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思い出-夢の記憶

作者: スイマー(シン

初めまして

スイマー(シン です

少し特殊な書き方をしてる為、

読みにくい点があると思います

少し読んで、駄目な方はブラウザバックして下さい

-森の中にいる-

私はまったっく見覚えのない森の中、道の上一人で立っていた

(ここはどこ?家に帰らないと…)

そう思う気持ちは、不思議と無くなっていき

見えない糸に引かれるように立っていた道を進んだ


角を一つ曲がっただけで、道の終着点が見えた

家…木造で白壁の綺麗な家があった

そして中から、中学生くらいの男の子が出てきた

私にはそれが誰なのか分からなかったが、怖くはなかった

「あなたは…誰?」「僕?僕は…」

その男の子が、はにかんだような笑みで名前を…


「………あ」

言おうとして、目が覚める

私の目に見慣れた景色が飛び込んで来る

(ゆめ…?あれは誰だったんだろう…?)

私はそう考えてみるも、結局誰か分からなかった

「瑞希、ごはんは…」

母の声が聞こえ、私は現実に戻ってきた

そして、いつものように

(…あぁ、また『今日』が始まるのか…)

-そう、思った


学校には行かない…誰もいないから

家族にも会いたくない…誰も分かってくれないから

だから今日も、明日も、一人閉じこもる

-分かっていながら


「…起きた?」

目を開けると、木が見える

横を見ると、あの男の子が立っていた

「あ、うん…」

そう言いながら立ち上がり、ふと自分の名前を言ってないことを思い出す

「あ…私は瑞希だよ」「うん、知ってるよ」

即答される

やはり、ここは夢の中だ

だから私のことが分かるんだ…

私は自分にそう言い聞かせて、あの質問をした

「君の名前は?」「教えないよ。前も言う気なかったし」「むぅ…」

無邪気な笑顔で、また即答された

少し見下したような口調に、私は少し落ち込んだ


「……」

夢から覚める

少し色あせたような記憶

ふわふわとして、朧げなその感覚には慣れている

…はずなのに

(本当に夢なのかな…?)

そう、疑わずにはいられなかった


それから、たまに同じ夢の続きを見るようになった

ある時はお茶会、ある時はかくれんぼ、幼稚園児のように遊んだ

結局、あの後も彼は名前を教えてくれなかった

だけど、何故だろう…

会う回数が増えていくにつれて、どこか懐かしい感じが強くなっていった


私の誕生日の2日前、それまでと同じように彼のことを考えながら眠りにつく

それが日課になっていた私にとって

(あの子が現実にいてくれたらなぁ…)

と、思うのは当然…と言えば当然だった

ベッドの中、薄れゆく意識の中眠りにつく

-その刹那、頭の中をよぎったのは…


「…やっほー?」「あっ…」

見慣れすぎた光景、夢の中の白い家

またあの男の子が僕の顔を覗き込んでいた

「…起きた?」「…うん」「じゃあ遊ぼ?」

いつもならすぐに返事をするのだが、今日は何故かそういう気分になれず、

「ねえ…君の名前って、本当に何なの?」

幾度となく問いかけ、答えてくれなかったその質問をしてしまった

「…」

あぁ、やっぱり答えてくれないか…そう思っていた矢先、

「…まさか、本当に僕の名前忘れちゃったの?」

かすかに失望感を含んだ返事が聞こえた

「えぁ…ごっ、ごめんね!覚えてないかも!」

返事をしてくれたこと、怒らせた(?)こと等々…

様々なことで少しパニックになり、気付いた時にはおかしなことを言っていた

「そっかぁ…僕はめっちゃ前から君のことを知っていたのになぁ…

君が今の僕のこの家に来る前から君のこと知ってたのに…

っていうか、ずっと覚えていたのに…」


反射的に身体が起き上がった

肩で息をする程、焦っていた

あの時の彼の反応…表情、言動が頭に引っかかる

(…知っていた?どういうこと?

もしかして、何処かで会ったことがあるの?)

図らずも邪推をしてしまう

どんなに思い出そうとしても、何も出てこない

それでも、探してしまう…



その日の夜

私は寝付けなかった

今朝の夢のことが気になって、あの後もずっと考えていた

結局、何も分からなかった

(もう、分からないよ…)

自暴自棄になる位、疲れてしまったのに

気になってしまう

(どうすればいいの?)

答えのない自問自答、薄い布団の中で考えていくうちに、少しずつ眠気が襲ってきた


気が付いたら、白い家の前

(またあの夢…)

「あ、起きてたんだ」

彼の声が左から聞こえた

見ると、いつものような顔で僕を見ていた

「うん…あのね、」

夢の中の私は、昨日の悩みなんて既に忘れていた

あることを彼に伝えたかったから

「現実では今日はいい日なの!」「うん、知ってる」

即答

あれ?私このこと教えたっけ…?

