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黄巾無双  作者: 味の素
黄巾の章
3/62

第三話 出会いは唐突に

運命は我々の行為の半分を支配し、他の半分を我々自身にゆだねる。


~マキャベリ~




なんだかんだで近くの町に到着。



この雰囲気に空気・・・懐かしい、本当に懐かしい。


日本では感じることが出来ないこの感覚に愛しささえ感じられる。やっぱり自分はこの時代の人間なんだと実感した。町並みも自分の知っているあの頃と大差ない。


私は帰ってきたんですね。







正直帰って来たくなかったですよちくしょう。



「波才の旦那、これからどうしやしょう?」



そう黄色一号が聞く。


あの後、黄色いおっちゃんとチビとおデブさんは私について行きたいと言い出しました。なんでも趙雲さんとの戦いと二度当てられた殺気に引きつけられたとか。


正直お断りしたかったですが、私の知る世界とは違うのでやはり一人で行動するのは不安なもの。

仕方なく了承しました。


全力で嫌な顔をしながら。


それと自分たちの真名を受け取って欲しいと言ってました。

真名とは自分の持つ神聖な名前らしく、自分が認めた人や大切な人にしか呼ばせないとのこと。


やっぱり私の知る世界と違いますね。私の知る漢ではそんな風習はありませんでした。


でもこの人達の大切な人になった覚えはないし、私はまだこの人達のことをよく知らないので丁重に断らせていただきました。

それまではアニキと呼ばれる人を一号、チビな人を二号、おデブさんを三号と親しみを込めて呼ぶことにしました。やったね波才さん!あだ名をつけて上げたよ!

へ?投げやり?適当?気にしたら負けです。



案の定微妙な顔をされましたが、そこは私のO☆HA☆NA☆SIをしたら解ってくれました。

流石時空管理局はだてじゃねぇ。

魔王式は偉大ですね。いっそ服も白にしちゃいましょうか?



「ん~そうですねぇ。まずは働く所を探しましょう。できれば住み込みが望ましいですが」



まずはこの人達を真人間にするために、そして明日を生きるために仕事を探さねば。

お金がなければ私達に明日を生きる事は出来ません。


でも兵士はしたくないなぁ。もう私戦いたくないんですよね。あの日本に生まれ育てば如何に平和名日常が幸せだったか、この世界に来て改めて再認識させられましたよ。

血みどろの戦なんかマジ勘弁です。



ぐ~



おや?なにやら情けない音が聞こえますね。

後ろを見ると肥満体な三号が申し訳なさそうに大きい体を縮こまらせています。



「お、お腹が空いたんだな」



太陽の位置的に正午、お昼時ですね。

よく見れば周りの飲食店に人が徐々に入り、混み始めています。

ん~良い匂いです。私もお腹が減った来ました。



「そうですね。お昼ですからねぇ。でも私はお金が無いんですがどうしましょうか?」


「だんな!!俺が旦那の分を払いやすぜ!!」



そう言って元気な一号さんですけど・・・耳元で



「いや・・・それ人から奪ったものでしょう?」



というと汗をたらたらと乾いた笑いを発しつつ私から目をそらしました。

他の二人も同様です。

うんうんO☆HA☆NA☆SI成果が出てますね。



「まあ、今回はいいでしょう。後から嫌と言うほど働いて迷惑かけた人たちに償ってもらいますよ?」



といったら三人が震え出しました。

ふふ、逃がしはしませんよ?

・・・え?私はいいのかって?

まあ私も元はあれですからね、そこまでは気にしないことにしましょう。なんだかこの世界に来てから気分が高ぶって来ちゃいました。常識は投げ捨てるものなんです。


四人で飲食店に入ります。なかなかの盛況のようで。

案内されて席に着きメニューを開きます。


・・・この時代にラーメンなんて有りましたっけ?冷食中心だぞ?なんであるんだよ。

それ以前に天津飯は日本の料理ですよ?

まあ、好きだからいいですけどね。ラーメン。


メニューを閉じてため息を付く。本当にここは自分のいた世界とは違いますね。

趙雲が女の子だった時点で重々理解していたつもりだったんですが・・・。


まてよ?

趙雲や程昱、戯志才が女の子だったんですから他の部将ももしかしたら女性になっているのでは?

