いつも通りの学校?
6月6日午前12時49分55秒頃
私立神見高等学校2年3組の教室にて......
▽
「...............5.....」
僕の名前は佐藤 蓮。
どこにでもいる普通の高校生だ。
「.........4...............」
さて、今は4時間目の論理国語の授業中。
そんな、授業中に隣から何やらカウントダウンをしているバカがいた。あんな奴と僕が幼馴染とか恥ずかしすぎる.........
幼馴染とは同じクラスで席も隣。しかも僕に席を近づけてくるせいで先生の視線が僕にも刺さる。
「.............さぁん!!!」
しかし、先生は何も言わないし注意も全くしない。それは周りの奴らも一緒で幼馴染のバカをみんな視線を向けているだけで何も言わない。
それは、今に始まった事でも無いからということもあるが、何より授業があと一分くらいで終わるからというのもある。
それに、先生もクラスメイト達もカウントダウンが進むにつれて緊張感が高まっていく。
「..............にぃ!!」
カウントダウンが残り僅かとなった時にクラスメイト達が椅子を下げて立ち上がる準備を始める。
先生も用具をまとめてすぐさま教室から出られるようにクラウチングスタートの姿勢で構えている。
僕は周囲の視線に怖気づき.........。いや、周りの奴らを見ていて恥ずかしかったから窓の外へと視線を外す。
窓の外は運動場になっていて、いつもは体育の授業を受けている生徒達が汗水流しているが今日はいない。
そう言えば、どこかのクラスが体調不良者の続出で学級閉鎖になったって言ってたような?まぁ、莉桜から聞いたことだし嘘情報かもしれないけどな。
「.................いち!!!!」
クラスメイト達や先生の顔が強張る。
みんな手には同じある物を握り締めて席に着いている。いや、みんな今にも自分の席から、教室から飛び出しそうな雰囲気がある。
しかし、この時期に学級閉鎖って何があったんだろう?
みんなインフルに感染したのかな?でもこの時期にインフルって聞かないけどな?
「...............ゼロッ!!!!!!」
キーンコーンカーンコーン――
莉桜のカウントダウンが終わると同時に授業の終わるチャイムが鳴り響く。莉桜のカウントダウンとチャイムの音が鳴り終わると同時にみんな一斉に駆け出す。
「授業終了!!!お昼だーー!!!!!」
「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」」
莉桜の掛け声と共に先生も含めた全員(僕や数人は含まない)の奴らが雄叫びを上げて廊下を走り抜ける。
そう、これは闘いなのだ。誰が一番速く購買に駆け抜けられるかの勝負なのだ。
一ヶ月に一度、限定で売っている超超レアなパンが目的らしい。
数量限定で十個くらいしか売ってないそうだ。
そしてそのパンにはある噂があって食べるとテストでは学年トップクラスの頭脳を手に入れられて、大会で表彰されるレベルの運動神経も手に入れられるらしい。または、願いが叶うとか言った噂がある。
しかも、実際にそのパンを食べて何かの大会を優勝した奴やテストで全教科満点を取った奴、長年の片思いが実った奴や宝くじが当たった奴、嫌いな奴を交通事故で重傷を負わせたり、誰かと縁を切ったり、石油王と友達になったり、総理大臣になったり、ハーレム作ったり、異世界行ったり、最強になったり..........
まぁ、だけど結局は噂は噂だ。
そんな、バカバカしい噂に振り回されているようじゃまだまだ子供だな。まぁ、でも僕もその超レアなパンに興味がないわけじゃない。
願いが叶うということは信じてないが、どんな味がするのかは気になるよな............
あんだけ人気なんだ、きっととても美味しいんだろう。
しかし、僕にはそのパンを買う資格がない。なんてったって、今朝莉桜にお昼ご飯代を全てあげちゃった。
超レアなパンの奪い合いに僕も参加するつもりで気合を入れてきたが...............
全ては無駄になってしまったようだ。いや、だが今回逃したからって別に次があるんだから次に備えておけば良いだろう。
うん、今回の準備も決して無駄ではなかったはず...........
