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文武平等  作者: 風紙文
第十一章
244/281

向かう前に

そして、ついにその日はやってきた。

学生や働いている人の休日などを合わせられるだけ合わせた結果、年末近い今日になったらしい。

「今日で決着がつくのだな」

「あぁ、そうだな」

集合場所は剣守会の本拠地。今はそこへ向かうため、花正と共に駅に向かっている所だ。

「しかしちょうど良いタイミングだったな、明日おじさん達が帰って来るのだろう」

なんやかんやで長い間旅行をしていた親父達が、明日帰ると数日前に連絡があった。本当にちょうど良いタイミングだ。

「だが、おじさん達が帰って来たら創矢は寮に帰ってしまうのだよな」

「そうだな、花正が1人にならないなら別に俺が居る必要性も無くなる訳だ」

「ふむ……それは少し、寂しいな」

「いや、どうせ俺ほぼ毎日家に帰ってきてただろ。それに年越しは家で過ごす予定だから」

「おぉ、なら寂しくないな」

全く緊張感が無いな花正は、花正らしいといえばらしいが。

「む、アレは」

その時、誰かを見つけた花正はその方向を指さした。その人達も俺達に気づいて、こちらへと歩いてくる。

「お2人共、こんにちは」

『こんにちは』

「こんにちは、アルクスさん」

「レドナとリリィもな」

3人も今日の決戦に参戦する。アルクスさんは剣守会からの参戦で、一応レドナとリリィはパズル部からの参戦になっている。

目的地は同じ駅なので、5人で歩き出して数分かけて到着した。

「アルクスさん、俺達は三夜子達を待つんですけど」

「そうですか、ではワタクシ達も一緒に待ちましょう」

『はーい』

「む、どうやら来たようだぞ」

学生寮の方向から、三夜子達がやってくるのが見えた。

確か早山は先に行くと言っていたから、三夜子と、陽花、月乃、萩浦の4人の筈。

しかし、

「む? アレは」

「押川?」

4人に加えて、何故か押川もやって来たのだ。

「やっほーたけやん、はなちゃん。レドナくんとリリィちゃん、牧師さんも」

「あ、あぁ」

「うむ」

何故剣を持たない押川も一緒に来たのか、事情を説明してくれそうな陽花や萩浦の方を見る。

答えたのは陽花。

「いやー、やっぱリリに隠し事出来なくてさ。そしたらせめて駅まで一緒に行くって」

「そういうことか」

「そうだよたけやん、ボクが力になれないのは分かってるもん」

押川は俺達を見回せるような位置に立ち、全員に言った。

「本当なら、どんなことでも良いからみんなの役に立ちたかったんだけど……剣を知ってるだけのボクが行っても迷惑にしかならいよね。だから、ここでみんなの無事を祈ってるから……みんな、頑張ってね!」

「ん……がんばる」

「ありがと、リリ」

「うむ、必ず無事に帰ってくるぞ」


押川に見送られて、俺達は集合場所へと向かった。


決戦の火蓋が切って落とされる時が、着実に近付いていた。


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