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黄巾無双  作者: 味の素
反董卓連合の章
37/62

第二十六話 会議は踊る、されど進まず

人間は思想を隠すためでなく、思想を持ってない事を隠すために語ることを覚えた。


~キルケゴール~

どうも波才です。

あの後、真っ赤になった白蓮に怒られました。

もうあんな変なこと言うなとのこと。……そんなに変なこと言いましたっけ?


それはおいといて、今私は各国の群雄さんが集う軍議に出ております。うわ~みんな女性だわ。やりにくいったらありゃしない。


何故か私がきた時に様々な思惑と、陰謀の視線を受けました。

いやん、えっち。


……まぁ取り合えず、いろいろありましたが一言言わせてください。



「さて皆さん。何度も言いますけれど、我々連合軍が効率よく兵を動かすのに辺り、たった一つたりないものがありますの」



あの馬鹿を止めてください。

クルクルドリルヘアーを靡かせて近所のおばちゃんの如くこの軍議の中で一人声高らかに話す。あの馬鹿。





ξξ*゜⊿゜)ξξ

おーっほっほっほっ!





もしかしてこの人ってやっぱしなくてもあの人ですか?

見た瞬間感じましたよ、こいつ⑨(ばか)だ。


初めて聞きましたよおーっほっほっほって。

正直見るまで信じられなかったのですが見てしまったのだからしょうがない。いや、しょうがなくないんですけどね。


金髪ロールで高飛車でお嬢様で馬鹿って何この個性の塊。

こんなアニメでもそうそう見かけない天然記念物は、どっかの施設に秘密兵器としてずっとしまっていた方が良いでしょう。というかそうしろ。

その方が私のため、ひいてはこの国のためにも良いはずです。


「(ねぇ白蓮)」


そう言って一類の望みにかけて隣に座る白蓮に話しかけます。


「(なんだ?)」


「(あれ本当に袁紹ですか?どっかのかわいそうな人連れてきただけじゃないんですか?)」


「(……残念な事に本人だ)」


波才は目の前が真っ暗になった。


このまま倒れてはお金が半分になると堪えます。

無いって…そりゃ無いって。

降りしきる弓の中を男らしく戦った袁紹がこれ?

あの混乱しきった国をまとめ上げた袁紹がこれ?

名族 (キリッ)が名族 (笑) になってますよ。



「兵力、軍資金、そして装備……全てにおいて完璧な我ら連合軍。而してただ足りないもの。……さてそれは何でしょう~」


少なくとも貴方に足りないのは頭です。


「まず第一に、これほど名誉ある目的を持った軍を率いるには、相応の家格というものが必要ですわ」


いや、そんなものより頭が必要です。


「そして次に能力。気高く、誇り高く、そして優雅に敵を殲滅出来る、すばらしい能力を持った人材こそが相応しいでしょう」


ふむふむ、そんなものより頭が貴方のもっとも今手に入れるべきものです。


「そして最後に、天に愛されているような美しさと、誰しもが嘆息を漏らす可憐さを兼ね備えた人物。……そんなこそ、この連合を率いるに足る総大将だと思うのですが、いかがかしら?」


そうですね、それよりも貴方は頭が必要だと思うんです。


一言言わせてください。


何一つお前にはねーよ!!あったとしても親の七光りの家格だけだよ!!

あとお前に対して出てくるのは嘆息じゃなくてため息だよ!!


そう突っ込みたくなるのを必死に押さえ込みます。


つっこみたい…すごくつっこみたい。ハリセンで思いっきり頭をぶっ叩きたいです。

中に何も入ってないでしょうからさぞいい音がするでしょう。


「……で?貴方の挙げたその条件に合う人間は、この連合の中にいるのかしら?」


同じく百合ドリル……じゃなくて曹操さんが相当いらついた感じで詰問する。


「さぁ?私の知るところではありませんけれど。でも世に名高いあなた方ならば、誰かお知りじゃありませんの?」


「そうね。案外身近にいるかもしれないわね」


「ええ、そうでしょう。そうでしょうとも。おーほっほっほ♪」


おい、誰かはさみ持ってこい。そのドリルぶった切ってやるから。

俺が日本のBOUZUならぬAMAにしてやんよ。


諸侯のみなさんもあきれ顔で見ています。


要するに総大将になりたいんでしょうね。

史実ならば曹操さんが推薦するんですが……。


「……」


まったくその気がない。いや、気持ちは分かる。


私ですか?嫌ですよ。

下手すりゃ巻き込まれるし、ここで目立つのは不味いですから。

それに推薦するってことは後見人、つまり利益のない責任を被せられるわけです。公私混同以前に全然おいしくないです。


さらに袁紹の性格を見るに何か押しつけられそうです。

例えば……栄えある先鋒もらっちゃう予感がします。


やったね波才君!!

