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黄巾無双  作者: 味の素
黄巾の章
11/62

番外編 とある過去~声~㊦

希望はいいものだよ。多分最高のものだ。いいものは決して滅びない。


『ショーシャンクの空に』より


 



あれから数ヶ月。

俺は彼らと同じ賊となり、道中を行く者達を殺して金を奪った。


顔には包帯を巻いた。

顔を見られないためというのもあるがもう一つ理由がある気がする。

もうあの頃の私とは違う。

あの頃の私は死んだ。

そう思って巻いたというのもあるかもしれない。



・・・というのは嘘だ。


まず顔が解らないというのがある。

顔がばれたらへたすりゃ手配書が出回っちまうからな。

だけどそれが最重要ではない


一番の理由は相手が怯えるからだ。

俺の声と容姿に驚き、怯えて助けて欲しいと懇願するやつらを殺すのは爽快だった。


どうか命だけは?

ばっかじゃねぇの。

生かして返したら俺のことばらすだろうが。

荷物を奪ったらついでに命も奪う。

人間の命なんざ何の価値にもなりゃしない。


中には旅の武人と思われる人間もいたが俺の手裏剣と不意打ちの前に死んでいった。

正面からかかってくるやつに罠とか不意打ちや毒は効果的だな。

いい刀や武器、珍しい本とか持っているやつもいるしな。


卑怯だとかせいせいどうどう?

あほらしい。

そんな物が命の足枷になってっからてめぇらはみんな土の中なんだろうが。

生きている俺がそれを物語っている。


どんなに誇りを持とうが、どんだけいい生き方しようが、死んだら全て終わりだ。



息を潜め、気配を殺す。

この時の俺は人ではなく獣のようだ。

いや、化け物って呼ばれてたかな?

まぁこの容姿と声のせいで仲間は出来なかったが一人の方が気楽でいい。

俺は化け物なのだから。







あ~。

黄巾党という集団の噂を最近よく聞くようになった。

なんでも国を変えるのだとか。

アホらしい。

農民がいくら反乱を起こしたところで変わるわけがないだろう。

殺した中には文学者もいたからな、そいつらの持っていた本を暇つぶしに読んで多少は学がある。


反乱なんざ後ろ盾もないのに成功するかっての。


・・・でも面白そうだなぁ。

たくさん殺せてたくさん遊べるだろうなぁ。

適当に遊んで出て行けばいいかな。

たまにはつるむのも悪くはない。








そう思い黄巾党のとある陣地に来たが。


「く、黒神くじらだ。くじらがいるぞ!?」


のっけから変なのに会いました。

なんかすごい目を輝かせてこちらを見てます。

歳は同じぐらいか?

髪は黒く、どこにでもいるような顔立ちだ。


ていうかくじらってなんだ?

それ以前にこいつ誰だ?


やばい・・・頭が痛くなってきた。


ここに来るまで誰もが俺の姿と纏う空気に俺のことを避けて通っていた。

だがこいつはむしろ寄ってきた。

正直意味がわからない。


「いや、CCOですか!?CCOの方がいいのか!?」


なんだししおって。

もうこいつあれだ。

殺っちゃおう。

そしてここを出て行こう。

なんかその方が楽な気がしてきた。


「あ、主。急に走り始めてどうなされたので?」


増えた。

よくわからないが増えた。

というかこの騒ぎで周りの連中が興味津々でこっち見てやがる。

こっちみんな。


「あ~すまない、美須々」


「いえ、かまいません。それよりも」


そう言って私の体をじろじろとうさん臭そうに見つめてくる。

こいつ・・・腕は中々のモノだな。

この意味の解らない男を始末してもこいつがいたんじゃただじゃいかないか・・・。

あ~ついてねぇ。


「この者がどうかなされたので?」


「いや、目の前にくじらがいたと思ったらもう体が動き出していて」


「・・・主の奇行には未だ慣れませぬ」


だから誰だよくじらって。

あ~もうめんどくせぇ。





「イキナリ人ヲ捕マエテナンノヨウダ?」


周りがその声に驚き私を見る。

もうその視線には慣れた。

異質な者を見る目、私が声を出すと必ずそんな目をする。

きっとこいつも






キラキラ


あれ?なんでこの野郎目が輝いてやがるんですか?


「・・・美須々。決めた」


「は、はぁ。何をでしょう?」


「この人を我が隊へと入れるぞ!!」


「はぁ・・・・・・・・はい!?」


「ナッ!?」


今こいつ何を言いやがった!?

ていうか何でだ!?

マジで意味が解らないんだが!?

今の過程のどこにそんな要素があった!?


