休憩の時間。
6月8日(土)17時55分頃
神棲神社にて..........
▽
僕達は狛犬の像があるすぐ近くでぶっ倒れていたって。
「ゼェ........ゼェ.............ゼェ.................」
づ、疲れた..........
死ぬ、マジで死ぬ............
幽華先生も紅葉さんも容赦が無さ過ぎる!!あの、体力お化けの莉桜ですらくたばっているのに一般人の僕が耐えたことを褒めてほしい!!
むしろ、よく死ななかったな僕...........
僕も莉桜も何度か天に召されかけたけど、その度に幽華先生と紅葉さんが魂を戻してくる。僕達を地獄に落として来る............
それに、紅葉さんは今日中に気と氣を感じ取れるようになるとか言ってたのに全然感じ取れなかった。1ミリも僕達には引っかからなかった。
あんなに、幽華先生と紅葉さんが下手なりに頑張って教えてくれたのに...............
残念ながら幽華先生も紅葉さんも感覚派だったのか説明が意味不明で僕達には理解出来なかった。実は幽華先生も紅葉さんも高次元の説明をしていたのか?
..................いや、あれはただの説明下手か。
まぁ、取り敢えず僕達は気と氣のコントロールどころか感じ取ることさえ出来なかった。基礎中の基礎が全然できない僕達。
紅葉さんに今日中には出来るとか言われていた超簡単な基礎に悪戦苦闘する僕達..............
あんなにも必死になって頑張ってくれた幽華先生と紅葉さんに申し訳がつかない............
途中からあんなにもポジティブに応援してくれた紅葉さんも最後の方は頭抱えてたし、幽華先生は自分の口下手に嘆いていた..........
まぁ、紅葉さん曰く..........
「普通は気と氣を感じ取るのを教わるのって、まだ純粋で何にも染まってない小さな子供の頃にやるのよ。しかも、小さい子って簡単に出来ちゃうから細かい説明がいらないのよね〜」
「だから、こういう基礎は詳しい教え方がないって言うか.........。そもそも、普通はこんな詳しく教えないって言うか.............」
「ま、まぁ、何とかなるわよ!!とりあえず、休憩しよっか!!」
「夕御飯の準備してくるから休んでて!!」
そう言って、紅葉さんは幽華先生を連れてどこかに行ってしまった。
そして、僕達はぶっ倒れていたって訳..........
「り、莉桜........」
「.............生きてるか?」
「..............もう無理」
「...........死んだ」
良かった、少なくとも生きているようだ。
それにしても、あの体力バカがぶっ倒れるって相当なものだったと思うよ。もう一度言うけど、本当によく生きてたよ僕............
「大丈夫か..........。今そっちに行くからな..............」
僕はそう言って莉桜の所まで這いずって行く。体のあちこちから悲鳴が聞こえてくるが根性で何とかする。
僕は莉桜の目の前まで来ると莉桜を揺さぶって声をかける。
「大丈夫か莉桜............。もう少しで助けが来るからな............」
「もう無理死ぬ............」
「だけど、レンレンが“アレ”やってくれるなら生き返るかかも..........」
「“アレ”?なんだ、アレって?」
「アレと言えば、アレだよレンレン............」
「本当に分からないの?“アレ”って言えば............」
その時、莉桜の言葉を遮るように盛大なあくびの音がして来た。
「ふわぁ〜」
「ん?あぁ、おはよぉ...............いや、人間の基準だとこの時間帯はこんばんはかな?」
「なんか、昼頃からここら一帯の氣の流れがグチャグチャしてたけど何かあったの?それと、蓮くんに莉桜ちゃん服も体もボロボロだけど本当に何があったのさ...........」
そう言ったのは、この神棲神社の主にしてこの町の土地神。瞳の中にサイコロを転がしていて名前が神様っぽくない変な神様、盤面 遊戯さんだった。
遊戯さんは生活リズムが僕達とは真逆で朝と昼寝て夜起きるみたいです。ちょっと、羨ましいなその生活..........
