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黄巾無双  作者: 味の素
孫呉設立の章
60/62

第四十七話 忍び寄れ!あけのさんっ!

嘘を大声で、充分に時間を費やして語れば、人はそれを信じるようになる。


アドルフ・ヒトラー



 「はぁ、はぁ、はぁ……美羽様大丈夫ですかぁ?」


 「ひぃ、ひぃ、ひぃ……妾はもう疲れたのじゃ。七乃、おぶってたも」


 「さ、さっすがにそれは無理ですよぉ。私も体力の限界がジリジリ迫ってきてますし」


 

 廊下を涙ぐみながら走る二人の乙女。

 言わずとしれた袁術と張勲である。途中何度か接敵したのか、張勲の持つ剣からは乾きもしない血がつーっと伝って地面に赤い斑点の足跡を紡いでいた。



 「ううー……みじめなのじゃぁ」


 「戦に負けちゃいましたからねぇ……」



 玉座でふんぞり返り蜂蜜ばかり食べていた袁術はもちろんのこと、戦の先頭に立つタイプでなく参謀型であった張勲もそれほど体力があるわけがない。


 にもかかわらず、走り逃げ続けて既に数十分。緊張と恐怖により、精神が追い込まれていたことによって、彼女達は既に心身ともに疲弊しまっていた。



 「うー、七乃七乃!蜂蜜水が飲みたい!妾は蜂蜜水が飲みたいのじゃ!」


 「もぉー。わがまま言っている間に足を動かしてくださいよぉ」


 「やじゃやじゃ!妾はもう動けないのじゃ!」


 「そんな事言っていると孫策さんがやってきますよ。悪い子はいねがーって」


 「それはいやなのじゃ……でも蜂蜜水はもっとのみたいのじゃー!」



 どうやらこの御主君は本当に現状が理解できていないらしい。

 駄々をこねる袁術を何とか説得しようと張勲が頭を悩ませていた、その時。



 「なら好きなだけ飲ませてあげましょうか?」


 

 聞き覚えがある声が彼女らの耳に飛び込んできた。


 殺気立ち、それでいて愉快極まりないといった弾む声。

 袁術は目に涙をため、頬を朱く染めてがたがたと震え始める。張勲も大きく目を見開き、歯をかちかちと恐怖から来る震えに耐えきれず音を鳴らす。


 

 「ただし……あの世でだけどね」


 

 二人が油の差していないくるみ割り人形のような動きで振り返ると、鬼と見間違わんばかりに怒気を辺りに振りまく孫策の姿があった。

 服だけではなく、髪や顔にも返り血が付着しているのにもかからず優雅に笑うその姿は、さながら幽鬼のようなおどろおどろしさがあった。



 「きゃーっ!でたーっ!」


 「きゃーっ!でたのじゃーっ!」


 「失礼ね。人をバケモノみたいに言って」



 心外だと言わんばかりに頬を膨らませてはいるが、血化粧が整えられているのでそれすらも恐ろしく思えてしまう。

何より目が笑っていない



 「な、何のようじゃ孫策!妾はお前に用はないのじゃ!」


 「そうそう!そうですよ!用はないんで、私達は先にいかせてもらいますね。孫策さんはごゆっくり〜♪」


 「つれない事言わないでよぉ。……でも残念、私にはとても大切な用があるの」


 「ほ、ほう。なんじゃ?ようがあるんならさっさと言って、さっさとどっかに行けばいいのじゃ」


 「そうですよ、こう見えて私と美羽様も、とーっても忙しい身なんですから♪」


 

 必死だった。端から見ても涙ぐましいほどに二人は必死だった。

 だがそんな二人を孫策は口に端を歪めながら嘲笑い、孫家の宝剣を抜き放つ。



 「じゃぁ、さっさと用を済ませないとね」


 「な、何で剣を抜くのじゃっ!?」

 「だって、抜かないと殺せないじゃない?」


 「わ、妾を殺すというのかえっ!?」


 「当然じゃない。今まで言いように使われてやったんだから、その分お返ししてもらわないとね」


 「な、七乃!わ、妾を助けるのじゃっ!」


 「む、無理です。孫策さんなんかに勝てるわけ無いじゃないですかっ!?」


 「七乃の役目は妾を守ることであろうがっ!」


 「だから後ろから見守っていますっ!」


 「はいは〜い、漫才はそこら辺にしときなさいよ。そういうのは波才と付き合っているだけでお腹いっぱいなんだから」



 ついに二人は端へ追い詰められてしまう。

 逃げ場は孫策が塞いでおり、彼女の影が袁術と張勲に被さる。 二人は暮雨の涙を流しながら互いに身を寄せ合った。


 

