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04-はじめての魔法
随分歩いた。
お腹が空いた。
リンゴのような木の実を見つける。
鑑定すると食べられるらしい。
だが、高い。
どうしようかと考えて――思い出す。
「魔法」という能力。
鑑定が言っていた。
イメージで使える、と。
……イメージ。
枝から実を切り離す。
落ちないように、受け止める。
風で切る。
蔦で編む。
簡易の網。
そう思い描いた瞬間――
身体の奥で何かが動いた。
次の瞬間、目の前で実が揺れ、
風が枝を断ち、
蔦が編まれ、
果実は静かに受け止められていた。
一瞬だった。
「これが……魔法」
呟いてしまい、慌てて口を押さえる。
猫の姿なのに、人の言葉が出た。
……気をつけよう。
けれど。
これなら。
森で、生きていけるかもしれない。




