伍作 はケンカになりかけると、ケンカの理由を忘れてしまうようになった。
ケンカの理由がないのに ケンカをするのは、バカバカしいですよね。
そのたびに ふたりは 照れ笑いしながら、仲良く遊ぶようになりましたとさ。
めでたしめでたし。