終日「恋風息吹への言葉」
私ちゃん、恋風息吹が部屋に帰ると、
少女が1人、私ちゃんを待っていた。
ちゃんと鍵はかけたんだけどなあ・・・。
それにここ7階なんだけどなあ・・・。
「やあお帰り、待ってたよ」
「アンタ誰?」
少女の話はとりあえず無視。私は自分の疑問を優先する。
このコンセントが2本伸びてるような髪型をした少女は
どこのどいつなのか、何で私ちゃんの部屋にいるのか問い詰める。
「おお、冷静だねえ。友達からは『考えるよりも諦めて行動
しちゃうタイプだからいきなり殴られないよう気をつけて』って
言われてたけどこれなら大丈夫かな?」
「アンタの感想なんてどーでもいいから、
ほら、さっさと名前をお姉ちゃんに教えてみなさい」
「ああうん、私のことはとりあえずサイカって
呼んでほしいかな。君のことはヒガサ君から聞いてるよ」
私のことは妃差から聞いてるらしい。
よし、今度会ったら火差から理由を聞くのはなんだか
骨が折れそうだから諦めてまず殴ろう。
「なんて非常識なヤツを私ちゃんに紹介してくれやがったんだ!」
って言いながら殴ろう。
「別に悪巧みをしているわけではないし、私がヒガサ君に
頼んだことだから殴るのは勘弁してやってくれ」
「あれ?声に出してた?」
「うん、しっかり口を開いてたよ。
それと、非常識なのはお互い様だろう?性格的にも、
特点を持つ身としても」
・・・火差の奴、特点のことまで話してやがったのか。
やっぱり殴ろう、
少しだけ本気を出して殴ろう。
「ヒガサ君は君の性格以外何も言ってないよ。
その人が特点持ちかは見ればすぐ分かるよ。
私はそういう人間だからね」
「そういう人間・・・ねえ」
ってかまた声に出してたのか・・・私ちゃんは・・・。
「それはそうと私が君に接触したのは1つ君に
言っておくことがあったからなんだよ」
言っておくこと?なんだろう?
「もっと頑張りましょう」
・・・初対面の明らかに年下の女の子に
もっとがんばれと怒られた。
うわあ・・・。
「ここ数日の君は酷いよ。
穏便に解決することを諦めて鬼と激しくドンパチ。
その結果友達をこっち側の世界へ引きずりこんでしまった。
コンビニ強盗相手に一方的な戦闘。
不特定多数の人間が君に不信感を抱いただろう。
要するに、君が諦めると最高の結果からは遠くなるんだ。
物語の終わりが悪くなり兼ねない。
例えば人質をとって引きこもってる犯人を、
君は人質救出を諦めて犯人を人質ごと殺してしまうかもしれない。
もしそうなったらこの物語の終わり方としては最悪だよ。
だから、君にはもうちょっと頑張ってもらいたいんだ。
ヒガサ君のためにもね」
全てを言いきった後、一瞬にして、サイカと名乗った少女は
姿を消していた。
言いたいことだけベラベラと喋りやがってあんにゃろ・・・。
しかし、火差のためねえ・・・。
はてさて、アイツは何を考えている?
それから数ヶ月後、私ちゃんは1つ、諦めた。
その話は、また、次の機会にでも話そう。
もっとも、次の機会があれば、
私ちゃんが話すことを諦めてなければの話だが。