 「あらら?泣いちゃった」


 「う、ぐしゅ……いやじゃ……いやじゃいやじゃいやじゃ!妾は死にたくはないのじゃ~~!助けてたも~~!」


 「ううっ!美羽様ぁぁぁぁぁ~~~!」



 しばらく泣いていた二人であったが、張勲は覚悟を決めたのか。

 涙と鼻水を流しながらも袁術を自分の背中にかくまうと、目を瞑って叫ぶ。



 「えぐ、ぐすっ、そ、孫策さん!お嬢様の命は助けてくださいぃ!私の命ならいくらでも差し上げますからぁ!」


 「うわぁぁん!七乃ぉぉぉぉぉ!」


 「お嬢様ぁぁぁ~~~~!」


 「麗しき主従愛ってところかしら?大丈夫、二人仲良くあの世に送ってあげるから」



 孫策の笑みがいよいよ深まってくると、二人はより一層身を寄せ合い抱き合った。



 「七乃ぉぉぉぉぉ!」


 「地獄に堕ちてもずっと一緒ですよ、お嬢様ぁぁぁぁぁぁ~~~!」



 しばらく泣き叫ぶ袁術と張勲を眺めていた孫策であったが、静かに目を瞑ると様々な雑念と共に息を肺から全て吐き出した。

 そして二人の前に歩み出ると、ゆっくりと目を開き始める。再び開かれた目には憎悪や殺意は宿っておらず、静かな湖の如く揺らぎ一つもない。

 

 

 「……な~~~んてね」


 「……ほえ?」


 「……はえ?」


 

 呆気にとられる二人をよそに、孫策は呆れたように視線を上に逸らしながら頭をかいた。

 どうやら興が冷めてしまったらしい。



 「冗談よ、冗談。今更貴方達の命奪ったって、な~んにもならないしね。その代わり、この城から二人だけでとっとと出て行きなさい」



 その言葉に希望を見いだしたのか、途端に目を輝かせて頷き合う。

 命が助かった事で今までの緊張が全て解けたのか、張勲に到ってはほっと胸をなで下ろしてどさくさに袁術をおもいっきり抱きしめた。



 「で、出て行く!出て行くぞ!なぁ七乃!」


 「はいです!命を助けて貰えるならすたこらっさっさですよ!」


 「そう、なら後は好きにしなさい」


 「はぅ!助かったのじゃ、七乃!」


 「はい、お嬢様!」


 「ただしっ!」


 「「ひぅっ!」」



 可愛らしく悲鳴を上げる二人に、孫策は再び獣が威嚇するような笑みを浮かべる。



 「二度とこの国に戻ってこないこと。……もし見つけたらこわ~いおしおきをしてあげるから」


 「お、おしおき?」


 「そっ。首と胴が永遠にさよならしちゃうようなきつーいおしおきおね」


 「あわわわわわわわわわ……」


 「はぅぅはぅぅぅぅぅ……」



 どこかの軍師がキャラをぱくりやがったと怒り出しそうな怯えた声を漏らしながら、二人はがたがたと子供のように震えだした。

 もはやこの二人は永遠にこの恐怖を忘れることはないだろう。もしかしたら夢にも出てくるのかもしれない。



 「……それが分かったら、さっさと出て行きなさい。貴方達を見ているとやっぱり殺したくなっちゃうから」

 

 「うう、ありがとうなのじゃー……」


 「このご恩は一生忘れません~……ってわけで、お嬢様、行きますよ!」


 「分かったのじゃ。……でもでも、やっぱりいつか覚えてるのじゃー!」



 あ、何言ってんのこの御主君。

 そう思って大将軍が顔を青くしたとき、孫策の目からは色が抜け落ちていた。



 「何か言った?」


 「うううううう嘘なのじゃ!何も言っていないのじゃ!ではさらばじゃ孫策!」


 「さよぉぉぉぉぉならぁぁぁぁぁぁぁ~~~!」

 


 孫策の横を通り過ぎて二人は粉塵を残しながら猛ダッシュで廊下をかけていった。

 その逃げっぷりと言ったらほれぼれするようなすばらしさがあった。思わず孫策は口笛を鳴らして彼女達を見送る。


 そしてその姿が完全に、見えなくなった後。人知れず孫策は終わったと息を吐き出したのであった。


 

 「いいんですか~みっすみす逃がしてしまって?」


 