目立つし被害も受けるよ!!


全然良くねぇよ!?「何がやったね!!」だよ!?

かといってこのままぐだぐだだと私の胃が死にます。こうなれば目立ってしまうこと覚悟で袁紹が自身を推する状況へ誘導するしか……。






「すみません!!」


その声に私を含めた諸侯の面々が一人の少女を見る。

意を決したように声を上げたのは



「こんなことしてる間に、董卓軍が軍備を整えちゃいますよ!」


劉備……ですか。

孔明などはいないようなので彼女自身が行動しているようです。

これはもしかしたら私の見解違いで本当は彼女は出来る人材なのでしょうか?

お手並み拝見と行きましょう……。



あと、どうでもいいですけど董卓軍とっくに軍備整えていると思いますよ?

こんな連合なんて状態になってるのにまだ整えてないとか連合組むまでもない。



「あら、そういう貴女はどなたかしら?」


「平原の相、劉備です。……ねぇ皆さん。皆さんは董卓と戦うために集まった訳でしょう?なのにこんなところで味方の腹の探り合いをしていてどうするんです!」



……ハイ?



「こうしている間にも、圧政に苦しんでいる人達がいるかも知れないのに……!!」



……へ?



「あら。新参者は良いことを仰りますわね。じゃあ劉備さんとやら。貴女にお聞きしましょう。この連合を率いるに相応しい人物はだぁれ?」


「……もう袁紹さんで良いんじゃないですか?だって袁紹さん、総大将になりたいんでしょ?」


「あらあら。この私がいつそんなこといいました?だけど……そうですわね。なり手が居ないのであれば私がやってさしあげてもよろしくてよ?」



……WHAT?



「なら決まりね。袁紹が総大将になりなさい」


「我らも劉備の提案に異存はない」


「妾も問題ないぞよ」



っちょ!?劉備さんマジッすか!?いやいやいや!それでいいの!?

あ、ダメだ。何か言ってやったぞみたいな、ほくほく顔してやがる。あれ何も考えてないよ。


……というか臣下さん何で彼女だけ出してきたの!?生贄!?生贄なのか!?


口々に賛同し始めた諸侯を後目に、自分は仮面の中の空いた口がふさがらなかった。

白蓮が小声で話しかけてきます。


「(なぁ……私達はどうする?)」


「(……汚れ役は劉備が背負いました。賛同にわざわざ異を唱える必要はありません)」


「(汚れ役?取り合えず解った)私達も問題はないよ」


おいおい、流石にあれではきついぞ。劉備はどうやら魅力にパラメータ振りすぎて他がやばいようだ。

あれだよ、初心者がパワーだけに「一発当てればいいだろ」とかいって全振りしたパターンだ。素早さ上げた奴に問答無用でフルボッコにされるあれだ。


最後に白蓮が言うと袁紹は嬉しそうに笑う。

あ、なんか殴りたい。



「あらあら?みなさんそうですの?」


「……私は陣へ戻る。決定事項は後に伝えてくれればいいわ」



そう言って立ち上がる曹操さん。何か背後に修羅が見えるんですけど。



「私も自陣へ戻らせてもらう。後ほど通達してもらえればそれで良い」



続いて立ち上がるのは褐色の眼鏡の美女。


……この人孫策の代理人でしたよね。

孫策さんが来たら大変だったわ。あの人勘がいいしねぇ。


いや待て。この女誰だったかな?



そう悩む私をよそに二人はこの場から去って……。

そう思った刹那。


曹操さんが立ち止まる。

そして振り返ると私達を一別するように見まわした。……否。


視線の先にいたのは私だ。

射貫くような、見定めるような目で私を見つめる。

そして何事もなかったかのように去っていきました。



こりゃ不味いかな?