「こんばんは、遊戯さん」
「よく氣の流れが変だって気づきましたね。なんか、氣を感じるコツでもあるんですか?」
「あ、なるほどね!」
「オーケーオーケー、全て理解したよ。それにしても、神様にコツを聞くなんて君も中々変わってるね〜」
「普通なら、神様に氣を感じ取れるようになりたいですぅ!!とか、氣を操れるようになりたいですぅ!!とか言うのに.......」
「君はやり方を聞いてくるんだ。まぁ、いいや.........」
「そうかー、コツかー」
「氣を感じ取るコツかー?残念ながら無いかな〜」
「僕は神様だから生まれつき氣や気は感じ取れるし、神様の体は氣と気で出来てるからコントロールも出来ちゃうんだよねー。だから、コツとかやり方とか僕には教えられないかな」
「ごめんねー、神様なのにアドバイス出来なくて」
「お詫びと言っちゃなんだけど君達の体力を回復させる事くらいはしてあげるよ。そんなにも消耗してたら喋ってるのも辛いでしょ?」
「ほら、蓮くんも莉桜ちゃんも僕の手を握って」
そうして、遊戯さんは僕と莉桜に手を出してきた。その手を僕と莉桜は握った。
「気と氣ってのはそこら中にありふれたものだからね。蓮くんと莉桜ちゃんが感じ取れないのも無理はないよ」
「ありふれた物の中から変わり物を見つけ出すのは容易いけど、ありふれた物の中からありふれた物の一つを見つけ出すのは困難だからね」
「今の君達がやっている事はそんな感じかな?じゃ、流すよ?」
すると、遊戯さんの手が温かくなった。その温かさは遊戯さんから僕に流れて僕の体を癒やしていく。
そうして僕に入って来た流れはやがて冷えていき僕の中から排出されて行く。その冷えた流れはやがて散り散りとなってあちこちに散っていく。
「まぁでも、感じないなら感じさせればいい。分からないなら理解させればいい。そうすれば、ほら簡単でしょ?」
「これで、君達も視えるようになったかな?」
「あ、あぁ...........視えるよ...........」
「綺麗........だ............」
僕の目には大量の情報の波が押し寄せてきた。
その波を僕は俯瞰して捉えた。
すると、今まで知らなかった世界。見えなかった世界が次々と見えてくる。視覚や聴覚、嗅覚などの五感では捉えきれなかった情報の波。情報の渦が今はハッキリと認識できる。
その瞬間、僕はいつもの世界は実はこんなにも美しいのだと感動した。いつも見ていた日常を僕は完璧に把握出来てなどいなかったのだ。
いつも通りに満足した日常はちっぽけだった。
あぁ、これが世界か...........
今の僕が視てる世界もきっとまだまだなのだろう。世界は広い、もっと世界を見て回りたい...........
僕は初めてそう思えた。この世界に対して.........
この素晴らしく美しい世界に..............
▽
「.........で、気と氣が視えるようになったのさ!!」
「いや〜、これは僕のお手柄だね〜」
「褒めてもらっても良いんだよ〜♪」
遊戯さんはお茶漬けを口に掻き込みながら、幽華先生と紅葉さんにアピールする。
そんな訳で僕達は夕御飯を食べ終り食休みの雑談をしています。ちなみに、遊戯さんはいっぱいおかわりをしているのでまだ食べてるのです。
「いや、確かに驚いたよ〜」
「私達がどんなに手を尽くしても感じ取れなかった2人が、いきなり感じ取ってるんだもん。流石神様だねー尊敬するわー」
「ふっふっふっ!!」
「もっと、僕を褒めるが良い!!もっともっとー!!!」
「それにしても、莉桜ちゃんも1日で気と氣を感じ取れてるのは凄いんだけども、蓮くんはそのさらに上を行ったよねー」
「どうやら、蓮くんは感じ取る以上に視えちゃってるからね〜。これはもう超優秀な才能と言っていいよ。なんせ、気と氣は感じ取ることは出来ても見たりすることは基本的に出来ないからねー」
「誇っていいよその才能は。なんせ、神様と同じ目線に立っているんだもん。あとはもうちょっとその目に慣れれば完全に神様と同じ目線に立てるよ♪」
「いやー、今までの歴史上で一人二人くらいしか僕は知らないなー」
「ねぇ?紅葉ちゃん?」
「そうだねー」
「ま、二人共今日はよく頑張ったよ。明日までゆっくり休むといい」
「私も明日は早いから先に寝るよ。君達も明日は早いから夜更かしは程々にしときなよ〜!!」
そう言って、紅葉さんは部屋を出ていった。
なんだか、紅葉さんモヤモヤしていたけど何があったのかな?
「じゃあ、私は町の見回りに行ってくるわ。もしかしたら今この時も被害者が増えているかもしれないからね」
幽華先生も紅葉さんの後に続いて部屋を出ていった。嘘は言ってなさそうだ...........
なんか、視えすぎて相手の嘘とかもわかるようになったわ。でも、ずっと視ていると頭が痛くなってくる..............
流石にずっと視ているのは頭と目が疲れちゃうんだろう。適度に休めないとね。
「あ、そう言えばさ莉桜?」
「ん?どうしたレンレン?」
「あの、俺と莉桜が死にかけてた時あったじゃん?」
「そう言えば、その時に言ってた“アレ”って結局なんだったの?」
その瞬間、莉桜の顔は真っ赤になった。
莉桜の体内の気の巡りが速くなっていき、熱くなっていく。
僕はその気の流れを一つ一つ視認してしまったせいなのか、脳がオーバーヒートしてしまい僕の意識は強制シャットアウトしてしまい鼻血を出しながらぶっ倒れたそうだ。
ちなみに、僕はその時の記憶を一切忘れてしまったみたいだ。




