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文武平等  作者: 風紙文
第十章
228/281

今は

……懐かしい、夢を見た。


高校一年生になって、一週間くらい経った頃。

元々物静かで、天気に関係なく傘を持っているという変わり者の私に声をかける人はリリくらいになっていた。

それから暫くして、陸上部に入ったリリは朝早く学校に行くため、私は1人で学校へ行くようになった。

傘をついて、1人で歩いていく。周りには同じように学校へ行く生徒が沢山。

私と違うのは、複数人でいるところ。

皆が誰かと一緒にいて、私だけが1人。

……別に、さみしいとは思っていない。

でも何か、妙な気分を感じていて。それが寂しいということなのは後になって知った。

その時は、何も感じていなかったけれど、1人で歩いていた時に……


なぁ、ちょっと良いか?


……後ろから、私に声をかけてきたのは、





……side 三夜子


「……?」

目を開けたら、見覚えのある天井が目に映った。

ここは……武川家?

どうしてここに……

「……思い出した」

音川さんと戦っていた時、投げた剣を受け取ってから剣に違和感を覚えた。その後に風を起こそうとして、何故か失敗して……炎が当たる前に私の意識は無かった。

「……どうして」

あの時、能力が使えなかったのか、剣に違和感を覚えたのか……そういえば、剣はどうしたんだろう。私が倒れてたら傘に戻せない。

布団に寝かされていた私はゆっくりと体を起こして辺りを見た。改めて武川家、それも昨日私が泊まった部屋だと確信する。

何故か隣にテニスのラケットを入れるような形の袋がある。よく見ると私の剣の柄に付いた白と黒の飾りが出ていた。

傘に戻すために袋から剣を取り出す……まだ、違和感がある。

何度見ても私の剣なのに、何でだろう……全く別の物みたいにも思える。

もしも全く別物なら、風が起こせなかったのも分かるけれど。どうしてこうなってしまったのだろう?

考えてみる……

「……」

……全然分からなかった

とりあえず、今は剣を戻しておく。傘に戻してすぐ横に置くと、

「おぉ、起きたのだな三夜子」

扉が開いて、花正がやってきた。

「具合はどうだ?」

「……大丈夫」

「そうか、ならば良かった」

部屋の中に入ってきて、私の横に腰を下ろした。

「急に倒れたものだから心配したぞ」

「……あの後、どうなったの?」

「うむ、三夜子が倒れた後だな」

花正は説明してくれた。

私が倒れた直後、音川さんは魔法を即座に消し、これ以上は勝負にならないと剣を収めた。

私はただ眠っているだけだったらしく、花正に連れて帰るように言って、剣を入れる袋を渡して音川さんは行ってしまった。

花正は創矢に連絡した後、鞄を創矢に渡してくれるように頼んでから私と私の剣を入れた袋を背負って家に帰って来た。ということらしい。

「……ありがとう」

「なに、礼には及ばん。今日も泊まって行くと良いぞ」

「……そうする」

これで2日連続だけど、武川家には三連休の時も泊まっていた。

そうと決まれば、リリと紫音に連絡を…

「それでな、三夜子」

「……?」

花正の言葉に首を傾けると、花正は続けて話し始めた。

「先ほどそのことを紫音達に連絡したのだ。そうしたら、あーし達も行く! という返事が来てな」

「?……」

それは、どういう……

その時、チャイムの音が聞こえた。

「……誰か来た」

「そのようだな。そしておそらくは」

花正は立ち上がって玄関の方へ向かった。私もゆっくりと起きてから花正の後を追って玄関に向かうと、話し声が聞こえてきた。

『みゃーこの具合はどうなの?』

『うむ、先ほど目を覚ましたばかりだ。特に問題は無さそうだぞ』

『そうなんだ、良かった~』

『2人共心配し過ぎなのよ』

聞き慣れた声を聞きながら玄関へと向かって、皆の姿を見つけた。

あちらも私に気付いた。

「あ、みゃーさん!」

「みゃーこ!」

「本当に大丈夫そうね」

リリと、紫音と、月乃の3人だ。

「……どうして、ここに?」

「もちろん、連絡があったからよ」

「みゃーさんが倒れたって、それでまたそうやんの家に泊まるっていうから。しーおと考えて」

「あーし達もお泊まりしようって答えになったんだよ。で、みやっちも誘ってこうして来たのさ」

「おぉ、昨日よりもまた賑やかになるのだな」

……それは、皆、そんなに私を心配してくれるということで、

「……皆、ありがとう」

私は、素直にそう言っていた。

「さーてと、みゃーこの無事も確認出来たし。おじゃましまーす」

「おじゃましま~す。はいコレ、みゃーさんのお泊まりセットだよ」

「確か、両親共に旅行中なのよね」

「うむ、いらっしゃいだ3人共」

「よーし、それじゃあこれより、パズル部女子部員による、女子会を開催しまーす!」

「わ~い!」

「おー!」

「いや紫音、アンタパズル部じゃないじゃない」

「……細かいことは、気にしない」

「そーだよつきのん、今は楽しむ時なんだよ!」

「フフッ、それもそうね」


3人増えて、昨日よりも賑やかになった武川家で、私達は賑やかに過ごした。



そして、私は……明日こそ、創矢に会いに行くことを決意した。



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