隠し事
戦いまで後2日。
朝から雨が降っていたこの日、俺はパズル部の部室でパズルを解いていた。キャストパズルではなく、剣の中に置かれたパズルだ。
教室には大和先生と俺だけで、その先生は何故かマスクをしていた。今日さっき自分で作ったらしく、別に具合が悪いとかではないらしい。だったら何故つけているんだろう……という疑問はそっと心の中に閉まっておいた。
「一応大きさの変化は出来るようになったな」
「はい」
いざ戦いになってからあたふたしていてはいけない。そして何か他に機能がないかを探すため、昨日からこのパズルにしか触れていなかった。
「でも、押川には気を付けないと」
「だよな、でもこそこそ隠してるのはいつかバレるのがセオリーだぜ?」
「それはよく聞きますけど、コレはそうならないように努力しないと…」
「こんにちは~」
扉を開け、押川が部室の中に入ってきた。
「あ……」
瞬間、板を動かしてパズルが揃った剣が元の大きさに戻った。
「あー!」
そんな決定的瞬間を見た押川が指差す。
「あ、いや……あのな、コレはその…」
と、とりあえず落ち着け俺。かなり決定的な場面を見られたが、まだごまかしがきく筈だ。
と思っていたら。
「すっごーい! それもパズルなんだよね!? 武川君って沢山パズル持ってんだね!」
「え? あ、ああ……うん」
パズルには違いないが、大きさの変わるような物がそうそうあるわけない。
「ボクにもやらせて~」
俺は席を立って押川に譲ると、
「え~っと~この板を動かすんだよね?」
パズルの板ををカチャカチャと動かし始めた。
その姿を見つつ、大和先生に近寄る。
「……バレてませんね」
「そうだな、まさか押川がここまで鈍いとは」
「……リリがどうしたの?」
「うぉ!?」
いつの間にか、七ヶ橋が俺達の後ろにいた。
「……アレって」
押川が動かしているパズルを見て、七ヶ橋が呟く。
「……バレてない?」
「驚く事にな」
「……さすがはリリ」
確かに、さすがかもしれない。
それからパズルを動かし続けた押川は、一度だけ動かす手を止めて、
「ところで、これって解けるとどうなるの?」
と聞いていたので、
「えと……バラバラになる」
と、答えておいた。
「へぇ~、という事は周りも動かせるのかな」
再び動かし始めた押川は、部活終了時間までパズルを動かしていた。
……押川が先に帰った後、グシャグシャにされたパズルを直すのに時間を使ったのは、言うまでもない。




