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黄巾無双  作者: 味の素
黄巾の章
9/62

第八話 相対する英雄

世界を恐れるな。ただ自己を恐れよ。


~杉浦重蔵~



~曹操 side~



町に到着して黄巾党に勝利した際、そこで義勇軍として活躍していた楽進(真名:凪)と李典(真名:真桜)、于禁(真名:沙和)を新たな家臣として引き入れた。

おそらく鍛えれば一角の部将としてこの私の覇道を助けてくれることだろう。



「華琳様!!」



私に駆け寄ってきたのは配下の弓の名手である夏侯淵、真名を秋蘭。

いつも冷静であり、平静である彼女が珍しく額に汗を浮かべている。

何があったのだろうか?少なくとも良い知らせではないわね。



「何があったの秋蘭?」


「こちらに黄巾の軍15000が接近中です。進行速度は速く、おそらくあと三刻程でこの町に来るかと」



ずいぶんと遅い援軍ね・・・。

だがそれだけで秋蘭の平静が乱される訳がない、他に何かある。



「黄巾党の旗は『波』、おそらく波才率いる黄巾の部隊かと」


「「「!?」」」



周りの戦勝により浮かれていた空気が引き締まった。

誰もがその黄巾党の男の名を聞き顔をしかめる。



「その情報は確かなのね?」


「はい」



そう・・・あの波才が。

まさか向こうから来てくれるなんてね。


波才

黄巾党の将軍であり、彼の部隊は聞く中では負けを知らない。

優秀な将がおり、統率もとれ、様々な戦略で敵を打ち負かすその姿に恐れられている。

波才自体も優れた剣士であり、彼が戦場で戦う姿は生き残った兵曰く、まるで無人の野を進むがごとくだったとのことだ。


だが彼の部隊は決して民を襲わず、略奪もしない。

襲うのは暴政を強いていたり、悪名が聞こえる役人や太守のみで、場合によっては民に自らの食料を分け与えている。

そのため黄巾の中でも義がある将と名が知られ、各地に彼らの勇名が広がっている。


その彼がなぜこのここに・・・いえ、今はいかにしてこの局面を乗り切るか。

そんなことは波才を生け捕った後に彼自身に聞くことにするわ。



「・・・この町では籠城して耐えきることは不可能かと」



楽進の言う通りね。

先ほどまでの戦闘でこの町は既に壊滅状態。

そんな町に籠城など愚策もいいところ。


となれば野戦ね。


先の戦勝により、士気は大きい。

それに兵に若干の疲れはあるだろうが、問題は無い。

援軍は・・・まあ期待出来ないわね。

本拠地から離れており、おそらく到着する頃には終わっている可能性が高い。



「各自、すぐに部隊へ戻り戦闘の準備を。おそらくこの町で戦った黄巾の兵との練度は比べものにならないと思うから油断はしないように。賊ではなく一国の軍と戦う気持ちでいなさい」


「「「「「っは!!」」」


「凪、真桜、沙和。貴方達はまだ疲労が見えるからこの町で待機。場合によっては民や負傷兵を引き連れて避難させてちょうだい」


「「「了解!!(なの!!や!!)」」」



さて、名に聞こえる黄巾の将波才。貴方は私を楽しませてくれるかしら?

