河川敷の決戦
そして、戦いの日が来た。
家に帰っていた俺は七ヶ橋と学校で待ち合わせ、河川敷へ向かった。
「大和先生は一緒じゃなかったのか?」
「……用事があるって」
用事……まぁ、学校の先生だしな、採点とか色々あるんだろう。会話はそれっきりで、河川敷にたどり着くと、約束の時間まではまだだいぶあった。
「早く付きすぎたか」
「……もしかして」
「ん?」
「……待たせて集中力を切らせる作戦かも」
宮本武蔵か 。
「いや俺達が早く着き過ぎたんだよ」
「……」
せめて反応してくれ。
しかし無反応な七々橋が見ている前を見ると、河川敷の向こう側から歩いてくる人が、
「早い、ですね」
飯田だった。
「集合場所には余裕を持って着くのが癖でね」
「奇遇ですね、僕もです」
その後一切の言葉が無いまま時が過ぎ、
「……時間」
七ヶ橋が呟いた。
「だ、そうだ」
「はい、それでは……」
飯田がパズル錠を解き、剣を構えた。
俺もパズルを動かし、大きさを戻して柄を両手で掴む。
「待ちな」
そこに、聞き覚えのある声が聞こえた。振り向くと、予想通りの声の主。
「何か、用ですか?」
「いやなに、そっちの一人が暇になるだろうと思ってな」
原良が歩みよりつつ、剣のパズル錠の状態である知恵の輪を取り出す。
「だから俺が相手してやろうと思ったのさ」
「……」
無言で原良を睨む七ヶ橋。
「つまり、僕の側につく、という事ですか?」
飯田が尋ねると、
「あっちの2人組と戦うってんなら、そうだな」
知恵の輪を外し、カトラスの双剣が現れた。
「……負けない」
七ヶ橋は傘を開いた。両手に白と黒の双剣が握られる。
「お前とは何回も会ってるが、毎回あの男に邪魔されてたからな」
「はっはっはっ!」
その、邪魔をしていたであろう帽子の男が現れた。
「おや? 何やら共に一人ずつ多いようだが?」
「何でテメェがいやがる」
「立会人とでも言っておこう、貴様も少女と戦うというのなら片手間に見てやらない事もないぞ?」
「いるかそんなもん。剣の戦い『剣の舞』には観客がいなくても戦い、踊る、どちらかが疲れ倒れるまでな」
「ふむ、そうかもしれないな」
「分かったら黙って見てろ。何なら、お前から先に倒してもいいんだ」
「それはやめておこう、俺が入ったら全員一瞬だからな」
「ちっ……」
「それと、ちょっと風邪気味で……ごほげほ」
あからさまに嘘な咳払いをした。
「では、少年達の立会人をするとしよう。共に準備はいいか?」
「いつでも」
「構いません」
俺は飯田を見る、飯田もまた、俺を正面に見る。
隣に七々橋が立つ、前で原良が飯田の隣に立つ。ああは言ったがあちらも始まりの合図は一緒にするようだ。
河川敷に沈黙が流れる。
左右を確認した帽子の男が、一度頷いた、その直後、
「では……開始!」




