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盾にされた私、異世界ではただの猫です  作者: 蛇目菊 欲狐
第1章
28/31

24-恩猫様への依頼

訓練場からの帰り。

今日の出来事を振り返る。


今日は、第1騎士団のマティアス・フェルナーさんと、以前お会いしたブラム・グレンさんが来ていた。


マティアスさんは水魔法に適性があり、魔法の持続力に長けている。

だが、以前の火の魔物との戦闘では、道中の魔物で既に魔力を消費していた上に、瞬時の魔法行使で魔力を大きく使ってしまう欠点もあり、魔力切れを起こしてしまったらしい。


なので私は、周囲にある空気中や土に含まれる水分を集め、水を生成する際の魔力を減らすやり方を見せて提案してみた。


何度か質問が飛んできて、それに頷いたり首を振ったりして答えていると、少し考えたあと魔法を使い、


「魔力消費が少ない…!」


と嬉しそうに声を上げた。

どうやら仕組みは理解できたらしい。


ブラムさんは火魔法に特化しているようで、森の中では火魔法を使えず、得意ではない土魔法で足場を悪くすることしか出来ないと言っていた。


それなら、武器を土魔法で強化すれば熱耐久が上がり、火魔法を纏わせられるのではないか。

そう思い、試しに模擬刀で私がやってみせると、彼は目を輝かせた。


「なんだそれ!? 教えてくれ!」


もう一度やり方を見せると、


「あー、土魔法で武器強化すりゃ、火魔法でダメにならねぇのか?」


とぶつぶつ呟きながら、あっさり出来るようになっていた。


マティアスさんは理屈が分かればすぐ出来るタイプ。

ブラムさんは感覚で出来るタイプらしい。


私があれだけ研究して魔法を使っていたのに、一瞬で使えるようになるなんて。

やはり凡人とは違うんだなぁ……。


ぼんやり考えながら、エルリックさんと一緒に部屋へ戻ろうとしていると、声を掛けられた。


「恩猫様、ですよね?」


振り返ると、綺麗なルビーのような瞳が印象的な女性が立っていた。


「やはりそうでしたか。

お初にお目にかかります。

私はカトレア・ブランフェルト。

第1騎士団で治癒を担当している者です」


穏やかな笑顔で挨拶される。

初めて見る人だったが、第1騎士団の方らしい。


私はエルリックさんの顔を見る。

彼が普段通りの様子でいるのを見て、カトレアさんの言葉が本当なのだと理解する。


だが、少し疑問が浮かんだ。


治癒担当。

それならば、かなり重要な役割のはずだ。


なのに、以前森で火の魔物と対峙した第1騎士団のメンバーの中にはいなかった。


どうしてだろう。


怪訝に思いながら、カトレアさんへ向き直る。


「あなたのことは噂で聞いておりました。

訓練場で騎士たちに魔法の指南をしている姿も、度々見かけております」


……どこから見られていたんだろう?


訓練場の周りには、通りがかる使用人や騎士たちばかりだったはずだ。

見られていた覚えがない。


困惑していると、カトレアさんが少し楽しそうに微笑んだ。


「屋敷の部屋の中からお見かけしておりました。

覚えがないのも無理はありません」


なるほど。

屋敷の中から、か。


だが基本的に屋敷の窓のカーテンは開いている。

誰かが窓際に立っていれば、なんとなくでも見えるはずだ。


けれど、カトレアさんらしき姿を見た覚えはない。


……いや。


私の勘が正しければ、ひとつだけ心当たりがある。


屋敷案内の時に見た、カーテンが閉まっていた部屋。

薬品の匂いが漂っていた、あの部屋だ。


「……恩猫様、少しよろしいでしょうか」


考え込んでいると、カトレアさんが声を掛けてきた。


顔を上げると、先程の穏やかな表情は消え、真剣な顔になっていた。

そして、深く頭を下げる。


「……折り入って、頼み事があるのです」


そして、静かに言った。


「どうか奥様の御病気の為に――

その御力を、お貸し頂けないでしょうか」


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