もし、噂通りの者だったなら私の配下にするのも悪くはないわね。

桂花あたりはおそらく反対するでしょうけど、私は欲しい者は手に入れないと気が済まないから。


ふふ、私の目に適う者で在ることを期待させてもらうわね。













~波才 side~



「おお、これは壮観な眺めだ」



彼が町まであと五里の所まで来たときそこに見えたのは見渡す限りの『曹』の旗。

その数12000程か。

兵数は勝ってはいるが完成された陣形。おそらくたやすくは崩せまい。

そして兵の顔はみな死地へと赴く武士のごとく、その士気は天にも昇るようだ。


なるほど、ここまでの覚悟を兵に決めさせる。それが見られただけで曹操という人間を垣間見た気がする。



「ケケケ・・・コイツハ面白ソウダ」


「血が・・・滾ってくるな」


「・・・」



うちの武将達も今までにないやる気を見せてくれている。

まあ、今までまさしく『雑魚』というのがふさわしい者達としか戦ってこなかったですからね。

それが今日、この場所で初めて自分たちが戦い尽くせる相手を見つけた。

周りの兵達はそんな三人が纏う、別格の闘気に当てられて汗を垂らし緊張した面持ちで三人見ている。


私から見たら、今すぐにでも駆けだして遊びに行きたいという無邪気な子供にしか見えないんですがね。



「みなさん、真の目的を忘れてはいませんか?今回は様子見ですよ、様子見。発案した明埜まで忘れてはいませんかね?」


「「「・・・」」」



忘れてましたね。

子供そのものじゃないですか。



「まぁ構いませんよ、思う存分とやりましょう。様子見という範囲内でね」


「ソウダナ・・・」


「了解です」


「・・・」



うん、ちょっと心配だけど大丈夫でしょう。

・・・たぶん。



「さて、私は曹操に直接会ってみたいのですよ。皆さん、道をしっかりと作ってくださいね?」



三人がその言葉を聞いて驚く。だって興味が沸いちゃったんですよね。

曹操という人間に。



「無茶ヲ相変ワラズ言ウナ、旦那ハ」



そう言って明埜は呆れるが嗤っている。



「それが主です。もはや仕方ないでしょう」



美須々も口元は笑うが目は曹操軍から一度も離さず、猛獣のごとく睨んでいる。



「・・・」



琉生は何も言わない。だがその双剣は何時でも抜けるよう彼女は無形の構えを既にとっている。



「「「お任せを!(オ任セヲ!)(・・・!)」」」



そんな配下を満足げに私は眺めると、視線を曹操軍へと移す。

うん、今日は良い天気ですね。



「さて、前々世での借りを少しは返してもらいますよ」











~曹操 side~


あれが・・・波才の軍。



「あれが本当に黄巾党なのか・・・?」



春蘭の言葉ももっともだ。

今までの黄巾党といえば数頼みの攻め。陣形などとらず、がむしゃらに攻めてくることしかしない。まさに有象無象の群れという言葉がこれ以上に似合う連中はいなかった。

そのため、こちらの兵法や戦略にたやすくかかり、面白いように崩れていった。


だが、あの軍は違う。

兵が統率され、陣形を作り、こちらを打ち破らんとする様は正に一国の軍隊と同等。いえ、将によっては更にその上をいく。

そしてあの軍から漂う殺気は普通の軍とは違う。


どす黒く、禍々しい怨と殺気。


面白い。

黄巾党討伐という私の覇道を歩むための足がかりでしかない過程で、あのような者達と剣を交えられるとはなんたる行幸。


私は今笑っている。強者と出会えた喜びに。


あのような者達を殺すなどもったいないわね。

運が良ければ今日は優秀な配下を四人迎え入れることができるかしら。



「春蘭、秋蘭」


「「っは!!」」


「できれば波才を生け捕りなさい」


「「は?」」



二人はポカンとしている。

かわいいわね。これが終わったら床でたっぷりとかわいがってあげないと。



「あの将は殺すには惜しい、この曹操の覇道を進むためにも彼は必ず私の役に立つでしょう。できるかしら?」


「お任せを!!華琳様のためにこの春蘭、波才を必ずや生け捕って華琳様の元へ帰りましょう!!」


「ふふ、期待しているわ。・・・そろそろあちらも動くようね」



空気が変わった。おそらくあいては動く。

こちらも迎撃の陣形をとりそれを迎え撃つ。


相手の陣形が変わりこちらへと迫る。


そして英雄と黄巾の将との戦いが始まった。








~美須々 side~



「全軍一つとなり敵陣を突き破るのだ!!」



なるほどこれが曹操の兵!!


強い!


こちらの兵が互角、いやわずかに押されている。

だが我らは主の道を空けるためにも引けない。私を討ち取ろうとした三人の兵の胴体をまとめて両断。血と腸が舞い、どす黒い赤が地面と私の鎧を濡らす。

その凄惨な光景を見て立ちすくむ兵士の胴体に一突き。そのまま持ち上げてこちらに迫る敵兵ごと吹き飛ばす。


相手が怯んでいる、今のうちに



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「!?」



横合いから斬りつけられた大剣を受け止める。

剣を振る女は赤い服を着ていて、主曰く黒髪にはアホ毛と呼ばれる者が生えている。


なんて重い剣なの!?


ははは楽しい、楽しすぎる!!


大剣を打ち払い、横なぎに槍を繰り出すが受け止められる。

だが、そんなの関係ない!!そのまま押し込む!!