「チョット待テ。イッタイドウイウコトダ?」


「今私は有能な人を求めてるんですよ。それで貴方がいました。以上」


「イヤ、ダカラ意味解ラナイッテ!!」


ほんとこいつなんなんだ?

ていうか何「なんでこの人は解らないんだ?」みたいな顔するんじゃねぇよ!!

知るかよ!?


「アレカ?私ガコンナ格好シテルカラカ?」


「それだけではありません。貴方、かなりの実力があると見ましたよ?」


へぇ。俺にねぇ…。


「俺達ハ今会ッタバカリナノニソンナコトガ解ルッテノカ?」


「はい」


そう言って私を正面から見つめる。

こいつの目はさっきと打って変わって真剣そのものだ。

っち。

変なのに目を付けられちまったな。


「オ断リダ」


「お断りをお断りします」


「・・・」


「・・・」


マジで意味解らない。

沈黙に耐えられなくなったのか、この意味が解らない男の隣にいた女が口を開く。


「主・・・私から見てこのものには昔の私と同じ、嫌な臭いがします」


ほう。

こいつ解ってんじゃねぇか。

って事はこいつも昔は私と同業だったっつうことかい?


「ふ~ん。お風呂入ってないってことですか」


「主!!」


顔真っ赤にして怒鳴る。


「確かに出会った頃の美須々は少し臭かったです」


「いえ、あの、そういうことではありません!!この者からは血の臭いがするのですよ!!」


「そうなの?」


「気ノセイジャナイカ?」


「気のせいだってよ?」


「ええ!?いや、ですからその・・・とにかくするんですよ!!」


もうあれだ。

こいつ猫かぶってたのが完璧に剥がれた気がする。

最初は出来る女装ってたのがもうばればれだ。

私が哀れみの目で見ているとそれに気がついたのか、慌てて取り繕う。


いや遅いって。


「ゲフンゲフン・・・単刀直入に聞きます。貴方、賊の類でしたね?」


「イエ、農民デシタ。普通ノ」


「嘘だ!!」


突然目を見開いて叫んだ。

いや、農民でしたよ?最近は副業してるけどな。

周りはその声の大きさに驚いたが、男は「オヤシロ様が・・・」とか言っている。

もう突っ込んでたらきりがないからこいつについては考えるのを止めよう。


「まぁいいじゃないか。私は彼女自体を気に入ったのですよ」


「で、ですが」


「美須々」


「う・・・はい」


えらく俺を気に入ったみたいだな。

だがこいつらに付き合うのは疲れる。

正直、山賊稼業に勤しんでた方が数万倍も楽だ。

って待て今こいつ俺のことを


「・・・オ前、ナンデ俺ガ女ダト解ッタ」


「「「「「女!?」」」」」


隣の美須々という女と周りが驚く。

正直自分は体の凹凸は女の割には全くと言っていいほど無い。

そのくせ顔が包帯で覆われているのだから自分の性別は今まで気づかれたことはなかった。

だからこの周りの連中の方が正しい反応だ。


「そうですねぇ・・・貴方が私の部隊に入ったら教えてあげてもいいですよ?」


そういって子供のいたずらっ子ように笑う目の前の男。







なんだこいつ。

意味が解らねぇ。

俺が怖くないのか?

この声になんも感じねぇのか?


こっちを見て楽しそうに笑ってやがる。





心地がよい風が俺の横を通りすぎたような気がした。


・・・よくわからないが今のこの空気が心地いい。

今まで私はこのように人として話されたことは無かった。

いつも奇妙な目で、好奇の目で、畏怖の目で見られてきた。

だがこの男は自分をまるで昔なじみの友達のように話す。

俺は自分でも知らないうちにこの男に尋ねた。


「オ前ハコノ俺ガ怖クハナイノカ?」


「はて、なぜ私が貴方を恐怖しなければならないので?」


「俺ノ声ヲドウ思ウ」


そういうと男は笑って言った。


「好きですよ?」


「!?」


「だって貴方の声は音が違う。普通とは違い独特の領域を持ち、美しい。普通の人にはきついかもしれませんが私は好きですよ?」


・・・なんだこいつ。

独特の音?美しい?

異質と、魔物と蔑まれ、両親でさえ嫌ったこの声が?


「貴方の歌声とか聞きたいですね・・・(こっちの音楽緩やかなんだもんなぁ。天和様がヘビメタやったらファンから袋だたきされそうだし・・・でも天和様のヘビメタ。やばい聞いてみたい!!すごい聞いてみたい!!)」


歌?俺が・・・歌?