「なんじゃあの二人は。身勝手にもほどがある」



そう憤慨するのは袁紹とどこか似たような雰囲気を持つおちびちゃんですが……。

まぁ彼らの気持ちは解ります。

既にこの場で得られるような情報はなく、居て得になるようなものもない。

それに途中で帰るということは少なからずこの残っているメンツに不愉快などの感情を起こさせるものですが、それすら顧みずに帰ったということはおおよそ見定めたと言うことなのでしょうか。


まぁいても胃が痛くなるだけですからね。


私も帰りたいです。

すんごい帰りたいです。



「ふんっ。私に任せると言った以上、私の指示に従って頂きますわ」



言ってることは間違ってないのだけれど不安になるのはなぜでしょう?



「さて、劉備さんとやら。貴女のおかげで、私が連合軍の総大将という責任の重い仕事をすることになってしまったのですけれども……」



あ、やっぱりそうきますか。

いかにも劉備に責任があると含ませながら話すその姿は……殴りたい。



「洛陽を不法占拠している董卓さんの軍勢は、私達連合軍とほぼ同等の規模。……となれば如何に総大将が優れた人物であっても苦戦は必至でしょう」



あんたが総大将ならなおさら苦戦するでしょうね。



「そ・こ・で。私を総大将に推した劉備さんに、一つお願いがあるのですけれど……」


「私にお願い、ですか?なんだろ……」


「簡単なことですわ。連合の戦闘で勇敢に戦っていただければ良いのです。あ、もちろんその後ろには私達袁家の軍勢が控えていますから、何も危険なことはありませんわ」



おお!やったね劉備ちゃん!!先陣をきれるよ!!

ドンドンパフパフッ!!



「そ、そんな」


「これほど名誉ある役目を、この私自らお願いしているのですから、きっと受けてくださると信じていますわ」



要約、捨て駒になってね~後ろには私達がいるから逃げられないよ~あ?総大将の命令に刃向かうの?ってことだわな。


つまり断れません。ありがとうございました。


劉備さんはすっかり顔が青くなっていた。そりゃそうでしょ。

だってこの連合で一番兵の数が少ないし、それで被害がもっとも多い先陣をきれってんですから。

いくら優秀な将がいても戦いは数だよ!!兄貴!!ですからね。

というよりそうなるのを考えないでさっき話してたんですか。


思わずため息をつきます。


流石にこれはまずいですね。

劉備とはこれから友好関係を築いていきたいのにここで潰れてもらっては話にもなりません。

おそらく孫策さんは味方を作りたいので劉備に手を貸すでしょうが……それでも限界ってもんがあります。

少ない数でどうにかする策はあるのでどうにかはなるでしょうがどうにかなるだけですからね。

やっぱり被害は大きいです。


しょうがないなぁ……。



「すいません、袁紹様ちょっとよろしいですか」



そう控えめに私は手を上げた。



「あら、貴方はさっきの……」


「単経です」



このドリル私の名前忘れやがったな。空っぽの頭なのに何も入らないとかどうなのよ。



「そう単経さん。なんの用ですの?」



劉備さんが心配そうな目で私を見つめる。というか期待している。

全く困るならそんなこと考えもなしに言わないでくださいよ~。



「袁紹様の余りの素晴らしい案にこの単経!!感服致しました!!」



そういいながら膝を地面につく。



「おーほっほっほ!!当然ですわ!!」



劉備と白蓮が驚いたように私を見てきました。


劉備さん、そんな泣きそうな目でこっち見ないでください自業自得です。

白蓮、お前までそうなっちまったのかと絶望の表情浮かべないでください。

私はちゃんと考えがありますから。



「しかしながら袁紹様。そのすばらしい案ですが……一つ問題があるのです」


「あら?なんですの?」


「劉備軍の兵が少なく弱すぎるのです!!これではとてもじゃないですがあの袁紹様の邪魔をする愚か者共ですら倒すことが出来ません!!加えて華麗なる袁紹様様の軍名が果たせなければ、この連合はおろか、袁紹様の名前にまで傷がついてしまいます!」


「っな!?ちょっと劉備さん!ちゃんとなさい!」


「え、えと。すいません!」



うわ~……こんな上司持ったら、入社当日に辞表を顔に叩きつけてやる。


そして頭に手を置き悲観するようなオーバーな動作をする私。我ながらこれはないわ~。



「ですから袁紹様の精鋭を五千ほどお貸しになってはどうでしょう?」


「ううん……そうですわねぇ」



後一押しか……私はちょっと失礼と袁紹に近づき進言をする。



「(今更ここで劉備から変更しては総大将の名に傷がついてしまいます。それにここで兵を貸せば万が一劉備やつが手柄を立てたとしても劉備だけではなく袁紹様の手柄にもなります。それに懐の大きさを下々の者達に示すことは悪いことではありますまい。袁家の大きさを見せつけてやりましょう)」


