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文武平等  作者: 風紙文
第四章
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夏休みの計画

「それじゃあ、今日はこれまで」

先生が出ていき、クラスは放課後の雰囲気に包まれた。

部活に行く者、友達どうしで話し合う者の二組に別れる中、後者の話題にある一つの単語が頻繁に出てきている。


後明日行けば夏休みだね


夏休みどうしようか?


早く来ないかな〜


夏休み。そう、すでに期末テストも終わり、返却された。となると後は夏休みに向けてまっしぐらだ。

「おーっす創矢、お前夏休みどうするんだ?」

浜樫が声をかけながら近寄ってきた。

「夏休みな……」

夏休みの予定と言えば……とりあえずは、里帰りだな。と言っても学校から通える距離だけど。

帰ったら道場の手伝いして、道場の掃除をして……あれ?

「去年と、あんまり変わらない?」

確か去年もそんな感じで過ぎていったような気がした。いやそれどころか手伝いは平日にも、掃除は土日に家へ帰った時にもしている。そりゃ全く遊んでない訳ではないが、基本は手伝いと宿題を片付けることに費やしていて……今考えたら、結構寂しい夏休みを過ごしていたかもしれない。

「まぁ去年とあんま変わらないのかもな、でも部活は去年より厳しくなるだろ」

部活、そうだ。俺は今年になって部活に入ったんだ。それだけで去年とは違う夏休みが迎えられるだろう。

「……創矢」

と思ったところで声をかけられた。誰か、何て確認する事なく振り返って名前を呼ぶ。

「どうした? 三夜子」

「……部活」

「そうだな、行くか」

「七ヶ橋さんは、夏休みはどうしてるんだ?」

俺が席を立つと、浜樫が三夜子に質問。

「……部活?」

首を傾げながら三夜子は答える。俺のように、両親のいる帰る里が無いのだから……

「それだけじゃないぞ」

俺は口を挟んだ。

「まだ気が早いかもしれないが、この辺りで夏祭りがあるの知ってるか?」

「……知らない」

三夜子は首を横に振った。

「じゃあ、一緒に行ってみようぜ。まだ日付も決まってないけどな」

「……」

分かりづらいが、三夜子は驚いているようで、

「……ん……行きたい」

やや間があって、頷いた。

「よし、決定だな」

実はこれには、ちょっとした理由があった。

俺は三夜子の主要四表情……喜怒哀楽を導き出すように言われていて、半分は出せたのだが、残りの2つの出し方が全く分からなかった。

そこで楽しめる何か、つまりは夏祭りに行って楽しんでもらおうと、楽を導けるかもしれないという考えだ。

「よし、それじゃあ部活に行くか」

「ん……」

「じゃあな、浜樫」

「おぅ、俺も行くからもしかしたらな。創矢、七ヶ橋さん」

浜樫が三夜子を呼ぶのに間が空かなくなった。こちらも進歩してるみたいだった。





一番乗りした部室でしばらく待っているとパズル部全員が集まり、最後に大和先生が入ってきた。

そして、

「みんなの夏休みの予定を教えてくれ」

と一言。

「急になんですか?」

「いやな、せっかく部活の顧問になれたから夏休みにも部活やらなくちゃとは思ったんだが……それで」

言葉の途中で大和先生は素早く振り返り、黒板の、

「あ、チョークが無い」

チョークを取ろうとして無いことに気付き、

「まぁ持ってるけどな」

大和先生は何故か袖の中から赤いチョークを取り出して黒板に文字を書いた。

一文字……二文字と書いて、バン! いつかを思い出すように黒板を叩く。

黒板には少し見にくい赤い文字で、こう書かれていた。


合宿



「合宿をやろうと思っているんだ!」


『……』

三夜子を除く4人が疑問と困惑の表情を浮かべて、おそらく同じことを考えていた。


何故、合宿? と。


「どうだろうか?」

大和先生は訊いてきた。賛同かどうかだろう。

「……良いと思う」

最初に口を開いたのは三夜子。

「そうか、これで一人決定だな」

黒板に三夜子と書き、参加決定とその上に書かれる。

「4人はどうだ?」

「はいは〜い」

再度大和先生が訊ね、手を挙げたのは押川。

「みゃーさんが行くならボクも行きます!」

「押川も参加……っと」

ビシッ! と手を挙げて参加を表明。三夜子の名前の下に押川と書かれた。

「……先生」

続いて早山が小さく手を挙げた。

「自分も剣道部で三泊四日の合宿があるのですが、それに被った場合は」

「大丈夫だ。全員の予定を聞いて組もうとしてたからな」

なるほど、だから予定を聞いた訳か。

「……では、自分も参加します」

納得した早山が参加を決め、押川の下に早山と書かれる。残るは俺と月乃だが、

「俺も行きます」

別に断る理由もなかったので、あっさりと参加を決めた。

黒板の名前が4つになり、残るは1人。

「合宿ですか……」

月乃はまだ悩んでいるようだった。

「都合が悪いなら無理にとは言わないぞ? 正直言って合宿で何かをするって訳じゃないだろうからな」

それではやる意味が無いのでは? まぁ、文化系部活の合宿はそんなもの……だろうか?

「いえ、実は夏休みいっぱい里帰りしようかと思っていまして」

「へぇ、随分親思いだな」

「あぁ違うんです。去年……とある理由で帰れなかったので」

月乃は一年生の時、新しい部活を作ろうとして右往左往していた時期がある。それで夏休みも消費したのだろう。

「でも……別に合宿が終わってからでも良いですね。はい、アタシも参加します」

考えた結果月乃も賛同し、ここにパズル部の合宿全員参加が決定した。



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