相手を押し込み、吹き飛ばす。だが相手は剣を大地に突き刺し体を固定。

追撃し、槍を振るうが受け流され私の目の前に大剣が突き出される。

首を体を反らしたが前髪を数本持っていかれる。さらに剣圧による風が私を襲い吹き飛ばされるが体を曲げて猫のような形になり着地する。


私は赤い服の女を見る。

すごい殺気と気迫。体が武者震いに震える。



「貴様が波才か?」



赤服が尋ねる。

ああ、何言ってるのかしらこのアホ毛は。



「波才とか波才じゃないとかそんなの今関係あるの?」


「なに!?」


「戦場で武人同士が会ったらやることは決まってるでしょう?そんなくだらないこと持ち込むんじゃないわよ。私を生け捕るなり、四肢を切断するなり戦闘不能にしてからそんなことは聞けばいいじゃない。今は、そう、今は私達がやることは一つなのよ。ここまで言っても解らない?」



そう言って私は槍を構える。


会った瞬間解った。

この人は私と同じ。



「・・・そうだな。お前を倒してから聞けばいいことだ!!」


「解ったなら続き!!さあ、やるわよ!!」



戦闘狂だと。



「レッツパーリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」



主に頂いたこの言葉!!叫ぶだけで力が湧き出てくるわ!!

さあ!!殺し合いましょう!!





~秋蘭 side~


姉者は敵の将と一騎打ちをしている姿が見える。


相手の軍は強い。


並の訓練を施していない我が兵と戦い、押されてはいるが負けてはいない。そして姉者と交えるほどの優秀な将。

華琳様の言うとおりこの者達、ただの黄巾の兵と言うには余りにも



ひゅっ!!



