先輩。
「アッハハハハハハ!!!」
「いいねいいねぇ!!こんなにも大人数とお話しするのは久し振りだよ♪」
お茶とお菓子を持ってきた遊戯さんが愉しそうに笑っている。
そして、遊戯さんが笑うと目の中のサイコロはコロコロと転がり目の色が変わっていく。
それにしても、何なんだよこのお茶とお菓子!!
めちゃくちゃ苦いし、めちゃくちゃ甘い...........
苦味も甘味も通り越してもはや食べるだけでツライ...........
食べるだけで涙出てくる..........
莉桜は自分の信念に従って残さず食べていたが食べ終わると同時にぶっ倒れた。
幽華先生は甘いお菓子だけをパクパク食べて苦いお茶は全く口をつけていない。むしろ、良く甘い物だけでいけるよなあの人..........
逆に紅葉さんはお菓子にもお茶にも全く口をつけていない。口どころか手すらつけない。多分あの人は最初からこうなると分かっていたんだろうなと思わせるくらい全く手を付けない。
僕は口にした瞬間、吐きそうになったので全部莉桜に食わせた。僕も出されたものは残さない派だけど流石に今回のは酷すぎた。だから、莉桜にきずかれないようにコッソリ莉桜の所に足していって何とか凌いだ。
ちなみに、遊戯さんはこの事を分かっているのかニヤニヤして皆の表情を見て愉しんでいる。
性格が悪いよあの人...........、いや人じゃなくて神様だっけ?
「さて、みんな食べ終わった所でそろそろ本題に入ろうか」
周囲の様子を見て、紅葉さんがそう切り出した。
「あの、えぇと、紅葉さん...........?」
「ん?なにかな蓮くん?」
「あの、サクは.........いや、そもそも今はどういう状況なんですか?」
「それに、妖怪?とかなんとか色々...........」
うぅんと、なんか言い辛いな.........
そもそも、妖怪?怪異?何なのか分かんないけどそもそもあれは何なんだ?僕達は一体どうすれば良いんだ?
紅葉さんや幽華先生は一体何なんだ?それにサクは...........
「そうだったね。そう言えば、君達は何も知らないんだった」
「蓮くん、莉桜ちゃんを起こしてくれたまえ。ここまで巻き込んでしまったんだ君達にも知る権利があるだろう」
「なっ!?先輩!!」
「一般人に怪異の事を教えるのはっ..........」
「仕方ないだろう。それにこれは彼らを巻き込んでしまった幽ちんの責任なんだからね」
「ま、それに彼らは遅かれ早かれ巻き込まれる運命だった。そうだよね、遊戯くん?」
巻き込まれる運命?どういうことだ?
それに、なんで遊戯さんに............
まぁ、そんな事より.............
「おい起きろー!!莉桜ー!!!!」
「うぅ、もう食べれないよ..........」
「はっ!?あれ?レンレン..............」
「起きたか莉桜」
「今回は簡単に起こせたな?明日は槍でも降るのかな」
「酷いッ!!!そんな事ないしー!!」
「私だって、たまにはちゃんと起きるしー!!」
そんなバカな.........
あの莉桜がワンコールで目を覚ますなんて...........
よっぽど、お菓子とお茶が酷かったんだな...........
「さて、レンくんと莉桜ちゃんのイチャイチャが終わった所で始めようか」
「まずは、私達の事について。私達は祓い師といって怪異を祓ったり、怪異から一般人を守ったり、怪異が街に湧かないようにする専門家と言った所かな?」
「どうやら、幽華は神社関係だかと嘘を言ったらしいね。まぁ、あながち間違いでは無いんだけど..............」
「で、君達が会った目の化け物やら耳の化け物は怪異。まぁ、妖怪でも妖でも皆それぞれ好きな呼び方をしているんだけどねー」
「一旦こんな所かな?なにか質問あるー?」
...............は?
怪異?祓い師?何それ、何だそれ.........