 だがそんな彼女に水を差すかのように、波才が暗がりからゆっくりと姿を現す。どうやら一部始終をゆっくりと眺めて愉しんでいたらしい。

 どうやら孫策が袁術と張勲を逃がしたことが不満だったらしく、口を尖らせながらぶーぶーと声に出してブーイングをしている。


 そんな波才の姿に呆れたのか、それとも今までの緊張で彼女も疲れていたのか。

 首をこきこきと鳴らしながら抜き身のままであった宝剣をゆっくりと収めていく。



 「いいじゃない、別に。なんかあんな姿見ていたらどうでも良くなって来たわ。それとも私にあいつらを殺せっていうの?」


 「中途半端な情は身を滅ぼしますよ?」


 「情なんてこれっぽっちもないわ。ただわざわざ殺す価値が無いものを何で殺さなきゃいけないのって話」


 「ふ~ん……そうですか」



 興味を失い仮面の光点を失わせる波才に、孫策は僅かな疑念を抱く。

 この男であればもう少し追求か、からかいの野次を飛ばすかと思われたが……。

 気のせいか、随分とあっさり身を退いたものだ。何か考えているのだろうか。



 「……じゃぁ、私が好きにしてもいいですよね」



 波才が何か呟いたが、あまりにも声が小さく聞こえない。


 胸のわだかまりを解消するべく口を開こうとしたが、廊下に自分の名が響き渡った事で断念される。

 振り向けば、呉の将軍の何人かが息を切らせてこちらへと向かって来きているようであった。


 

 「既に城内の制圧は完了した。後はすぐに防備を完了しなくてはならない……。それと雪蓮、貴方に聞きたいことが」


 「姉様っ!何故袁術を逃がされたのですか!?」



 周瑜が聞かんとしていた問いを遮り、代わりに孫権がそれを糾弾する。

 自らの姉に変わり総指揮をとっていた彼女であったが、どうやら姉の今回の裁定には納得がいかないようだ。


 周囲の将も口に出さずとも、心の中で考えている事は孫権と同じようであった。それぞれが思い思いの視線に意を込めて孫策へと送っている。



 「さっき波才にもいったけれど、あんな奴らに殺す価値なんてないわ。無いものをわざわざ殺すほど私達は暇じゃないでしょう?」



 そんな彼女らに孫策は悪げもなくからからと言い放った。


 なんとも自らの主君らしい理由だ。こうなっては仕方がないと何人かは納得し、それも致し方あるまいと今後の孫呉に思いを馳せた。

 唯一孫権はあまり納得はできなかったようだが、これ以上言っても現実問題袁術は既に逃げてしまったのだ。


 無いものを今更どうにか言っても仕方がないと天を仰ぐ。



 「ま~あれですよね、終わりよければ全てよしってことで」


 

 波才の投げやりの一言に全員の頬が引き攣った。

 確かに言っている事は間違ってはいないのだが、何故かこの男が言うと激しく違和感を感じる。



 「……あれ?何でこんな空気になっとるん?」

 

 「頭に手を当ててよく考えてみるのですよ」


 「……お腹、空いた」



 じと目で眺める陳宮を無視し、お腹が空いたという呂布におにぎりを差しだす波才。

 呂布はそれを受け取ると美味しそうにはむはむと食べ出した。おにぎりは二秒で消え去った。


 あまりの早食いに孫策軍及び波才まで唖然としている。

 何故か陳宮が誇らしげであったが、当の呂布はまだ足りないらしく切ない眼差しを波才に送っていた。


 