だとしたらあの曹操でさえも・・・。


だめだ。

曹操が女になっている姿が想像できません。ですが人材マニアな所は変わってなさそうな気がします。

会いたいとは思えませんけどね・・・。


内心うすら寒くなってきた、そんな時だ。ふと見ると一号の懐に何か隠すようにしまわれている。

・・・何か見えたらいけない文字が見えた気が。



「一号その胸に隠しているのは何ですか?」


「へ?ああこれは山にあった社から拝借してきたもので」


「・・・」


「は、反省してます!!だからもうあれは、・・・お話はやめてください!!」



そう大声で叫ばないでください。

周りのお客さんが不思議そうな顔で私達を見ています。



「はぁ・・・あとで返すんですよ?所でちょっとそれ見せてくれません?」


「はい!どうぞ!!」



まったく。一体何を・・・。















「一号」


「ひっ!!」


「これを置いていた社で何か覚えているものはありますか?」


「いや、なにも・・・そういえばなんでもその山には仙人が住んでいるっていう言い伝えがあったような。なんていう仙人だっけか?」


「南華老仙」


「そうだ、そんな名前・・・何で旦那が知っているので?」



二号と三号も不思議そうな顔をしている。

もしかしたらこの三人と出会うのは運命なのかも知れない。なんていう嫌な運命だ。ロマンティックの欠片もありゃしないぞこんな出会い。



「この書は『太平妖術の書』ですよ。さまざまな事が書いてある貴重で素晴らしい書です」



三国志演技で張角様が南華老仙から手に入れた書物。

これにより人々からの支持を集め、黄巾党を結成した。この世界はもしや三国志演義を基準とした世界なのでしょうか?かなりやばいことになりますね。演技だったら趙雲の異常な強さも説明がつく。

特に呂布のチートに磨きがかかりますね。他にも孔明もとんでもないことになっているのでは?東南の風よ吹け~とか陰陽術に通じているとか笑えないですが。



「これは貴方が持っていてかまいませんよ。おそらく渡るべくして私達の所に来たのでしょう」



ほんと、この黄巾の姿でこの地に降りて出会った三人が黄巾をつけていた。

太平妖術の書持参で。

正直できすぎていて恐ろしいですよ。世界意志とかはたらいているんじゃないでしょうか?




食べ終わり、食後の運動を含めて町を見て回ります。

商人が、民が、見回りの兵士が町を行き交います。隣を笑顔で走り去った子供達を見ると平和だなと笑いがこぼれますね。


でもそれはほんの一部。

外の村では大半が貧しく、重い税をかけられ、国に対する不満が高まっていることでしょう。

聞けば国はあいも変わらず腐敗しているみたいです。


権力や地位を手に入れるためには上の宦官などに多額の賄賂を送らなければなりません。

その賄賂を送るために搾り取られるのは民。民がいくら絞り尽くされようとも上の連中は恐らく気にも止めないだろう。胸くそが悪くなる。

特に十常侍は帝すら抱え込んで好きかってしてるみたいですから誰も止められませんね。


いずれ不満は限界まで高まりはじけ、巨大な反乱へとつながるでしょう。


そのためにも張角様は絶対に止めなければなりません。

あの方は親を殺された私に獣の道とはいえ生き方を教えたくれた人です。少なからず恩を感じています。


・・・ですがこの大陸にいるだろう張角様を始めとした三人を探し出して私どうしたいんでしょうか。


太平妖術の書が今私達の手にある今、彼ら(彼女かもしれませんね・・・考えたくないですが)は無害です。

下手に私達が接触する方がむしろいけないかもしれません。

会えないのは辛いですが、それがあの人達のためならば。


そんなことを考えつつ歩いていると



「~♪」



なにやら楽しそうな歌声が聞こえてきました。

足を止め、声のする方に向かってみると



「~♪」



そこにはこちらで言うアイドルらしい露出が多い格好をした三人の女の子が歌を歌っていました。


もう衣装に関しては突っ込みませんよ?頭のリボンにも突っ込みませんよ?

先の趙雲さんたち三人みたいに、なぜ一部の人たちは時代を先取りしすぎた衣装をしているのか。突っ込んだら負けな気がします。


このアイドルっぽい三人組、大道芸人みたいですね。

一生懸命歌っていますが、立ち止まって見ている人は少ないですね。


一人は紫の色の髪で眼鏡をかけているまじめそうな女の子。あ~もうこの世界で眼鏡はデフォなんですね。

一人は桃色の髪で後ろに大きい黄色のリボンを着けたほわんとしている女の子。

一人は水色の髪で・・・サイドポニテだと!?なんて貴重な!!

気は強そうな雰囲気を纏っていますがそれがむしろポニーテールの良さを引き立てている!!



「(グレート!!すばらしい!!)」



それにしてもこの三人は大変な美人ですなぁ。

趙雲さん達も美人さんでしたしこの世界は美人が多い。実にいいことです。

ちなみに胸の大きさは


桃色リボンちゃん(やばい)>紫眼鏡ちゃん(普通)>サイドポニテ(無)


大丈夫!!私は胸では人は選びません!!ポニテが有る限り私はあと100年は戦える!!


まだ歌もどこかぎこちなく、人を引きつける術を持ってはいないようですが素質はあると見た!!

今後に期待ですね。


そう思い胸を膨らませ、その場を立ち去ろうと思ったんですが



「「「・・・」」」



うちの黄色い三連星があの三人組に目を奪われてやがります。

声をかけようが目の前で手を振ろうが何の反応も示しません。そろそろ殴ってでも無理矢理連れてこうと思った時



「みんな~今日は聞いてくれてありがとう!」


「また次回もよろしく~」



どうやら歌い終わったみたいです。

見ていた観客がお金を渡していく。ですが微々たるもの。

最後にはあの三人娘もその場を去っていった。なのに。



「「「・・・」」」



こいつらいつまで固まっているつもりですか?
















