教会の毎日のお話
此処はいつも夕陽の燃える太陽の教会…そこで彼女は今日も勤めに励む、あくまで真面目に
朝と夜の町の真ん中に夕方の丘にある慎ましい聖堂と墓場で働いている、真面目だが口の悪い修道女と優しいが少しだけ怠け者の神父達を取り巻く日常達。
朝の町は白く四角い家の立ち並ぶ眩しい街並みで、夜の町は茶色く豪奢でいつも暗い美しい街並みだ。
そして教会に日曜の礼拝日でなくとも変化をもたらす人々がまた今日もひっそりと楽しく明るく暮らしている。
そして今日も修道女は墓場で無縁仏を弔い、神父は祈りを捧げて聖堂の扉には誰かがやってくる、いろんな出来事をお土産に…
今日も彼女はスコップと棺桶を載せた台車を引いて聖水と聖書をカバンに入れて墓場で仕事をする、今日も彼女は無縁仏を清め祈りを込めて弔う、本来なら神父の仕事もやっている彼女だが肝心の神父は聖典を読み、安らかな面持ちで祈りの言葉を紡いでいた。
そして彼女が汗まみれになって帰ってきた時に掛けてきた言葉は「おお…すまないね」と言うのが恒例だった。
「いい加減に自分で行ってくれ!私に任せる仕事じゃないだろ!」
「年寄りに殺生な…若い者が体の弱い年寄りを虐めるでないわい…」
こんな会話も、もう教会では日常茶飯事だった。そして二人の会話をよそに扉が勢いよく開いて「おーっす、飯の配達だよ」と黒いズボンと前掛けに白いシャツを着た黒い短髪の少女が大きなバスケットを持って来た。
そして少女に「アイツも口が悪くなってもうたわい…」と愚痴をこぼすも少女は笑って「おい、シスターもあんま虐めるなよ?」と軽口を叩き、シスターも「悪かったよ、クロエ」と適当に聞き流していた
実は神父とクロエの働いている大衆食堂の親父は昔からの親友で教会の傘下で店を出させている礼に昼飯を届けていると言う事情が有った。
なので献金が集まらずとも飢えてしまう事が無い代わりに、食堂も経営に困ったら教会に頼る事の出来る。
なので食堂も安価でどんな人にも暖かい食事を振る舞える仕組みになっているのだった。
お勤めの休憩時間にクロエとシスターと神父が一緒に昼食を取るのが毎日の食事風景だった、お勤めと言っても墓場の管理や聖書を読み上げ祈りを捧げて週末には礼拝用のワインと小麦を買うぐらいである。
それ以外は神父もシスターも教会を家として毎日を過ごしているのだ…神父曰く神様と一緒に住んでいるとも言えるが。
そしてたまにこの聖堂には悩みを持った人が訪れる事もある、その時には神父が懺悔室で住民の悩みを聞き、相手の気が済むまで聞いているのも仕事だった。
そしてこの聖堂には聖歌隊は居ない、しかし朝の町の学校の子供達が礼拝に来た時には皆で学校で習った聖歌を歌うので必要は無いのである。
そして今日もシスターと神父は夕方丘の教会でひっそりと慎ましく暮らし続ける…
この町が忘れ去られるまで何時までも、何時までも…