 「いや、あの、もう持っていないんですけど」


 「……ご主人様、うそつき。おまんじゅうの匂いが、する」


 「っぐ。仕方がないなぁ、これ午後のおやつだったのに……というか、だれがご主人様?」


 「……ご主人様は、ご主人様」


 「いや、日本語で……あれ?中国語?なんかもうどうでもいいや」



 締まりがない二人の会話にあきれ返る周囲をよそに、波才は懐からまんじゅうを二つばかり取り出すと、一つを呂布に差し出した。

 嬉しそうに受け取りはむはむと食べ始める呂布と、自分も食べ始める波才。



 「って、さりげなく恋殿を餌付けするんじゃないのですっ!!」


 「いや、それなんて理不じごふぁあぁぁぁぁ!」



 両手がふさがっていた波才に防ぐすべはなく、陳宮キック(白蓮の剣の数倍の威力)を喰らい饅頭を吹き出して倒れ込んだ。

 本当に痛かったのか、何度も咳き込んで目には涙を浮かべて転げまわっている波才。

 ガチ泣きであった。いい年した男がガチ泣きして唸りながら地面を転がっていた。


 その情けない様子をまじまじと見せつけられた呉の面々は。



 「よ~し、それじゃ終わったら宴会ね。こんなにすがすがしい宴会は久しぶりかも」


 「そうじゃなぁ、孫家が本当の意味で復活した祝いじゃ!今日はわしも飲むぞ!」


 「まったく、祭殿はいつも飲んでおられるだろうに。……仕事をほっぽいてでも、ね」


 「む、むぅ。冥琳、こんなめでたい時にそのようなことを言うでないっ!」


 「そうですよぉ冥琳様。こういう時ぐらい眉間のしわを落とさないと、そのままになっちゃいますよぉ~」


 「余計なお世話だ穏」



 無視した。まるでそもそも波才なんて人間はいなかったんだ、みたいな扱いで波才達を無視した。

 おそらく脳内の中でも、波才がいたところだけきれいに抜け落ちているのだろう。というか抜け落とさせた。

 ある意味で正しい選択なのかもしれないが、なぜだろう。


 自分達を残してわいわいと賑わいながら去っていく孫呉一同を、いまだに起き上がれない波才は涙ながらに見送ったのであった。


 しかし孫権は何を思ったのか、一人波才の下に駆け寄ってくる。


 

 「そ、その。先に行って待っているわ」


 「……君のその気遣いがとても嬉しいです。でも、もう少しここでこうしています」


 「そう……その、あまり自分を責めないで。貴方はよくやってくれたわ」

 


 孫権は波才を気にしながらも広間の方に去っていった。

 孫権は優しいのだろう。

 だが今の波才にとってその優しさが何よりもきついものであった。

 

 できれば頬って置いて欲しかった。何故か酷く惨めに感じてしまった波才であった。


 

 「……ご主人様、大丈夫?」



 だがそんな波才に呂布が前かがみになって顔を覗き込んできた。

 無垢で無邪気で、穢れのないその顔を見た瞬間。波才は目の奥から再び涙が込み上げてくる。


 こんな、こんなかわいい女の子が反逆するわけがない。


 冷たい扱いを受け続け、一切の癒しがなくなっていた波才の世界。その中でまさに呂布は白銀の羽をはばたかせて舞い降りた、救いの天使であった。

 キックの衝撃で脳震盪を起こされて混乱していたかどうかは定かではないが、確かに波才は目の前に天使の姿が存在するのをしかと見たのだ。


 というかもうなんだ、結婚してくれ。



 「恋、私とけっ―――」


 「ってさりげなく恋殿にご主人様などと呼ばせるんじゃないのです!陳宮キィィィィィィィィィクゥゥゥゥゥゥゥ!」


 「いや、だからそれ私悪くなひでぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」


 「……ご主人様、空、飛べるんだ」



 好きで飛んでいるんじゃない。飛ばされているのだ。

 薄れゆく意識の中で、波才はやっぱり呂布は大っ嫌いだと再確認すると、地面にたたきつけられると同時に意識を失ったのであった。

 



 



 




 ■ ■ ■ ■ ■




 波才が意識を失い、倒れこんだ同時刻。

  


 「ふぅ~孫策のやつめ。今まで客将として遇してやった恩義を忘れおって!」


 「うぅ~でも危なかったですよねお嬢様。流石の私もひやっと来ましたよ」


 

 袁術と張勲は森の中をあてもなくさ迷っていた。

 取り合えず勢いよく城から逃げ出してきたものの、お金や物を持ち出す暇など当然ながら無かった。

 体一つでそのまま飛び出してきたために、今後どうしたらの良いものかと張勲は頭を悩ませたいた。


 いくら命が助かったといえども、皇帝の証も無く、行く宛も無く、お金も無く、下手をすれば明日の生活さえ危ぶまれる有様である。

 困り果てた彼女は隣で怒り心頭の袁術に困った顔を向ける。



 「それで、これからどうするんですか?お嬢様。他の国を頼ります?」


 

 ぶっちゃけどこも受け入れてくれそうに無いが、もしかしたら何かコネがあるのかもしれない。

 まさに藁にも縋る思いでの言葉であったが……。



 「ふんっ。何故に名門袁一族の頭たるこの妾が、他国の成り上がりどもを頼らねばならんのじゃ?兵士など、妾が一声かければいくらでも集まるに決まっておろう」


 「おおーっ!さすがお嬢様!その根拠のない自信が素敵すぎますよーっ!すてきーっ!」



 ごらんの有様である。

 張勲は関羽のようにまじめではなく、どちらかと言えば波才よりの人間であった。

 ようするに、自分が楽しい事が他の何よりも一番なのである。そして彼女にとって楽しい事とは、自らの主君である袁術のことであった。


 もう可愛くて可愛くてしかたがない。溺愛につぐ溺愛で、彼女が間違ったことを言ようが行おうが、可愛いから一切咎めずに全部許してきたのだ。袁術がこうまで馬鹿になった原因は、彼女にあるといっても過言では無い。


 おかげでこういう結果を迎えてしまったわけだが、彼女は全く後悔も反省もしていなかった。

 ある意味で、一番彼女が人生を愉しんでいるのかもしれない。


  

