旧校舎で。
「テメェら私のレンに何してんだァッ!!」
ピンチの所に駆けつけてくれた莉桜が僕を抱き締めながら、耳の化け物とサクに威嚇する。
そして、僕は莉桜の馬鹿力によって抱き潰されそうになっていた。
「り、莉桜........」
「つ、潰れる.........圧死する........」
骨はボキボキと音を立て、内臓は莉桜の圧力に潰れかけている。
もし、今日お昼を食べていたら絶対に吐いていただろう。
「..........え?あっ!?」
「ごめんレンレン!!危うく潰すところだったよ!!」
「危うく潰すなバカ!!」
「だが、助かったよ。ありがとう莉桜」
ふぅ、耳の化け物は天井にはまっていて動けそうにない。
喋れるようにもなったし、サクと話し合いを.............
「そうですか、蓮くんも僕の邪魔をするんですね」
「だったら、もう良いです..........。もう知らないです!!!」
「全員死んじゃえです!!」
「ここにいる全員を溶かして下さい!!“階段さん”!!」
サクが何かを言い終わると同時にこの教室が。
いや、この場所全体が揺れ出した。
なんだ急に!!地震?
いや、これは...........
「ちょっ!?」
「なにこれ、なにこれ!?」
「なんか出てきたぁーー!!!」
莉桜が叫びだし、僕の背中にしがみついて来た。
辺りを見渡すと壁や天井、床から謎の液体がたくさん出てくる。
しかも、溢れ出して来た液体はそこら辺に散らばっていた椅子や机を溶かしている。
「さようなら、蓮くん.........」
振り返ると、今までそこにいたサクがいなくなっていた。
どういうことだ?どうなってるんだ?どういう状況だ?
「ゲホッゲホッ............」
「マズイわね、これは............」
意識を取り戻した幽華先生が深刻そうな表情をして倒れている。
咄嗟に僕は幽華先生を抱えて、謎の液体がない場所まで退避する。
「幽華先生?これは一体............」
「ゲホッゲホッ、今は説明している時間は無いわ」
「えぇと、護符は...........」
「...........無いんだったわね。そう言えば、あのガキに全部取られたんだった」
「護符?もしかして護符ってこれのこと幽華ちゃん?」
莉桜が自分の服をめくると背中に昨日幽華先生から貰った御札を貼り付けていた。
何処につけてるんだよこのバカは............
「...........ん?」
「あっ、それでも何とかなるかも!!」
幽華先生は莉桜の背中に貼り付けてある御札を「ベリッ!!」っと剥がして教室の壁に雑に貼り付けた。御札を剥がす時に莉桜が「キャンッ!!」という変な悲鳴をあげたが僕達は無視をする。
「今の私なら祓うことは無理でも、穴を開ける程度なら行ける!!!!」
「時間が無いから詠唱は省略!!!」
「妖を祓いて、世を清めよ!!」
「符術《浄化符》!!!!」
すると、御札が昨日みたいに眩く光輝き辺り一面がジュワジュワと音を鳴らしている。
「佐藤くん!!私と雨宮さんを連れて穴から脱出して!!!」
御札の光が弱まり、周囲は「ジュワジュワ........」と音を立て肉の焼け焦げる匂いが辺りに充満する。
御札が貼ってあった場所には穴が空いており、窓から見ると外は真っ暗なのに穴から見る景色は夕焼けが見える。
僕は背中に莉桜を前には幽華先生を抱えて穴から飛び出す。
「って、あれ?」
僕は穴から抜け出せばそこは空中だと思っていた。だって、3階にいたんだから3階から落ちるんだと僕は思っていた。
しかし、実際に出てみたら僕は地面に足を付けていた。
僕達がいた3階だと思っていた教室は、実際は1階だったのだ。
マジでどうなってるんだこれ?
「はひ〜」
「怖かった〜」
莉桜は力が抜けたように僕の背中からスルスルと落ちていった。
僕も足がガクガクしているし、怖かった...........
そこ瞬間、いきなりスマホが鳴る。
僕は疲れていたのか何も考えずに通話ボタンを押してしまった。
「おっ!!繋がったつながった〜」
スマホから聞こえてきた声は女性のような高くて、明るく柔らかく安心出来る、聞き馴染みのある声だった。
しかし、僕はその声を聞いて「しまった!」と思った。まったく知らない電話番号、相手が誰なのかも知らない。
きっと、間違い電話か詐欺電話だろう。
疲れていたのか、頭が働いいていなかったのか電話番号をみていなかった............
それに、僕に電話をかけてくる奴なんて莉桜くらいだしな。
早く電話を切ろう。
僕はそう思って通話終了ボタンを押そうとしたその時...........