とっさに殺気を感じた私は体をひねりそれをかわす。



「オオ・・・ヤッパリ馬鹿ノ一ツ覚エデ死ヌノハアレナヤツダケダナ」



そう言って嬉しそうな声?を出す人物を私は見た。


顔が包帯で覆われていて目が鋭い。

性別は顔が見えないのと声が異質なもののため判別できない。



「不意打ちとは卑怯な!貴様が波才か!?」


「サアドウダロウナ」



そう言うとは袖から手裏剣を出すと投擲する。



「ちぃ!!」



それを弓矢ではじき飛ばす。

目を再び先ほどあいつがいた位置へと動かすと。



「(いないだと!?どこに)」


「将軍!上です!」



部下の声にとっさに上に弓矢を放つ。



「ッチ」



そう言って正体不明の包帯人間は弓矢をかわすが



「はっ!!」



かわした時に体勢が崩れた所へ更に二本の矢を放つ。それをあやつはまたもや袖へ手を引っ込めるとその両手には八本の手裏剣が。

投擲し二本の矢を粉砕、そして手裏剣は勢いを止めぬまま私へと殺到する。

とっさに私は馬上から飛び降り回避する。

馬は悲鳴を上げると倒れたが、私自身に怪我はない。


あいつは着地すると先ほど私に注意を知らせた部下へ手裏剣を投げその命を奪う。



「・・・ケケケ。テメェノセエデ一傷モ負ワセラレナカッタジャネェカヨ」



だが言葉とは逆にまったく怒気は感じられない。

あいつは楽しんでいる。この状況を。



「貴様・・・よくも我が部下を」


「戦場ダカラ死ヌノハ当タリ前ダロ」


「そうか・・・ならば貴様が死んでも後悔はないな?」



そう言って改めて弓を構える。

もう先ほどのように油断はしない。



「(ヤッパ正面カラダト勝テネェナ。コウイウノハ美須々ヤ琉生ガスル役目ダッテ言ウノニヨ。マア美須々ハアイツヲ引キツケテイルカラ上々ダナ)」



明埜は美須々や琉生に比べてそこまで戦闘面に関しては強くはない。

機転と奇襲、技術や特殊な暗器をいかして戦い、勝利してきた。その為、この場面のように一騎打ちという形は不利でしかない。

彼女は隙を作るべく相手の心に隙間を作り上げる。



「ケケケ・・・俺ハ波才ノ旦那ジャナイ、馬元義ッツウ名前ダ」


「なら生かす理由も無くなったな」



そう言って構える弓の鏃には殺意が込められる。

だがそれに動じず馬元義は不敵な笑みをもらす。



「ジャア問題、アソコデテメェノ姉貴ガ戦ッテイルアイツハ程遠志。波才ノ旦那ジャネェ。オ前モココデ私ノ相手。肝心ノ波才ノ旦那ハドコデショウカ~?」



そう言って嫌らしく笑うその姿に私の頭には一つの結論がでる。



「まさか!?」



その瞬間、華琳様の近くにいる兵が数人吹き飛ぶのが見えた。



「華琳さ」


「旦那ニ琉生ナイスタイミング♪」



わずかに意識がずれた隙、それを逃すほど馬元義という人間は甘くはなかった。

袖から複数の手裏剣を出し、人体の急所へと投げつける。複数の迫り来る手裏剣を秋蘭はとっさに捌いたが一本の手裏剣が肩に刺さる。



「っぐ!?」



だが秋蘭それに構わず弓を放つ。



「ウオッマジカヨ!?」



弓は相手の足に突き刺さる。バランスを崩し倒れるがすぐに体勢を立て直し刺さった弓を抜く。


私も肩から手裏剣を抜き取る。


激痛が走るが今は痛がっている場合ではない。相手も負傷しているとはいえまだまだ相手は動ける。

早く倒し華琳様の元に向かわねば!!









~波才 side~


軍の流れの中心へ走る。


どうやら二人は夏侯姉妹の足止めを成功させているようですね。

・・・もう有名な部将が女体化してるのは慣れました。


これはあれですね。曹操も女体化してますよね。

あの曹操が女体化・・・どうなっているんだろう?たしか前世では遠くから見た姿はチビだった気がしますね。

ってことはチビかな?

でも程昱さんとかは史実では高いのにここでは縮んでいたからなぁ。


そんな事考えてる間も剣を振る。一振りごとに命が一つ、また一つと消えていく。


そばに控える琉生も主の道を塞ぐ兵達を無表情のまま切り捨てる。



「(そこか)琉生、後は任せましたよ」



彼の兵の指揮権を琉生に譲り、目をこらし先を見る。

そして、



「飛べっ!!」



彼の馬が敵兵の垣根を飛び越える。そして飛び越えた先に英雄の姿を見つけた。



「・・・ここまで来るとは。名を聞かせて欲しいわね」


「おや?人に聞く前にご自分の名前を言うのが礼儀では?」



目を細める金髪のくるくるツインテールの少女。

その髪には二つの髑髏の髪留めがあり、武器が鎌というのはどう見ても死神そのもの。

まぁだいたいは目星がつきますね。偉そうですし?チビですし?



「何か馬鹿にされた気がするわね・・・」



そう言って呆れた声でため息をつき、打って変わって鋭い目でこちらを見つめる。



「我が名は曹操」



英雄が放つ覇気に全身を当てられる。

解る、この者は王。王に生まれ、乱世を突き進む奸雄。

目は爛々と輝き、一つ一つの動作に目を奪われる。誰もが引きつけられる魅力。誰もが付き従う魅力。

・・・すばらしい、これが曹操なのですね。

まさに時代を築き上げるのに相応しいお方です。



「私、波才と申します」


「そう貴方が・・・それで?ここには私の首を獲りに来たと考えていいのかしら?」



そう言って鎌を構える。いや、ギャグじゃないですよ?