 「ふふ、そうであろそうであろ。ならば、まずは恩知らずの孫策に復讐してやるのじゃ!!城に戻るぞ、七乃!」


 「やったー!よりによってとんでもない選択肢が来ましたよって……え?」


 「聞こえておらなんだか?城に戻ると言うたのじゃ。七乃」


 「いやちょっとお嬢様っ!?孫策さんとの約束、忘れちゃったんですか?」


 「何をじゃ?」



 が、流石の彼女であってもこの言葉は全くの想定外であったらしい。

 慌てふためきながら何故か隣でふんぞり返っている袁術へと詰め寄った。



 「私とお嬢様の二人だけで城を出るなら、許してやるって」


 「もう出たであろ?一度」


 「……へ?」


 「ならばあやつとの約束は既に果たしてやっておる。それ以外のことで、あの恩知らずにとやかく言われる覚えなどないわ!」


 「……確かに」



 訂正しよう。主君馬鹿であったが、部下もそれに次ぐ馬鹿であった。

 彼女達なら恐らくどんな苦境であれ、マイペースで生きているだろう。断言できる。


 この光景をもし孫策が見ていたならば、相当に面白い顔が見られただろう。



 「分かったならゆくぞ七乃!あやつに目に物見せてやらねば、妾の気が治まらぬわ!」


 「はいっ!お嬢様っ!」



 そう言って二人が互いに笑い合い、手を繋ぎながら呉の地へと歩き出した。

 ……その時。


 張勲が地面へと倒れ伏した。


 一歩踏み出した瞬間、自然に流れるようにして、そのままバタリと前のめりに倒れ伏したのだ。

 手を繋いでいたために袁術も同じように倒れてしまったが、不幸なことに彼女は顔からいってしまったようだ。起き上がった顔の鼻の先には、土がぽろぽろとついていた。



 「こら七乃、いったいどういう……つもり……なの……じゃ」



 顔を真っ赤にして怒り出した袁術であったが、張勲の様子がただ事ではないことに気が付く。

 起き上がる気配がなく、四肢がだらんと力なく大地に伸ばされている。

 まるで糸が切れた操り人形のような様であった。


 何度揺すっても、何度名前を呼んでも、彼女は返事をせずまるで人形のように眠っている。

 訳が分からず、ただ袁術は何度も何度も家族とも言える大切な存在の名前を呼び続けた。

 

 涙が溢れ、顔がくじゃくじゃになっても呼び続けた。



 「な、七乃ぉ、七乃!」


 「ウルセェ糞ガキ。テメェモ寝テロ」



 瞬間、例えようのない衝撃が袁術を襲った。


 殴られた、そう分かり怒鳴ろうとするも声が出ない。手を動かそうにも手が動かない。足を動かそうにも、足が動かない。


 立つこともできずバランスをとっていられなくなり、彼女もまた張勲に覆い被さるような形で倒れたのだった。


 

 「(……なん……じゃ?……眠くて……たま……ら……ぬ)」


 

 襲い来る眠気が、頭と心を蹂躙する。

 考えようにも眠くて眠くてどうしようもなくなってしまった。もう、何も考えられない。


 

 「(……な……な……の)」



 僅かばかりに動いた手は、張勲の指に触れていた。弱々しい力で握ると、確かな優しい温かさが伝わってくる。

 その温かさに釣られるようにして、静かに袁術は張勲と同じく、眠りの世界に落ちていったのだった。


 二人仲良く、重なるようにして眠る。

 二人は常に寝るときは一緒であった。もしここが土の上ではなく、寝具の上であれば、普段通りの微笑ましい光景であっただろうに。



 「ッケ、情ケネェ声ダシヤガッテヨォ。折角ダカラ指ノ一本デモモラッテヤロウカァ?オイ」


 「………」


 「ワカッテルヨ、イチイチ顔ニダスンジャネェ。デモコッチノ女ハ必要ネェダロォ?トットトバラシテ虫ノ餌ニデモシテヤロウヤ」


 「………」


 「ア!?ウルセェナァ。分カッタヨ、両方持ッテキャァイインダロ?イットクガ俺ハゼッテェ運バネェカラナ」


 「………」


 「知ルカッ!テメェガ運ビヤガレッ!」



 包帯で顔をぐるぐる巻きにした厚手の服を着込んだ女は、もう一人の女性に怒鳴り散らしながら袁術を脇に抱え上げる。

 もう一人の双剣を携えた青髪の女性も、同じように張勲を背に肩に担ぎ上げた。代わりに彼女の顔は若干険しいものであったが。



 「~ダァッ!ゴッチャゴッチャ着込ミヤガッテッ!木ニヒッカカンダクソ!」



 袁術の服を瞬く間にはぎ取ると、その辺の茂みにぽいぽいと投げ捨てていく。

 どうやら服の装飾があちこちに引っかかって運びにくいらしい。あっという間に袁術は下着姿になってしまった。

 可愛らしいフリルがついた、桃色の下着。それはともかくまだ春先にこの姿は寒そうだ。現に顔をしかめ、震え始めている。



 「ンジャ、トットト帰ルゾ。万ガ一デモ孫策ノ連中ニミツカッタラウルセェコトニナル」


 「………」


 

