降臨。
「なんで、君がここにいるのですか?蓮くん」
「もしかして、君も..........」
なんだ?どういう状況だ?
幽華先生が旧校舎で捕まっていて、サクは敵意剥き出しで今にも襲いかかってきそうだし...........
何がどうなっているんだ?
何か勘違いしてないか?僕は別にサクと敵対したい訳じゃないんだが.............
「.............サクの邪魔をするんですか?」
「友達だと思ってたのに.........。また、サクは騙されたですか.....」
「許さないです..............。サクの邪魔をするなら蓮くんでも許さないです!!」
その時、サクの後ろから耳が現れた。
人型の耳がサクの後ろに立っていた。
「は?」
なんだ、あれ!?
昨日の目の化け物と同じようなものか?
「行くです、あの人たちを捕まえるです」
「“耳さん”!!」
すると、人型の耳。
耳の化け物が僕達に向かって手を、いや耳を伸ばしてきた。
僕は咄嗟に避けて、近くにあった椅子を拾い叩きつけた。
耳の化け物は一瞬怯んだが、直ぐに僕に襲いかかってくる。
僕はガードをしようとしたその時、幽華先生が僕の首根っこを掴み後ろへと投げ飛ばした。
直ぐに受け身をとったから怪我をすることは無かったが、ビックリしたし怖かった!!
僕を投げ飛ばした幽華先生を見ると僕に向かって口をパクパクしている。魚のように口をパクパクしている。
なんだ?息が出来ないのかな?
それとも、僕に何か伝えている?
(どうしたんですか幽華先生?)
...........あれ?何か変だ。
これは喋れないのか!?上手く言葉が発せない!!
いや、違う?この感じは喋れないんじゃない。
音は発せられている。声は出せている。
これは聞こえてないんだ!!音が聞こえない。
耳が音を拾ってくれない!!
多分、耳の化け物が僕と幽華先生の耳を聞こえなくしたんだ。
そして、聞こえてないのは人の声だけで音は聞こえている。幽華先生と耳の化け物との戦闘音は聞こえている。足音やぶつかる音、化け物の身体を殴る音は聞こえている。
きっと、幽華先生は耳の化け物との戦闘で気づいてない。
幽華先生の声が僕に届いてないことに。幽華先生が僕に何かを伝えようとしていることは分かるんだけど、肝心な内容がわからない。
僕はテレパシーや読心術が使える訳ではないから、わかんないよ!!
どうしよう、幽華先生に加勢した方がいいのか?だけど、足手まといになりたくないし..............
もしかしたら、そこを動かないでとか言われてるのかもしれない。
動こうに動けない。幽華先生の足を引っ張ることはしたくない..........
何か手はないか?サクを止める方法はないか?
話し合いでもするか?声が聞こえないのに?
耳の化け物と戦う?足手まといになるだけ無駄だろう。
助けを呼びに行くか?旧校舎にある唯一の階段である突き当たりの階段はサクが門番みたいに守っていて無理そうだ...............
なら、階段が無理なら窓から助けを呼べば...........
僕はすぐ近くの教室に入り窓を開ける。
しかし、窓の外は真っ暗だった。窓を閉じれば外の景色が映し出されるが窓を開ければ外は暗く黒かった。
どうなってんだ?夜になってる?
さっきまで明るかったし、日が落ちるまで時間もまだまだ先なのに?
そもそも日が落ちてもここまで暗くないぞ。
ここはドッキリハウス的なやつなのか?それともここは夢?
仕方ない!!飛び降りてみれば分かる!!
僕は窓を全開にし、足をかけ外に身体を投げ出した。
しかし、窓の先には薄い幕があり外に身を投げ出せなかった。
いや、幕というより肉?温かくてヌルヌルしていて生きた誰かの肉を直に触ってる感じ?
くそっ!!どうなってんだここは!!
あぁ、ヤバい疲れてきた...........
それに、なんか眠くなってきた.........
いや、落ち着け!!
いま眠ったら本当に死ぬぞッ!!
何か、何か良い案はっ..........
(...........ゴッへっ!?!?)
その時、僕の背中に何かが投げつけられた。
振り返って見てみると幽華先生が頭から血を流して倒れている。
(なっ、幽華先生ッ!!!)
僕は咄嗟に幽華先生を抱える。
幽華先生も僕に気付いたのか口をパクパクさせて何かを伝えようとするが、僕にはわからない。
アニメとかドマラで口の動きで何を言ってるかわかるとか言ってるけど、僕にはまったく理解できない。
そうしている間にも目の前には耳の化け物が迫ってきていた。
後ろは壁で後退は出来ない。そもそも幽華先生を抱えてコイツから逃げ切れるわけがない。
それに、さっきから疲れが凄い...........
眠いし、起きてるのもやっとだ...........
何か方法は...........
その瞬間、耳の化け物が天井にのめり込んだ。
僕のまばたきする間に化け物の頭が天井にのめり込んでいる。
「は?」
何が起こった?何が起きた?
なんで、天井に?
僕の脳が激しく思考を巡らせていると、突如何者かがタックルをかましてきた。僕は抱えていた幽華先生を横に投げ捨てタックルを食らう。
しかし、痛みは無く衝撃も無くむしろ暖かい。
あれ?この匂いは..........
「.................り...............お?」
莉桜がいた。莉桜が僕を抱き締めていた。
なんで、ここに莉桜が?それより、ここは危ぶないぞ!!
莉桜にもしもの事があったら............
「大丈夫レンレン?ごめんね私がもっと早く来てれば...........」
「..............よくも私のレンを............よくも私の大切なレンを!!」
「赦さない!!絶対に赦さない!!」
「オイッ!!!てめぇ!!!!」
「化け物とクソチビ!!!」
「私のレンに何してくれてんだァッ!!!!!!」
僕を抱き締めていた莉桜は鬼のような形相でドス黒いオーラを漂わせていた。




