バースデーベアー
もう、別れてどれくらいが経つのだろう。
もうすぐ彼女の誕生日。
今年は祝ってやれないのが苦しい。
去年の彼女の誕生日は、まだ付き合ったばかりで、大したことしてやれなかった。
付き合ううちに、彼女が夢の国に行ってみたいってことを知って、だから俺は、クリスマスに連れて行ってやるって、約束した。
そしたら最高のクリスマスにしたくなって、バイトを増やした。
それがいけなかった?
だんだん彼女とすれ違うようになって、
けれどサプライズで喜ばせたかったから、
バイト増やしたことも言えなくて。
けれど俺は、いつもいつも、彼女のことが大好きだったんだ。
今だって、完全に未練。
忘れられない。
彼女に会いたくてたまらない。
もう……いいかげん忘れろよってみんなにも言われる。けれど、忘れられるもんか。忘れられるわけがない。
こんなに……こんなに好きになったのは、俺の人生ではじめてだったんだ。
彼女のおはようの声も、おやすみの声も、今でも耳に残ってる。
けれど、俺のケータイに残る彼女とのメールは……日が立つに連れ、どんどんどん上書きされて消えていってしまう。
思えば付き合っていた月日より、別れてからの方が経っている。
なのに、やっぱり忘れられない。
彼女のあの笑顔がまた欲しい。
彼女に会いたい。彼女に触れたい。彼女を抱きしめたい。
彼女は、もう他の誰かを好きになっているだろうか。
誰かに誕生日を祝ってもらうのだろうか。
彼女を、忘れられない。
忘れたくもない。忘れられるはずもない。
お前、罪作りだよ。
こんなに俺を惚れさせておいて
消えちまうなんて。
せめて、誕生日プレゼントを送るくらい……
許してくれないか?
俺も、お前の生まれた日を祝いたい。
お前のこれからの幸せを願いたいんだ。
だから、おめでとうの言葉と共に贈らせて。
お前の好きな熊のぬいぐるみ。
Happy Birthday to you ――――