 そう言うやいなや、二人はその場からあっという間に走り去ってしまった。

 残されたのは脱がされた袁術の服のみ。

 しかし土に汚れ、木で破れたそれを誰が名族が着込んでいたものと分かるだろうか。


 騒がしかった森は、静けさを取り戻していた。

 誰がここで話した痕跡もなく、誰がここで嗤っていた痕跡もなく、誰がここで泣いていた形跡もなく。

 

 吹き渡る冷たい風が、木々の間を通り抜けて行った。

 遮る物は、なにもありはしなかった。







 ■ ■ ■ ■ ■






 その日、孫呉の地となった江東の都は賑わいに賑わっていた。

 老若男女、この地に住む全ての住人が喜びに沸いている。

 袁術の統治は穴だらけのずさんなものであり、税も高く設定されていた。


 しかし戻って来た孫呉の姫君達はそれらの税を撤廃し、民心を得る事を第一としたわけである。

 この政策にて民達の暮らしが良くなったことは事実。孫家の到来を喜ばぬ民はいない。

 彼女らを疎ましく思うのはこれまで袁術の影で甘い蜜を啜ってきた、後ろめたい考えがあった者達だけである。


 民は口々に孫家を讃え、敬ったのであった。


 そしてかつての袁術の居城では、大きな宴が開かれていた。

 孫家の者達は互いに今まで苦労を語り合い、自分たちの時代が来たことを喜び合った。

 もちろんこれまで以上に今後は苦労が待ち受けていることだろう。

 天下を狙う孫呉の敵は多い。だがそれ以上に、孫呉は孫呉らしく戦えるだろう。もう自分たちを縛るものはいないのだ。


 これから来るべき戦い、それすらも彼女達は酒と共に飲み干すつもりなのだろう。



 「は~さ~い~貴方まったく飲んでいないんじゃないの~?」


 「波才っ!何をやっとるんじゃっ!飲むぞっ!」


 「誰かこの二人を止めろ」


 

 ただ波才にとっては迷惑極まりなかった。

 全てが終わったので帰ろうと思ったら、瞬く間に簀巻きにされて宴会(猛獣の檻)の中に投げ込まれたのである。


 しかももはやストッパーが外れているのか、『単経』ではなく『波才』と呼ばれ始めている。


 

 「ちょっと眼鏡さん、この二人を止めてくれない?あれだよ、そろそろ殴った方がいいじゃないかって思うんだ」


 「そ、その……」


 「あれ、なんで初対面の女の子にここまで避けられているの?」


 「亞莎、その男は無視して構わん」


 「甘寧さんひでぇ」


 「それともし雪蓮達を殴るのであれば、国同士の問題となるが……」


 「眼鏡二号さんひでぇ」


 「……誰が眼鏡二号だ」


 「そうなると私は三号ですかねぇ~」



 もうあれである。混沌である。

 誰もが酒を飲んだ結果がこれである。


 孫策に寄りかれられ、黄蓋には腕を組まれ。一見役得と思えるかもしれないが、悲しい事に波才には熟女趣味は無い。

 それになによりも酒臭い。まず酒臭い。

 黄蓋の口からとんできた唾も酒臭ければ、孫策から耳に吐き出される息も酒臭い。


 いくら美人といえども、これではまったく魅力がわかない。


 ため息をつきながら酒をあおっていた波才であったが、そこへ孫権が撓垂れかかってきた。



 「は~しゃ~い~」


 「はいはい、私は波才ですよ~でもできれば単経って呼んで欲しいな~」


 「姉様と祭には『波才』で、私には『単経』なのか~?ん~?」


 「れ、蓮華様。その男は危険故、いますぐ離れられたほうが……」

 