「そうですわね……解りましたわ!!劉備さんに兵を五千貸し与えるのでがんばってくださいまし!!」


「さすが袁紹様です!!その美しさ!!優雅さに適う者はいますまい!!」



はーはっはっは。

こうなりゃ行くとこまで行っちまえ。



「おーっほっほっほ!!ところで貴方……お名前は?」


……っぶち。

怒鳴りそうになるのを押さえます。落ち着け私、来るべき時が来たらこいつは毒がない蛇や、蜘蛛が溢れる風呂にたたき落としてやる。



「単経です。私は常に素晴らしい袁紹様の味方でございますゆえ。覚えて頂ければ光栄のき・わ・み!!」


「ふむふむ単経ですわね……覚えましたわ!」


「はは~」



いつかその年中春な頭をご開帳してあげましょう。








 ■ ■ ■ ■ ■







軍議が終了後、劉備さんには拝み倒されました。


仲間ですから当たり前です。

困った時はお互い助け合いましょうと言うと目をキラキラさせて更にお礼を言われました。お前は某CMのチワワか。


今は自陣に返り、結果を三人娘に報告し終わったところです。



「それにしても袁紹には呆れたもんだ」



そうでしょうねぇ。

だって作戦が「雄々しく、勇ましく、華麗に進軍ですわ♪」ですもの。

それ作戦じゃなくてスローガンでしょうが。



「桃香も災難だよ……お前のおかげで助かったけどさ」


「その災難は彼女自身が呼び込んだものですよ」


「そうは言ってもだなぁ……」


「貴方は劉備に同情なさるので?」


「お前はそうじゃないってのか?」



むっとしたように白蓮は私を見ます。

いや、どう考えても同情の余地がないですよ。



「白蓮、貴方は連合の軍議での劉備ことをどう思いました?」


「どう思ったって……民のことを思いやり、自ら進んで発言して」


「ハイ駄目です」


「え?」



まさか白蓮までも同類とは……こりゃ帰ったら勉強させてあげないと駄目ですね。



「彼女は三流です。いえ、四流と言っても良いかもしれません。なんせああいう場での基本の物事を理解してないのですから」


「基本の物事?」


「彼女は手札を切っていなかったでしょう?」


「……手札?」



私は姿勢を正し、正面から見つめ合います。

さて、某王国の王子様のモノマネでもしますか。いや~ラノベも勉強になるもんだ。



「あのような者達が集まる場での話し合いでのこつは自分の持つ札を切ることにあるのです。お金でも、武力でも、権力でも、それこそ家柄でも良い、自ら札を手札から切って進めるのです」


「………」



話を聞いてくれる分あのバカドリルの数万倍もマシですね、うちの君主は。



「あそこの根源には物資、兵、お金などの自分の国を支える物を如何にして少なく済ませるかという思惑があります。その為には考えて札を切っていく必要があるのです」


「札……か」


「札です。あの話し合いの場ではそれを見極める事こそが必要なのです。敵の様子を話し合ったりするだけではありません。あの場の全てが敵なのです。あの軍議で何が必要で、何をされたくなくて、何をこちらに押しつけたいのか、それぞれの思惑を一挙一動から探り、読み合うことこそあの軍議の真の目的」



それを聞いて驚く白蓮。

おそらく彼女も敵は董卓軍のみだとか思っていたのでしょうね。



「その為には私達は自らが持つ貴重な札を切る必要があるのです。こちら言い分で相手の目的を引きずり出し、思いを、考えを引きずり出し、それを元にこの連合、はてはこの戦いすらも読み解く。ついには自分しか見えなかったのが全てを知ることになるのです」



そう、それこそが必要なのだ。

それを知ることで始めて戦場に立てる。



「だれもが自らの札を必死になってかき集め、たぐり寄せ、そうやって国を強くしていくのです。全ては自分の国のために、民のためにね。それを劉備はどうですか?」



今思い出しても呆れてくる。やっぱあいつフリスク……じゃなくてラスク?