「わー!!わー!!!」
「切らないで切らないでー!!!」
「えーと、佐藤 蓮くんと雨宮 莉桜ちゃんだよね?」
「そこに、幽ちゃんがいるでしょ?」
「えっ?なんで、僕達の名前を.........」
「そこにいる幽ちゃんを連れて神棲神社に来なさい。そこで待ってるからー」
電話の相手は話し終えると直ぐに切ってしまった。僕の質問には一切答えずに............
そう言えば、神棲神社ってどこだ?
「なぁ、莉桜?さっきの電話の内容聞いてたよな?」
「神棲神社って知ってるか?」
「んー?」
「あれじゃないっけ?えーと、山の上に建ってる人が全然いない神社じゃなかったっけ?」
「何年か前に一緒に参拝しに行かなかったっけ?」
あぁ、あのボロボロの神社か。確かに何年か前の正月に参拝に行った。人気が無くて暗い神社だった。
まぁ、人気がないのは近くに大きな神社があるからだけど。
しかし、あの山道を登って行かないといけないのか...........
幽華先生は気絶してるし、おんぶして行かないといけないのかな............
「どうするのレンレン?」
「怪しそうだけど..........、それに.........」
「仕方ない。怪しいけど行くしかないだろ?」
「どうする?何があるかわからないし、危ないかもしれないから莉桜は家に戻っててもいいぞ?」
莉桜に危ないことはさせられない。莉桜は僕の大切な幼馴染だ。
もし、何かあったら僕は.........
「........え?なに言ってるの?」
「私も行くに決まってるじゃん!!レンレンを一人になんてさせられないよ!!」
「それに、レンレンだって何があるかわかんないし、危ないかもしれないんだよ?レンレンこそ家に帰って大人しくしていなよ!!」
「もし、レンレンが怖くて行けないんだったら私が一人で行くから大丈夫だよ?」
「はっ!!」
「お前を一人で行かせることを僕が許すはずがないだろ?」
「お前の方こそ家に帰ってろよ!!」
「はぁ?」
「レンレンに何かあったらどうするの?私が行くからレンレンはお家に帰って寝ていなよ!!」
「それに、私の方が力もあるし幽華ちゃんを神棲神社まで運べますー!!」
「おいおい、か弱い女の子がなに言ってるんだ?」
「ここは、お前より頭が良い僕に任せるべきだろう?」
「お前は家に帰って夕飯の支度でもしているんだな!!」
「はぁ?」
「私が料理出来ないこと知ってて言ってるでしょレンレン!!」
「レンレンこそ家に帰って夕飯の支度して、お風呂に入って寝てろ!!このわからず屋!!!!」
「はっ!!」
「お前の失敗した料理なんて小さい頃から死ぬほど食ってきたから今さら問題ないわ!!!」
「お前こそ家に帰ってろ!!バカ野...........ゴフッ!?」
「おいコラ..........なんで殴った............」
「いや〜、頭殴ったら気失うかな〜って?」
「アハハ、中々気を失わないし、もっと殴って気絶させてやる!!!」
「バカ野郎!!お前が殴ったら顔の形が変わるはっ!!!」
「って、危なっ!?!?」
その瞬間、僕と莉桜は盛大にズッコケた。
僕と莉桜はわけがわからず、起き上がってみると幽華先生が立っている。なるほど、僕と莉桜が喧嘩で目が覚めてそのまま止めてくれたのか。
「佐藤くんも雨宮さんもそこまでよ」
「まったく、貴方達は隙さえあればイチャイチャラブラブするんだから.............」
「「してないっ!!!」」
何を言ってるんだ幽華先生!!僕も莉桜もイチャイチャラブラブなんてしてる訳がないだろ!!どう見ても喧嘩してたでしょ!?
幽華先生の目は節穴だったのか?
「わ、わわわわ私がレンレンとイチャイチャラブラブなんてする訳無いでしょ!!!!」
「な、なななんの根拠があって..........」
「そうだそうだ!!」
「僕と莉桜は幼馴染であって、恋人みたいにイチャイチャラブラブなんて..............」
「...............する訳がない!!!」
莉桜と恋人か............
ま、まぁ、別に付き合うなんて............
「はいはい、まぁいいわ」
「取り敢えず、先輩から連絡が来たみたいね。何処に来いって言われたの?」
先輩?先輩ってもしかしてさっきの電話して来た人かな?
どこに来いって言われたっけ?
なんか、莉桜と話し合いしてる間に忘れちゃったみたい?
ん?あれ、メールが来てる。
えーと、神棲神社集合。イチャイチャしてないで早くみんな来い?
「えーと.........」
「神棲神社集合らしいです...........」
「あと、ここにいる全員来いとのことです...........」
「はぁー、わかったわ」
「じゃあ、行くわよ神棲神社。私は神棲神社わかんないから案内よろしくね」
「それと、着いたら今まで起きたことを全て教えて上げるわ」
そうして、僕と莉桜。あと幽華先生は神棲神社へと向かっていくのであった。