その夜。何とかその日の簡単な仕事を見つけて済ませた俺たちは宿に泊まっていた。

はずだったんだが・・・一号どこ行ったよ?


三バカの一号の姿が見えない。二号、三号に聞いても解らないみたいだ。

軽い荷物は置いてあるからこの町にはいるのだろう。


嫌な予感がする。


この世界に来てからの私の感はバカに出来ない。

・・・しょうがない。

なんか隠れて悪いことしてるかもしれんし探しにいくか。場合によっては白い魔王方式で説教しなければ。


そう思い夜の街を探して数十分後。


ようやく見つけた・・・ってあの子はあの大道芸人の桃色リボンちゃんじゃないか。

いったい何をやって



「あと・・・これよかったらこれ、もらってください!!よく知らないけど俺の尊敬する人によればすごいものらしいんで売ってもお金になると思います!活動資金の足しにでもしてください!」



そう言って「太平妖術の書」を渡していました。



「チェリオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」



気がついたときには馬鹿(一号)にライダーキックかましてました。

カエルがつぶれたような声を出した後4、5回転がりながら吹き飛ぶ一号。

数メートルは転がっていったな。だがそんなの関係ない。

私は一号に近づきその胸ぐらを掴み上げる。



「このファッキン糞野郎、テメェ何したか解ってんのかこのダラズ」



夜中なんでなるべく低い声で言ってます。

もちろん殺気増し増しで・・・っち。

気絶してやがる。頬を平手ではたいて目を覚まさせる。



「はっ・・・って旦那!?なんでこんなとこ「うるさい」・・・はい」


「それ貴重だって言ったよね?持っておけって言ったよね?何勝手に上げてるの?馬鹿なの?死ぬの?」


「え、俺はてっきり好きにしろということだと思って「黙れ」・・・はい」


「その書はね、この大陸の張角様の最も重要なものなんですよ?なんでかってにあげちゃうのかなぁ?」


「へ?旦那、今張角って「・・・」・・・すいません」


「それを、それを何勝手に上げて売って資金にでもしてください~?なめてるの?死ぬの?」



もう魔王だけじゃ収まりがつきません。ひぐらし方式で朝まで実行して解らせなければ。

ってそう言えば太平妖術の書は



「「「・・・」」」



うん、いつの間にか増えた旅芸人のお嬢さん方にばっちり見られてました。



「あの・・・旦那の言ってる張角ってもしか「ふんっ!!」ひでぶ!!」



なんか重要な事を言ってる気がしたが構っている暇はない!!

すぐに一号を黙らせるとお嬢さん方に駆け寄る。

書を持っている桃色リボンちゃん他二人に話しかけます。なりふり構っていられるものですか!



「すいません」


「へ?あ、なんですか?」


「その書は実は私の一存ではどうにもならないものでして、よろしければ返してはくれませんか?お金なら私達が今持っている全てをお渡しします」



何とか返してもらわないと・・・場合によっては少し暴力的になってしまうかもしれないが。

できればそれは避けたい。

それぐらいそれは危険ものなんですって!!



「・・・もしかしてこれをどうにかするのを決めるのは張角って人なんですか?」



眼鏡の女の子が話しかけてきました。



「ええ・・・それはその人のためにあるようなものですから」



ん?なにやら三人が目を合わせましたが・・・。



「ねぇ?その張角って人もしかして姉妹とかいない?それで名前が張梁と張宝とか・・・」


「その名前は!!そういえば彼には兄弟がいると聞きますからもしかしたら姉妹と言う可能性も」



演技ならば彼らは兄弟だったはず。

この世界なら姉妹になっていてもおかしくはない・・・いや本当はおかしいんだけどおかしくはない。

それにしても弟二人の名前まで知っているなんて。もしや張角様を知っている?



「・・・単刀直入に聞きます。あなた方は張角という人間を知っているので?」


「知っているって言うか」


「ねぇ」


「知ってるなら私達が一番知っているんじゃない?」



!!

もしや彼女たちは張角様の知り合いだったとか!?



「すいません。もし知っているのなら教えていただきたい。私はその方を探していたのです」



自分の気持ちに正直になろう。私はあの方に会いたい。

会ってもう一度・・・話をしたい。私は縋るような思いで彼女達に尋ねた。



「姉さん・・・」


「うん、それじゃ紹介するね」


「ありがとうございます!!それで張角様はいずこに?」


「ん」



そう言って桃色リボンちゃんは笑って自身を指さしました。

・・・え?















「私が張角だよ。それでこの子達が私の妹の...」


「私の名前は張梁です。」


「ちぃの名前は張宝だよ」




・・・。


それはひょっとしてギャグで言っているのか!?

三話連続投稿で味の素の頭はオーバーヒートです。

毎日更新できる作者さんはたぶん頭の出来が普通の人とは違うと思います。

すげぇ。

そんな人に憧れる今日この頃。


そういえばこの小説を書き始めたら恋姫の登場人物が2人も夢に出てきました。


季衣さんと流琉さんです。

私を含めた三人でジャンプを読んでました。


…私の深層意識はどうなっているのだろう?

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