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盾にされた私、異世界ではただの猫です  作者: 蛇目菊 欲狐
第1章
31/31

27-薬の正体

部屋の前までたどり着いた。


カトレアさんが扉を開けると、外にも漂っていた薬草とアルコールの匂いが、さらに濃くなる。


カーテンの閉められた暗い部屋の奥。

ぼんやりとした照明に照らされたベッドが見えた。


近づき、傍らに置かれた椅子へ飛び乗る。

そして覗き込むと――


そこには、窶れ、憔悴しきった女性が横たわっていた。


「……その方が、セラフィーネ様です」


カトレアさんが静かに告げる。


「半年ほど前までは、訓練所の騎士たちに魔法の指導をなさったり、魔物討伐にも参加されるほど、お強くお元気でいらっしゃいました」


「ですが、時折不調を訴えるようになり……三ヶ月前、突然倒れられたのです」


「それからは、起き上がることも難しくなり……今では、このような状態に」


「……御美しかったお姿も、こんなにもか細くなられて……」


説明する声が、かすかに震える。


後ろに立つ二人を振り返ると、どちらも沈んだ表情をしていた。


……それはそうだ。


カトレアさんにとっては、憧れ、背中を追い続けてきた人。

テオドールにとっては、母親。


その人のこんな姿を、平然と見ていられるはずがない。


私はセラフィーネ様へと向き直り、改めて様子を観察する。


見た限り、窶れている以外に外見上の異常はない。


……けれど。


部屋に入った瞬間から、より強く感じる。


この感覚は――間違いない。


確信を得るために、「鑑定」を行う。


人に使うのは初めてだったが、問題なく発動した。


そして表示された情報は――



セラフィーネ・オルデンヴァルト

状態:衰弱、穢れ(毒)


何らかの経緯で穢れを体内に取り込んでいる。

全身を巡っているため、通常のポーションおよび光魔法での完治は不可。



――「穢れ」。


それは、魔物の素となるもの。


通常、穢れの強い場所にいれば、動きが鈍くなったり、不調をきたす。

耐性の低い者なら、なおさら影響は大きい。


だからこそ、それを浄化するために光魔法が必要になる。


だが――


この人は、それを体内に直接取り込んでいる。


体内を巡り、蝕み続ける穢れ。

もし無理に浄化すれば、内側で暴れ、激痛を引き起こすだろう。


そう考えた瞬間、背筋が冷えた。


……一体、どうしてこんなことに。


疑問が浮かんだその時。


コンコン、と扉が叩かれた。


「失礼いたします。奥様のお薬をお持ちしました」


入ってきた使用人の手には、トレー。

その上には、小さな小瓶が載っている。


「……ああ、ちょうど薬の時間ね」


カトレアさんが振り返り、手を差し出した。


「ありがとう。こちらへ――」


使用人が近づき、薬を手渡そうとする。


……本当に、薬?


いや、違う。


むしろ――これは。


咄嗟に、その小瓶へ「鑑定」をかける。


そして――


結果を見た瞬間。


気付けば、私はその薬を奪い取っていた。

ーーそれは、"治療薬"ではなかった。

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