 「ししゅんは黙っていてっ!」


 「ぎょ、御意」



 かなり酒が進んでいるようである。

 止めようとした甘寧をはね除けた孫権は、嬉しそうに波才の背中へと姉を押しのけて抱きついた。



 「私はがんばったんだぞ~波才」


 「ソウデネ~ガンバリマシタネ~」


 「ふふふ、これも波才のおかげなのだ~」


 「ソウデスネ~ワタシノオカゲデスネ~」


 「うわ、お姉ちゃんすんごい悪酔いしてる」



 もう諦めたのか、波才の孫権への対応はおざなりなものになっていた。

 波才の年齢は肉体年齢でこそ二十歳であるが、精神年齢を入れれば五十に手が届かん年齢である。

 せいぜい娘がじゃれついてきたものとしか考えられないのだろう。


 波才の反応が良くなかったことが気にくわないのか、孫権は頬を膨らませている。


 そんな孫権を見て爆笑していた孫策であったが、ふと気が付いたかのように「あっ」と声を漏らした。


 

 「波才はもう帰るの?」


 「ええ、帰りますとも」


 「え~波才帰っちゃうの~?」


 「小蓮さん、私だってやることたくさんあるんです」


 「ぶーぶー」


 「豚さん?」


 「っちょ!?こんなかわいい豚はいないよっ!」


 「……本当に何もいらないわけ?」



 不思議なことに波才は孫策が薦めた報酬とも言えるべき物資や、袁術の宝物を全て断ったのだ。


 波才は孫家が独立して間もなく、それらは自らの民のために使うべきであると固辞した。

 もともとそれらのものは孫呉の民のものである、私がもらうことは筋違いというものだと笑って差しだされたそれらを突き返した。


 孫権や呂蒙、周泰はその行動に感激して尊敬の眼差しで波才を見ていたが、孫策は彼の行動を返って不気味に感じていた。


 波才は『受け取らなくても良い』ではない、既に何かを孫呉に来て得ているのでないかと。


 

 「呂布殿~これも食べるのですぞっ!」


 「……あむあむ」


 「にしても呂布は食べるな~おい」


 「……ご主人様も、ん?」


 「いや、今は結構きているからね。食ったら吐きそう」


 「……ん」


 「呂布殿の誘いを断るとは……!許し難いのですっ!ちんきゅー……」


 「いやっ!?だから今蹴られたら吐……」


 「キィィィィィィィィィックゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


 「おうふ……」


  

 もやもやしながらも、孫策は酒を飲む。

 結局のところ「まあいっか」という結論に落ち着いたようだ。


 夜をまたいだ宴会も問題無く終わり、翌日波才は二日酔いの状態で呂布と共に孫呉から去っていった。


 ちなみに見送りの際、孫権は記憶がしっかりと残っていたのか。

 赤面で何も声を発することができず、小さく手を振って見送ったという。





 ■ ■ ■ ■ ■




 一週間後、呉の街は活気に満ちあふれていた。

 袁術という指導者がいなくなったが、孫策達が一番に民心の不安を取り払うよう動いていたために、それほど大きな混乱は見られなかったようだ。


 街の人々は新たな王の門出と、治世に思いを馳せているのか顔が明るい。

 だが、そんな街のある酒屋の中で唯一浮かない顔で酒を飲んでいる女性達がいた。



 「……やっぱり、波才のお酒の方がおいしい」


 「……そうじゃのぉ」



 他ならぬ孫策と黄蓋であった。

 二人とも気晴らしに酒を飲みに来たのか、街で一番品揃えが良く、味もまた美味しいと名高い店で飲んでいる。ここは呉の将軍達に行きつけの老舗。宴会の時も必ずここから酒を仕入れていた。

 もちろん値段もそれに見合った額であるが、一国をまとめる彼女らにとっては十分許容範囲内だ。


 ……ただ、値段が良くても味は納得できないものであったらしい。



 「……あれよね、波才のところの居酒屋に通いすぎたからかしら?」

 