あ、マジで忘れた。



「腹の探り合いをしている場合じゃないよ~洛陽の民が苦しんでるよ~……バカですか。自分の民の事すら考えず、あのように感情を優先してなんの益も得ずに自分の札を全てさらけ出した。それで得たのは何でしたか?」


「なるほどな……そりゃ単経も呆れるわけだ。桃香は何も考えなかった、ただ自分の思いのみを優先したんだ。確かに人としてそれは正しい、正しいけどあの場では正しくはなかったんだな」


「そうです。だから自業自得と言ったんですよ。袁紹ですら自らの札をうまく使って劉備を引きずり出したというのに……劉備さんはこういう場には向きませんね」


「あいつ昔から優しいからなぁ……」


「ですがそれ故に今回は馬鹿を見たんです。言っときますが劉備を助けるのも私達に利があったからですよ?」


「利?」


「劉備に恩を売る、袁紹に気に入られる。この二つでどれほどの危険を回避出来ると思うので?この連合で徐々にそれを仕上げていけばこの連合が終わった後にも有効な札のできあがりです。少なくとも劉備用の札はほぼ完成ですね」


「はさ……単経はすごいな。そこまで考えていたのか。それに比べて私は」


「白蓮さんは劉備のように私達が不利になるよう札を切らなかった。それだけで合格点です。でも劉備さんも素晴らしい人物なのは確かです」



そう言うと不思議そうな顔を白蓮はしますが……いやいや、私は彼女を嫌っているわけではないのですよ?



「彼女だっておそらくは自分の信念を笑われる事だってあったでしょう。彼女の願いは素晴らしいものではあるがこの時代の覇者達には受け入れがたいものですからね。でも例え笑われようともとぼされようともその信念を曲げなかった。自分の道を進み続けた。それはどれほど強く、素晴らしいのでしょうか」



そうだ。私は劉備が羨ましい。

あのように自分を偽らず人を思い、純粋に信じる道が羨ましい。


それは自分には出来なかった。

主に仕えるため、生きるためとはいえ結局は自分はこの時代に流されたのだ。

自分の平和を信念を諦めて自分の道を造り替えた。その道を例え世界が認めても自分は認められない。


だが彼女は今も自分の道を信じ進み続ける。例え他者がなんと言おうと信じて進み続けた


だからこそその道を共に歩む臣下を惹きつけるのだ。自分の道を進み続けた彼女には不思議な魅力がある。


それがたまらなく自分にはまぶしく羨ましいのだ。


私はもう戻れない。

変える必要が無かったかもしれない自分を変えてしまった。獣に堕ちたモノが人に戻れぬように戻れないのだ。

どんなに後悔しても、どんなに羨んでも。










だがその道の先に天和様達の、白蓮の笑顔があるのならそれもいいのかもしれない。

いつの日か、また私が天和様達のライブの手伝いをしてみんなで笑って……。

白蓮はもう争う必要がない中で日々を地味に過ごす。


これこそが私が望むものなんだ。


ちょっとしたわがままですよ。

ずいぶん天和様達には心配をかけているようですが……。このわがままは解ってくれているようです。


本当に自分は素晴らしい人達を主に持ちました。

思わず笑いながら白蓮を見つめます。



「さて、私達も動きますかね」



よっこらっせっと立ち上がる。こきこきと首を回しながら、頭の中の盤上に駒を配置。

限りある札で一発勝負、ベットは白蓮の命だ。


……私は死んでも逃げ延びてやる。




「やるんだな?」


「ええ、私のふがいない主の望みですからね」


「悪かったな。ふがいない主で」



苦笑しつつ白蓮も立ち上がった。


さて、いっちょ行きますか。

我らは我らの成すべき事を成す。

天下万民を救うなどと言うことではなく、まずは自らが出来ることをしていくのです。



「はてさて、その前にまずはお昼寝するか」


「いや、戦支度しろよ!?」

武将紹介は時間無いのでパス、生姜か太鼓上手い人をやる予定。


作者は家では準ゼンラーマン状態(ご想像にお任せします)です。冬でも夏でも変わりません。

取り合えず、次回は天和辺りの幕間入れときます。なんか久しぶりに出すよね、張三姉妹。みんなこの物語のヒロイン忘れてないよね?……ね?


そう言えば三国志大戦でR陳宮が思ったより使いやすい。でも醤油に焼かれやすい。業炎にどう勝てとorz

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