は、ははは。

こいつはかなりの大馬鹿だ。

だがこいつの目は真剣だ。嘘をついていない。

俺は幼いときからああいう目を向けられているから解る。

常に向けられてきた負の感情。


だがこいつにはそういうモノが一切感じない。

むしろ俺のことを好意的に見ている。

その目に嘘はない。


嘘を・・・ついていないんだよ。



「・・・俺は、12才で虎も殺した化け物だぞ?」


「おお!それは頼もしい!!是非私を支えていただきたいです!!」


「化け物にか・・・?」


そういうと男は首をかしげた。






「貴方は私達と同じ人間でしょう?」


「・・・」


同じ・・・俺が人間?

化け物と、自分の父と母にも言われた自分が?




「もう一度言います。貴方が私達に必要です」




お前なんて生まれなければ良かった。


そう、言われてきた。

だけどこいつは私を必要としてくれている。

俺を・・・私という存在を認めてくれている。





「だから私達の仲間になってはくれませんか?」




ああ、そうかぁ。


俺は化け物になりきれなかったのか。


嬉しい、すんげぇ嬉しい。

俺の負けだ。

こいつに・・・こいつに俺は付いていく。

こいつといるとすんげぇ楽しい。

よく解らないがすんごいおもしれぇ。


あはは・・・俺はこいつらと同じ馬鹿になっちまったみたいだ。


何があろうと離れるもんかよ。

こんなやつ逃したらもう二度と出会えない。


「俺ノ名ハ馬元義。アンタニ私ヲ使イコナセルカイ?」


そう言って私は笑う。

ああ、初めてだな。

こんな気持ちで笑うのは。


「ふふ、いいでしょう。使いこなして見せましょう!この波才が!!」




これが波才の旦那との関係の始まりだ。

旦那は私が真名がないと言うと


「じゃぁ私がつけていいかな?」


と面白そうに言ってくれた。

思わず年甲斐もなく泣いちまったなぁ。

私の両親は真名をくれなかった。

いや、もう旦那が私の親同然か?

なんたって名付け親だからな。

そう思うと嬉しいという感情が押し寄せてくる。




私の真名は明埜



明はすべてを明けた者、埜は旦那の国の神様からとったらしい。

野の神さまである野社明神、天神からとったという大層な名前だ。

俺には大げさすぎないかと言ったがむしろ天神さえも越えちまえ!!って言ってた。

うん、よくわからない。

まあそれが楽しいから良いんだがな。


美須々とは旦那の守るためにと気が合いお互いに真名を交換した。

美須々も俺を仲間だという。

同時に負けないとも言っていたが・・・何がだろうな?ケケケ。


その後琉生も入り、旦那がついに動き出す。

俺は諜報や知謀担当、理由は簡単。


残り二人の仲間が脳筋だから。


あいつら・・・少しは勉強しろよ。

美須々、せめてお前は自分の名前書けるようになれ。


私は賊だった頃に奪い取った書物を読んでいたからか頭は悪い方じゃない。

だがやっぱり武も鍛えておくことに越したことはないと旦那や二人と訓練して大分腕は上達した。

いや・・・三人が化け物並だから揉まれるうちに強くなっていた。


旦那・・・強かったんだな。

いくらなんでも素手は無いだろ素手は。




旦那。

あんたは私の親同然、いやそれ以上だ。

例えこの命が無くなろうが知るか。

旦那は絶対に死なせねぇし俺が旦那の道を塞ぐやつは全部殺してやるよ。


「あの~」


あ?



「・・・大変嬉しいんですけど全部声出てますよ?」


「・・・」


「・・・」





チャキ


「シネ」


「ええええええええええええええええええ!?今死なせないとか言ってませんでした!?」


「知ルカ!!シネ!!」



そう言って私は旦那を追いかける。

ああ、やっぱ楽しいな。

こういう馬鹿げた時間を守るために、私は戦ってるのかもしれないな。

旦那、あんたの道。

いっちょ私も渡らせてもらうぜ!!







「いや!?なんで笑ってるんですか!?ていうか今私の首狙いましたよね!?マジで死にます!!いや、本当に死ぬからーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!(ブスッ)ぎゃぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

…え?

PVが100000突破ですと?


…。


みなさん!!この作品と作者は駄目だ!!私が身代わりになるのですぐに他の作品に逃げてください!!


いや、本当に。


この作品は作者の妄想とこじつけにより構成されているのにそれを許す、なんて心が広い方々が多いのだろう。

そんないい人達は作者みたいな人間に騙されるので気をつけた方がいいです。


記念に武将紹介またやろうかなぁ…。


作者は駄文&ノリと勢い&我が道を駆け抜けていますが、それでも「構わん、やれ」と言って方、これからはさらなるゆっくりへとなりますがよろしくお願いします。

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