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朝の町

今日も日の高い白くて四角い朝の町、そこかしこから笑顔が響いてやまない。何時でも何処でも

朝の町は市場や食堂、学校や図書館が主な施設だ。

海沿いの市場には野菜や魚が並べられていて以下にも活気の有る所で、日に焼けた少し口が悪い短髪の青年が取り仕切っていた、彼は「今日の魚は活きが良くて美味いぜ?さぁ、買っていけよ!」と啖呵を切る


そこにクロエが通りかかって、彼に「何時もは活きが悪いの?」と意地悪な笑顔で茶化されて「うっせぇよ!」と言葉を返して少しばかりへそを曲げる。


「ごめんて、今日は野菜を買うよ」

「ったく、冗談にしちゃキツいぜ…」


市場を抜ければ大通りで、段状の坂道は商店街になっていた。通りに面した(大衆食堂:白浜亭)はクロエの働く食堂だ、そこは漁師が漁に出る前に腹ごしらえに来るので、教会の休み時間になるまでは大忙しなのだ。


そして大通りを抜けてすぐの裏路地には小さくて慎ましい本屋を兼用した図書館がある。其処には髪を切り揃えた色の白い大人しそうな青年が切り盛りしていた。


その図書館は厚くて黒い暗幕を窓にかけていて、灯りはランプを数ヵ所付けるくらいだった、彼は貧乏ではなく、ただ本が痛むから強い光を嫌うだけなのだ。


そして彼の元へ良く来るのが「こんにちわ、セージ」と色白で黒い髪がふわふわと癖のついた気弱そうな書生だった。彼は後に話す夜の町で勉強に励んでいるようだ


「今日の新書は此のぐらいだよ、そう言えば前に頼んでいた哲学書が入ってきたから」

「うん、有り難う…僕が先生に頼まれてたやつだ」

「たまには休みに外に出た方がいい、部屋の中だけじゃ視野は狭まるよ」


と軽い世間話をした後に彼はまた何時ものように本の注文の手紙や売り上げを小まめに帳簿に書くのを繰り返していった


図書館を抜けた路地に開けた場所に学校がある、此処には2人の先生がいて子供たちに勉強や聖歌を教えていた、今は授業中のようだ。

黒板の前では癖のある長い美しい黒髪の眼鏡を掛けた先生が授業をしていたのである。

しかし勉強というのは子供には苦行な物の様で、居眠りをしている子供もいた。


「ユーコ、今は授業中よ」

「Zzz…」


いくら優しく起こそうとしても起きない少女に痺れを切らしたのか、少女にスレスレの当たるか当たらないかの位置に鞭を叩き、あまりのことに少女は驚いて目を覚ました。

「今度は机じゃないことを覚えておきなさい?」と教師は厳しい眼差しを、涙目になっている居眠り少女に向けた。


「シズエ先生は怖いんだから起きてようね?ユーコちゃん」と黒い髪が短く整っている優しそうな少年が言うと「ボウ、授業中に寝るやつが悪いのに何で優しくするんだよ?」と少し長い前髪を持った生意気そうな少年が口を尖らせた。


そしてこの教室での授業が終われば音楽の時間が待っていた、そこは平日は毎日音楽があって日曜日の礼拝までに聖歌を覚えてみんなで歌うというのがこの町に伝わる習慣で、学校を卒業した大人も忘れる事無く聖歌を歌うことができるのだ。


そして音楽の先生はきれいな黒髪を真っ直ぐに伸ばした美しい先生だった、その先生は真面目に取り組む生徒にはとても優しく、逆に言えば聖歌や音楽をバカにする子供には怖い存在なのである。

今日も午後は聖歌の授業だった、そして子供たちにこんな面も持っている。


「ボクは音楽好きだよ!だって歌うのが好きだもん」と言うユーコと「人前で歌うのか…いつも思うけどちょっと恥ずかしいな…」とボウ、そして「俺日曜日に早起きするの面倒くさいな…」と長い前髪の少年が言うと、先生は優しそうな笑みを一瞬のうちに凍らせて「ヤエ君、これは神様にささげる歌なのよ?面倒くさいとかそう言う人は出て行って?」と優しく一喝されたヤエは「ミズキ先生…こえぇ…」と茫然自失で居るしかなかったのだ、そして今日一日全ての勉強を終えると学校の時計台に吊るされた鐘を鳴らして子供達は放課後を満喫できる非常に自由な時間が始まっていくのであった

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