「じゃ、じゃあサクは.........」
「うん?あぁ、朔夜くんは祓い師じゃない。まぁ、祓い師見習いと言った所かな?」
「それは、幽華も一緒だけどね。幽華は大学からこの町の高校の教育実習生として町に滞在して、この町に発生する怪異を調べて祓う課題が出されているの」
「そこで、幽華はこの町を調べてる最中に朔夜くんといざこざがあったのかな?それで、幽華は朔夜くんに捕まっちゃったんだよね」
は?いや、全然わからない............
そもそも、なんでサクは幽華先生と対立したんだ?サクの目的は何なんだ?何でサクはあんな事を............
「さて、では本題の朔夜くんの事についてだ」
「と、行きたいところだが蓮くんと莉桜ちゃんに少し約束して欲しい事がある」
「今、君達に言ったことは全て一般人には秘密にしないといけないことでね。他の人に私が言ったことを言わないで欲しい。他言無用にして欲しい」
「それともう一つ、私達はこれから朔夜くんの目的を阻止しなければならない。阻止することを君達にも手伝って欲しいとも思う。だけど、君達がもう怪異と関わりたくないと思うのであれば私は止めない」
「怪異と関わりたくないのであれば、今直ぐにここから立ち去るべきだ。君達が普通の生活を望むのであれば、こちら側の世界に踏み入れるべきでは無い」
「こちら側の世界に踏み入れれば最後、抜け出せなくなる」
「さて、君達はどうする?ここから立ち去って普通の生活に戻るか、こちら側の世界で生きていくか」
どうするって.........
僕はサクのことを終えれば怪異なんてどうでも良い。
普通の生活が一番で.........
普通の日常が一番で.........
いつも通りの世界で.........
普通が.........
「ねぇ、紅葉さん。さっき、遅かれ早かれ私達は怪異に巻き込まれる運命だったと言っていたけどそれってどういう意味?」
紅葉さんに一度も口を開かなかった莉桜が紅葉さんに疑問を投げかけた。そう言えば、そんなことも言っていたような............
「あぁ、確かにそんな事も言ったね。なんだい、聞いていたのか莉桜ちゃんも」
「私は遊戯くんに言ったつもりなんだが...........」
「そうだね、君達がこちら側の世界に来てくれるのなら教えなくも無いかな?」
「あっそ、嫌な大人ー」
「それで、どうするのレンレンは?」
普通の生活が一番、普通の世界が一番、普通の生活が一番、普通の世界が一番、いつも通りの日常が一番、いつも通りの生活が一番、いつも通りの世界が一番.................
でも、いつも通りを僕は望んでいるはずなのに、なぜだか僕は日常を捨てるような選択を.................
違う!!違う違う違う!!!!
僕は日常を望んでいるんだ!!!!
父さんと母さんが僕に望んだ唯一の願い!!!!
それを捨てるなんて僕には.............
僕には.............
「あの、明日までに答えを出すのはダメですか?」
突然、莉桜がそんな事を言い出した。
僕は思わず莉桜の顔を見て驚いた。いつもなら考え無しに感覚で決める莉桜が考えるために時間をくれと言っていたのだ。
そんなことを言う莉桜は初めて見た。
「うん?あぁ、別に構わないよ」
「でも、明日の朝までだからね。それ以降は私が勝手に決めるけど良いよね?」
「あ、あと今日の夜は君達はここで寝ていきなー。残念ながら神社の外は、しかも今日は特に安全ではないからね」
「寝る部屋は遊戯くんに任せた。どうせ、部屋はいっぱい余っているだろう土地神様?」
「へぇー、お泊りパーティーだね♪」
「愉しみだなー!!一度もお泊り会はしたことなかったからワクワクだよ♪」
「じゃ、準備してくるから待っててねー♪」
そう言い、遊戯さんは部屋を飛び出して何処かに走っていった。
「さて幽華。私達も用意をするとしよう」
「明日は早いからね♪」
そう言って、紅葉さんと幽華先生は部屋を出ていく。取り残された僕と莉桜は互いに何か話すわけでもなく黙っている。
部屋は静かに、ロウソクの燃える音だけが残されていた。