「よっしゃー!!!!!」
「ただいまレンレン!!!ついに手に入れたよ願いの叶うパン!!」
「見てみてー!!思ったより小さかったけど美味しそうでしょー?」
どうやら、パン競争に勝って帰ってきた莉桜が僕に願望パンを見せびらかしてくる。
クソッ!!なんでコイツが手に入れてくるんだよ!!
というか、僕のお昼ご飯代はそのパンに使われたのかよ............
「もぐもぐもぐ...........」
「んっ!?美味しい〜!!」
「レンレン!!コレめっちゃ美味しいよ!!」
「そ、そうか.........」
「良かったな.........」
コイツ、僕が手に入れられなかった願望パンを見せつけるだけでは飽き足らず、目の前で食いやがった!!!
しかも、そのパンを買えたのは僕のお昼ご飯代のおかげだろ!!!
半分は求めないけど、せめて一口くらい僕にくれても良くないか!!
「あれ?レンレン昼飯は?」
「昼ご飯食べないの?」
こ、コイツ.........
絶対に後でぶっ飛ばしてやる............
「お前に昼ご飯代を貸したんだからあるわけないだろうが」
「今日は昼飯無しで頑張るよ.........」
「え、本当!?それはごめん......」
「半分食べちゃったけど、コレあげるよレンレン!!」
「え?」
半分くれる?何それ?
パンを半分くれる?
あの莉桜が?半分こにして両方とも食べる莉桜が?
お前のものは俺のもの私のものも私のものとか言うどっかのジャイと同じ思考を持つ莉桜が半分もくれるだと?
あぁ、ここは夢だったっけ?じゃないとコイツがそんな事絶対にするはずがないもんな!!
莉桜が半分くれるなんてことがあった日には明日は人類は生きていないかもしれない。いや、天変地異が起こってるかも。いや、槍が振るかも。いや、人類は謎のウイルスによってパンデミックを起こしているかもしれん。
「ほらほら、レンレン口開けてー」
「あ〜んして!!」
「ここは夢.........」
「きっと、ここは夢だぁふぬ!?」
僕が思考を巡らせている瞬間、僕の口を無理矢理開けてパンをねじ込み入れる。
うぐ!?く、苦しい.........
ん?苦しい?
はっ!?
あれ?ちょっと待って夢じゃないぞ?
あれ?ここは現実なのか?
じゃあ、莉桜は本当に僕とパンを半分こしただと!?!?
い、いや!!そんな事より苦しい.............
パンを口にねじ込んで入れるなバカ野郎!!!!
窒息死するぞっ!!!!
あ、ヤバい.........
マジで死ぬ.........
「あとは、はいお茶♪」
バカ幼馴染はパンを僕の口にねじ込んだと思えば、次はお茶を入れてきた。入ってきた水分のお陰でパンは食道を流れて行きパンでの窒息死は免れたが次の問題が出てくる。
「ガボガボガボ..............」
手加減の知らない幼馴染は僕にお茶を入れ続けて今度はお茶での窒息死という可能性が浮上してくる。
幼馴染は止めないし、僕はお茶に満たされていて言葉を発せない。
僕が止めないから更にお茶を口に入れ続ける。そして、僕は止められずにお茶が口の中に侵入してくる。窒息しかける。
正に負のループ!!!!
まぁ、だけど口は塞がれているが手は動かせるんだから僕はお茶を入れ続けるのを止めるように幼馴染の腕を掴んで止めさせ...............
「ん?もっと欲しいの?」
...............ることは出来なかった。
腕を退かせようとするが幼馴染の腕はビクともしない。まるで巨木を素手で退かそうとしている気分だ。
あぁー!!!ヤバいヤバい!!
ま、マジで死ぬ。本当に洒落にならん!!
死ぬー!!死んだら一生恨んでやるからな莉桜ー!!!!
そうして、莉桜の水やりはお茶が空になるまで続いた。
お陰で午後の授業はトイレに行ったり来たりする羽目になったとさ。
ちなみに、願望パンの味はよくわからなかった。