「いえいえ、ちょっと曹操という人物を見に来ただけですよ」


「ふ~ん。それで貴方の目から見てこの私はどう映ったのかしら?」



ええ、凄すぎて一瞬言葉を忘れました。

さて、用事も済みましたし、そろそろ引き時ですかね。



「想像通り、いえそれ以上ですかね。来て良かったと思いますよ。それではごきげんよう」


「・・・はい?」



そう言って私は踵を返すと馬の横腹を蹴って馬を走らせる。



「待ちなさい!!」


「待ちません」



そろそろ止めておかないと兵がたくさん死にますね。

これ以上私達のわがままに付き合わせる事は出来ません。


途中で敵を輪切りにしている琉生と合流。うん、文字通り輪切り。

・・・うわぁ。地獄が広がっている。

彼女の周りには人だったモノが散らばっています。

・・・しばらくお肉は食べられない。



「琉生~おうちに帰りますよ」


「・・・」



片方の剣で敵の首をはね、もう片方でもう一人の敵の腕を切り落としながら了解と目を向けてくる。

黙々と敵を殺し続ける姿は味方といえど恐ろしいですね。

それに敵を切りすぎて剣の切れ味が落ちているのかほぼ力ずくで切り捨ててます。

切られた面が引き裂かれたようにぐちゃぐちゃです。


・・・この子が味方で本当に良かった。


そのまま琉生が殿を持つ形になる。

それにしてもあれが曹操ですか。なるほどなるほど。


・・・。



自分はもう、必要ないかもしれませんね。













「・・・終イミテェダナ」


「まさか!?」


「安心シナ。タブン旦那ハヤッテネエカラヨ」


「・・・」


「次ニ殺リ合ウ時ヲ楽シミニシテルゼ」



ケケケと笑うとそのまま明埜は戦場を退く。

それを狙い撃とうと弓を引くが・・・それを下げた。



「(今はあやつよりも華琳様の安否が重要。だがこの肩の傷、借りはいつか返させてもらおう)」



そう決意し、秋蘭は最愛なる己の主の元へと向かう。













「・・・」


「どうした?」


「いや、主からの命令が有りました。引かせていただきます」


「なんだと!まだ勝負はついていないではないか!?」


「ふふ、次に合う時を楽しみにしていますよ」


「まて!!」



そう言って美須々も戦場から退く。



「むむむ・・・なかなか面白いやつだったな。まあいい、次に合うときこそは勝ってみせるぞ!!」



春蘭は何のために戦っていたのかすっかり忘れていた。



「・・・でもあいつが言っていたぱーりぃか?あれは中々格好いいな」



そういってうんうんと頷く。

彼女は頭のねじも数本飛んでいた。







~華琳 side~


「華琳様!!ご無事で!?」



秋蘭が心配した顔でこちらに走ってくる。



「ええ、大丈夫よ。それにしてもあれが波才か・・・」



私は未だに波才が去っていった方角から目をそらせずにいた。



「ああ!!そうだ、すいません華琳様!!この春蘭、波才を捕まえてきます!!」



そう言って馬に乗り追撃を仕掛けようとする春蘭を止める。



「いえ、いいわ」


「も、申し訳ありませんでした!!」



でもそうよね・・・なにかお仕置きが必要ね。



「・・・そうねぇ罰は受けてもらうわ。私の床でね」



そういって春蘭の顎をなでる。



「華琳様・・・!?」



恍惚の表情を浮かべる春蘭。だが、その顔は自らの妹を見て変わる。



「秋蘭どうしたその傷は!?」



その声に私も秋蘭を見る。

肩口から血が流れ出ていた。見たところ余り深くはないが治療をするべきだろう。

まさか秋蘭と互角以上に戦う者がいたのというのか。



「敵の将との戦闘でな・・・」


「おのれ!!」


「春蘭、今は町に戻りましょう。秋蘭の傷のこともあるし、これ以上の戦闘は害にしかならないわ」



そう言って大剣を持ち再び追撃しようと馬に乗ろうとする春蘭だがそれ主により止められる。



「で、ですが秋蘭が」


「大丈夫だ姉者。傷は深くはないし後は残らないだろう」


「秋蘭、すぐに戻り治療をしなさい。そして落ち着き次第此度の件の詳しい報告を」


「っは!!」



町へ戻途中、私は考えた。

秋蘭が怪我を負い、春蘭と同等に打ち合い、そして私の目の前に我が兵達を退け現れる。

やはり、あれはただ者じゃなかった。


だが波才が何故私の目の前に現れそのまま消えたのかが気になる。

何のために?彼は私を見てみたかったと言っていた。そして想像以上と。


ならば何故あの場で私を討ち取ろうとしなかった?

後方のすぐ近くには彼の将の気配を感じた。

あれ程の気の者ならばおそらく二人がかりで来られたら、私は死んでいたかも知れない。

事実、黄巾の敵である私を生かす意味がわからない。それ以前に私という人間を既に知っているような素振りではなかったか?


・・・。


気がついたら町まであと少しの所まで来ていたわね。まあ、いいでしょう。

貴方が黄巾の者で在る以上いずれかはまた出会うことになる。

それを無しにしてもまた会う気がする。


彼がますます欲しくなった。あの将達も素晴らしい。

いずれか…全てを手に入れてみせる。



「(波才・・・次に合うときは貴方に洗いざらい話してもらうわよ?そしてきっと貴方を手に入れてみせる)」

忙しい

何が何って

忙しい


忙しいは季語で良いと思います。

年中使える季語って便利だと思うんで…。

そして修正したと思っていた部分がなおってないことに気がついて悶絶。


ボタン押した気になってそのまま窓を閉めてしまっていた模様。

指摘してくださった方、本当にすいませんでした。

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