 「……うむ、すっかり舌が肥えてしまったわ」



 ため息混じりに手に持った椀を机の上に置く二人。

 珍しく酒が進まないようで、数本しか空けていない。それでも多い方だと思うが、彼女達にとって数本は数滴と変わらないものであった。



 「ああ、久しぶりに飲みたいな~麦酒に清酒に濁酒」


 「焼き鳥におでん、モツ煮に魚のお煮付けも捨てがたいのぉ。あとかまぼこも食べたい」


 「あ、いいわよね。個人的にはイカの干したヤツと『まよねーず』が食べたいわぁ。肝心の『まよねーず』の作り方は波才しか知らないんだもの」


 「あれは中々に中毒性があるからのぉ。ただのキュウリにあれを付けただけでも酒が進む進む」


 「やっぱり縛ってでも留まらせるべきだったかなぁ」


 「そうじゃのぉ……」



 晴れた雲一つない青空に思いを馳せる。

 やはり酒にはつまみが必要なのだ。波才はそれが分かっていた。

 酒の際に出されるつまみの全てが、飲んでいる酒と良く合う。飲めば飲むほど食べたくなり、食べれば食べるほど飲みたくなった。


 事実、袁術に対して戦を行おうとする直前まで彼女らは波才の店で飲んでいた。

 毎日利き酒を行い、新たなつまみの開発や、美味しい酒と料理の組み合わせを発見する日々。


 あの頃、私達は輝いていた。


 と思いっきり駄目な方に思いを馳せていたが、唐突に聞き慣れた声が耳に入った気がした。

 酒のせいかと思い再度耳を澄ませると、どうやら件の声は周泰のものらしい。

 だんだんとこちらに向かって大きくなってきている。



 「お二人とも探しましたよっ!」



 突如、堰を切ったように店内に周泰が駆け込んできた。

 額には珠のような汗が浮かび、頬が上気し、いかにも以上の事態が起きて駆け込んできたと言わんばかりの姿だ。



 「あら、明命いったいどうしたの?」


 「冥琳様が至急来て欲しいと……」


 「あちゃ~……」


 「冥琳のやつ、頭に血が昇っているようじゃのぉ」



 酒を飲むために仕事をサボっていた二人にとって、その名前は今聞きたくない名前一位であった。

 もはや呉名物とも言える、酒問題である。街人曰く、一週間に六日はこの問題が表面化するらしい。いや、仕事しろよ。



 「そんなんじゃありません、一大事です!ゆ、幽州の公孫賛が……!?……いや、その」


 

 的を得ない周泰の言葉に異常を感じたのか、孫策と黄蓋は身を乗り出して、指をくいっと曲げた。

 周囲をやたら気にしている彼女に対し、ただ事ではないと感じたのであろう。もっと近くに寄れと椅子に座らせて、周泰に話の先を促した。



 「お、お二人ともお酒の匂いが……」


 「明命、報告しなさい」


 「なんじゃ明命、あやつはまた何かやらかしたのか」



 黄蓋が言っているのは公孫賛ではなく波才の事であろう。

 何だかんだ言っても、黄蓋は歴戦の将の勘から波才を油断がならない男と常々考えていた。それに波才は突拍子がないことをする事で呉の将兵の間では既に有名になっている。

 恐らく今回も主犯は波才に違いあるまい。



 しばらくきょろきょろと周りに誰かいないか確認していた周泰であったが、やがて耳元に近寄ると短く伝える。


 その言葉を聞くやいなや二人は酒屋から飛びした。


 孫策と黄蓋に先ほどまでの余裕は消し飛んでいた。焦りと苦悩が混ざり、予想外の事態からか歯をあらん限り噛み締めてただただ走る。

 周泰は急な二人の変容に驚きながら黄蓋の脇に抱えられていた。



 「ええい!何故そのような話をさっさといわぬのじゃっ!」


 「いや、お二人が飲まれていて探すのに時間が……」


 「祭、今はそれは置いといて一刻も、いや一秒でも早く城に戻って軍議を開くわよっ!多分もう冥琳が場を整えていると思うからっ!」


 「まったく……あの小童めが。何を考えているのじゃっ!」



 脇目もふらず三人は街を一目散に城目掛けて駆けていった。

 流れすぎる人並みすら目に入らぬほど、孫策は焦っていた。彼女にしては珍しくその顔に焦りが表れている。

 黄蓋もまた同様に、額から運動によるものでは無い汗が流れ出ていた。


 周泰の報告、その内容は恐らく大陸中を混乱の嵐にたたき込むだろう。

 自分たちだけがこれを知っているとは思えない。恐らく曹操もこの事態は報告されているはずだ。


 時間が経つにつれてこの騒ぎは大陸に広がっていく。

 吉か凶か、分からないがこれだけ不吉な話も無い。だが分かる事がある。


 この件は間違いなく波才が裏で糸を引いていると。



 「「(波才……、何で貴方は『袁紹に降伏』したのよ(じゃ)!?)」」



 蒼天の空が、人々の頭上で広がっている。しかしその蒼さが、三人にとっては何故か異様に心苦しく思えた。

 平和な時は終わりを告げ、群雄達が今、雄飛の雄叫びを上げる。

タイの寺院。かなり山奥にあったらしく、バスで四時間・ソンテオで三時間、あともろもろのバイクタクシーを合計して二時間だそうです。

もちろん日本語通じません、降りるところ間違えたらOUTです。現地民に交渉してバイクタクシーは乗せてもらえ、だそうです。


やっべぇ……おらわくわくしてきたぞ。もし夏休み後も更新がなければ、作者はタイで散ったものとお考えください(イヤ、マジで


さてそんな話はおいといて、次回で孫呉編は終了です。まぁ実質今回で終わってるようなものですよね。

もう少しで名家戦です。まだ全然書いていないので、とっとと書かなくては。

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