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文武平等  作者: 風紙文
第九章
205/281

マクアフティル

「さぁー、いくっすよ!」

ルカの持つ剣、マクアフティル。俺が剣を手に入れてから初めて戦った剣だ。

当然、能力はもう分かっている。

「花正」

「む? どうしたのだ創矢」

「お前はルカを頼む。能力的に、花正が有利になれる筈だ」

「そういえばすでにルカの剣を知っているようだったな、どんな能力なのだ?」

「簡単だが、強力なものだ」

花正にマクアフティルの能力を簡単に説明する。

「ふむ、そういうことなら任せてもらおう」

「頼んだぞ」

「うむ!」

答えと同時に、花正はルカへと一直線に向かった。

「行くぞ、ルカ!」

「かかってくるっす!」

花正は腰にさしてある剣の柄を握り、

「はっ!」

「甘いっす!」

鞘から剣を引き抜いての居合い切りを放った。だがルカは刃が届かないように剣を盾に防御の姿勢を取る。

普通なら、それで完璧に守れるのだが。

「ダメだルカ! そいつの剣は…!」

階田が気付いたようだが、少し遅かった。


スッ……


盾にしてきた剣を通り抜け、ルカの体に刃が当たった。

「うえぇぇ!? い、今すり抜けたっすよ!?」

「だから言っただろうが!」

「もう少し早く言って欲しかったっす!」

「ふっふっふっ、油断したなルカよ」

安全な間合いまで下がった花正は剣を鞘に収めた。

「くぅ……でも、次はもう当たらないっす!」

次はルカが前へと走った、剣を目一杯振り上げて、真上から振り下ろす。

「むっ!」

ガッ! 花正は腰から鞘ごと剣を抜き、納めたままの状態で剣を防いだ。

「さぁ! 今度こそいくっす!」

ルカは素早く剣を持ち直した。花正へ体を横に向け、剣を持つ両手を後ろへと振り上げる。まるで、野球選手がバットを構えているように……あの構えは、まさか!

「その程度、また防ぐだけ…」

「ダメだ花正! 避けろ!」

しかし、先ほどの階田同様、遅かった。

「ホーム、ラーーーンっす!」

ルカの剣が花正の剣に直撃。

瞬間、花正は後ろに吹き飛んだ。

「お……? おぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

重力を無視して横に落ちたように吹き飛んだ花正はしばらく下がった後、転びそうになりながらもなんとか踏みとどまった。

「なな、何なんだ今のは!?」

わりと遠くまで吹き飛んだが、花正の声はしっかり届いた。俺はボリュームを上げて答える。

「さっき説明しただろ、マクアフティルの能力だ」

マクアフティルの能力。それは触れた物を吹き飛ばすこと。単純だが、当たれば発動出来る防御不能の厄介な能力だ。

ただ、どうやら単純に吹き飛ばされるだけでダメージにはならないらしい。何かにぶつかったり、花正のように転ばなければ痛みもほぼ無しだ。

「そ、そうだった……だがあれでは防御出来ないではないか」

「だから避けろって言っただろ」

「あ、そうだったな」

「花正、かくごっすー!」

ルカは吹き飛んだ花正の方へと行ってしまった。

そうするとそこには、今のところ一度も剣を振っていない俺と階田が残った。

「あっちはあのままで良いか」

「だな、オレはアイツとは戦ったことあるし、それに、お前との勝負はあん時アルクスに止められたっきりだ」

階田はクレイモアを、俺はバスタードソードを模した剣をそれぞれ構える。

「手加減すんなよ?」

「もちろんだ」

前に戦った時は勝てそうな感じだったが、俺の勝てなかったリリィに勝って謹慎をくらってから鍛錬していた今の階田は、あの時より必ず強い。手加減なんて、出来ないだろう。

「そんじゃ……行くぜ!」

階田が走り、戦闘が開始。大きく振り上げた階田に対して上に防御を取ると……



「そこのあなた達! 今すぐ止めなさい!」



誰かの声が、聞こえてきた。


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