「じゃあ何の日?」「瑞希の誕生日でしょ?」

彼は笑顔で答えた

そう、今日は私の誕生日だ

「せいかーい!」

私は疑問よりも嬉しさが込み上げてきた

「やったね!」

彼も、当たったことが嬉しいのか、笑顔になっている

「じゃあ、遊ぼうよ」「うん!」

そして、私達はいつものように遊んだ

その時間はいつもよりゆっくりと流れていった


「あっ!そういえば僕、渡したいものがあるんだった!」

遊んでいる最中、突然彼はそう言った

「えっ…」「来てきて!」

驚いている私を余所に、彼は私の手を掴んで走り出した

白い家の二階…私が一度も来たことがなかった場所に連れていかれる

「ここだよー、はいってー」

彼は、落書きだらけのドアを開けながらそう言った

言われるがままに中へ入る

「…わぁ」

そこは、片付けられた綺麗な部屋だった

ドアの落書きが不自然なくらいに片付いている

本棚には様々な本があって…ベッドも青くて…ゲーム機もたくさんあって…

とりあえず、男の子だなぁって感じの部屋だった

そんな風に私がキョロキョロしているのを、彼はクスクス笑いながら、棚から何かを取り出して私に渡してきた

薄いピンクの袋に赤いリボンが結ばれた、多分私への誕生日プレゼントのようなものだった

「なに?これ」「いいからいいからー!開けてみてよー!」

彼は、私の隣に来て頭を撫ででくれた

嬉しさと気恥ずかしさを隠しながら、袋を開けると、手のひらに星のマークがついた、現実で私が欲しがっていたくまのぬいぐるみが入っていた

「~~!!」

本当に嬉しくて、彼に抱きついてしまった

目を大きく開いてビックリしている彼を見て、かわいいなぁと少し思った

「これ私が欲しかったやつ!」「だよねw」

「なんでわかったの!?すごいねー!」「僕はねー!のーりょくもってるからわかるんだよー!」

二人で笑いあった

とても楽しかった

でも、これは『夢』

『現実』には彼もいないし、このプレゼントもない

「…現実に帰りたくないなぁ…」

意識せず、そう口から出ていた

「ダメだよ」

諭すような口調でそう言われた

「帰らないとお母さんたちが心配するよ?

お母さん達、瑞希が目を覚まさなかったら泣くかもしれないよ?」

「…わかってるしー

ちゃんと帰るしーw」

本当はもっと、永遠にここにいたいけど、

彼に言われたから、決心がついた

「うん」

私の言葉を聞いて、彼も安心したのか、笑顔になった


「もうそろそろ、だね」「うん」

もうすぐ、今日の私の夢は終わる

彼とも、お別れをしなくてはならない

「ねぇ、今日は私の誕生日だからさ…」

でも最後に、これだけは聞きたかった

「君の名前、教えてよ」

…何度目だろう

言ったあとで昨日の事を思い出し、少し気まずくなる

「んーーー…」

彼も考えてる

そうやって暫く悩んだ後、彼はこう答えた

「いいよー」

そう、彼の名前がやっと分かる

私は彼の言葉を聞き漏らさないように、集中して聞いた

「僕の名前は、市村ゆ…」


…目が覚める

肝心な所で目が覚めてしまった

(市村ゆ…ゆ…あーっ!なんて名前なのか気になる!)

夢から覚めたことを後悔しながら起き上がる

(…あれ?何か足に当たったような…?)

ベッドから降りた時、ふと違和感を感じた

下を見ると、そこにはピンクの袋がおいてあった

(えっ!?)

急いで中を確認する

(…同じ、だ…)

そう、夢の中で彼に貰ったプレゼントと同じように、

あのぬいぐるみが入っていた

(あれは夢じゃなかったの?)

…疑問が浮かぶが、考えても分からなかった


「ねぇ、お母さん…このプレゼント…」

私は母にこのプレゼントの事を聞いた

多分用意したのは母だと思ったからだ

母は朝食を作っている最中だったが、ふとその手を止めた

「あぁ、それならあんたが好きだった子からだよ

確か…何だったっけ?あのー、いち…いち?」

「ゆとちゃんでしょ?男の方の」

思い出す母の声を遮って、私のお兄ちゃんが答えた

「…あっ、ありがとー!じゃ」

…短い返事しか出来なかった

私はそのまま、急いで自分の部屋に戻った


思い出した

彼の名前は市村優斗

4年前、転校してしまった、私が好きだった子…

このプレゼントは、宅配とかではなく、彼自身が私の家まで来て渡しに来たという話を後になって聞いた

夢の中でのあの言動も、今では納得している

「ありがとう…市村君…」

彼から貰ったプレゼントを抱きしめながら、

私は一人、そう呟いた

ここまで読んで頂き、ありがとうございます

さて、ここで疑問に思う方もいると思いますので、少し説明をしておきます


【この話自体について】

この話は、とある友人から聞いた、友人自身に起こった実体験を、許可を取って小説にしました

夢の話を小説に書き落とす為、一部細かな部分を補完して、なるべく矛盾が少なくなるように調節をしました

(友人の名前等は変更しています)


【書き方について】

夢特有の不思議さ、曖昧さ、それが少しこそばゆく感じる…そのような書き方を自分なりに工夫してみました


その他の事について疑問があり、かつ答えを知りたい方は言ってくれると喜んで答えます

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