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〇〇〇さん  作者: 相雪 化
第1章:終わりの始まり
13/17

旧校舎へ。




 私立神見高等学校の旧校舎。

 この学校の旧校舎は戦後のすぐ後に建てられた校舎で中も外もボロボロで今にも崩れそうだ。旧校舎の中はそのままで、昔の学生が使っていた机や椅子、黒板、チョーク等々がそのままの状態で残っている。

 まぁ、ボロボロ過ぎて誰も旧校舎に入ろうとなんかしないから残ってるんだけど。それに、旧校舎の扉や窓には鉄格子やら頑丈な鍵やらが掛けられていて簡単には開けられないから誰も入ろうとはしない。


 たまに、俺ワルなんだよねー。とか言う奴が侵入しようとするが先生にバレて捕まったり、校舎に入るも建物が崩れて下敷きになって死亡した奴がいた。



 そんな、いつ崩れるかも分からない危険な旧校舎にサクは手慣れた様子で入っていく。

 サクは先生達にバレないように廊下を出て旧校舎の裏に回っていき、端から4つ目の窓の鉄格子をスポッと抜き窓から入っていった。


 僕もちょこちょこと音を立てずにサクの後ろをついて行き、端から4つ目の窓を覗き込む。

 そこに、サクはいなかった。旧校舎の中は薄暗くて、至る所に落書きが描かれていた。床にはゴミが散乱していて、机や椅子もグチャグチャしていて荒れ放題。

 旧校舎と言うよりゴミ屋敷と言ったほうがぴったりな程、旧校舎は汚かった。



 窓から覗いて誰もいないことを確認して、旧校舎へと侵入する。


 「ウェッ!?臭っ!!!」



 中に入ると物凄い臭さに鼻が曲がった。

 臭すぎて鼻が360°まがるー!!!

 いや、そんなことよりサクはどこに行ったんだ?

 急がないと見失う!!



 急いで教室から出て廊下を見渡すがサクの姿はなかった。

 耳を澄ますと上の方から音が響いてくる。


 上にいる?

 確かこの旧校舎は2階建てだったよな。


 じゃあ、何処かに階段があるんじゃ..........



 「お、あったあった」


 廊下の突き当たりに階段らしき物があった。

 見てみると所々の床そこが抜けた階段だったが上れないことはないだろう。


 実際に上ってみるとギシギシと音が鳴るが壊れるようなことはなかった。

 2階に到着し見渡してみると、1階に比べてゴミが散乱していることはないが床や天井が抜けている。


 暗くてジメジメしていて陰気臭い場所だ。



 「なんで、サクがこんな所に?」


 わからない。だけど、もしかしたら幽華先生と何か繋がりがあるかもしれない。

 もしかしたら、もう一度あの時の高揚感が体験できるかも.........


 いや、なに言ってるんだ僕は?

 普通に幽華先生が心配で来たんだ。決して非日常感を体験しに来たなんてことは絶対にない。僕は普通を愛して、普通に感謝をする者だ。

 決して、非日常が良いものだなんて思わない。


 普通が一番、普通が一番、普通が一番、普通が一番.............



 よし、これで良いだろう。

 普通が一番で絶対に良いんだ。


 

 「ん?あれ?」


 なんで、昇りの階段があるんだ?


 僕の目の前には上の階へと通じる階段があった。

 でも、それはおかしい。

 だって、旧校舎は2階建て。3階なんて無いはずだ。


 でも、ここには上の階に行く道がある。

 もしかして、屋上があるのか?外から見た感じ旧校舎は三角の屋根があって屋上がある様には見えなかったけど............



 それにしても、怪しい.........

 まるで、何かがありそうな予感..........

 行ってみるか.........



 僕は旧校舎にあるはずの無い3階に向かって階段を上り始めた。

 階段を上って行って特に変わったことはなく、上りきった先には2階や1階と同じく廊下があって教室があった。


 まぁ、ちょっと肌寒いくらいかな?




 「あっ!?」


 階段を上がり廊下を歩い行って、3つ目の教室。

 扉は壊れ、窓も割れて、教室内は机や椅子が散らばっている。そんな教室の中央に椅子に縛り付けられた...........


 「幽華先生ッ!!!」


 ...........が座っていた。




 「幽華先生大丈夫ですか!?幽華先生ッ!!」


 僕は幽華先生の肩を揺さぶり耳元で思いっ切り叫んだ。

 すると、幽華先生は.........


 「うるさい!!うるさい!!うるさーいッ!!!!」

 「耳元で叫ぶな、このバカちんがー!!!」


 ..........と、大声で叫び、幽華先生の生足が僕の鳩尾を蹴り飛ばした。



 「グハッ!?」


 僕は幽華先生に蹴飛ばされて教室の窓ガラスを破り、廊下の壁際まで蹴り飛ばされた。


 「ゴホッゴホッゴホッ!!!」




 「..........あれ?なんで、佐藤くんがここに?」 


 いつの間にか椅子に縛り付けられていた幽華先生は紐を解き僕の隣に立っていた。

 速っ!?神社の家系はこんな強いのか............

 いや、物理攻撃に神社の家系は関係あるのか?



 「ゲホッゲホッ..............」


 うぅ、まだ上手く呼吸が出来ない.........

 莉桜に鳩尾を蹴られても、こんなに苦しくは無いのに............


 これは、幽華先生の蹴り方が上手いのか、はたまた莉桜より馬鹿力だったのか........




 「ゲホッゲホッゲホッ..........」

 「ゲホッゲホッ...........。えぇと、これは一体なにがどうなってるんですか?」


 本当にどうなってるんだ?

 幽華先生が行方不明かと思ったら旧校舎にいたし、捕まってるかと思ったら自力で脱出してるし、幽華先生を心配したら鳩尾を蹴られたし、サクは旧校舎に入っていくし、もう何がなんだかわからない............



 「うん、取り敢えず話せる程度には回復したかな?」

 「ごめんね、佐藤くん。まさか、君だとは思わなかったんだよ」


 「それより、なんで佐藤くんがここにいるの?」

 「ここは危険なのよ。早くここから逃げなさい」




 「え?いやいや、確かに旧校舎は今にも崩れそうで危険ですが..............」




 「違う、そうじゃないの」

 「えーと、そもそもここは.......」



 幽華先生が何かを伝えようとしたその時、木の床がギシギシと鳴り響く音がした。

 周囲を見てみると誰もいない、音の方角的に誰かが階段を上ってきてるのだろう。


 「ッ!?」

 「誰か来ますよ幽華先生!?」


 誰だ?

 幽華先生を縛り付けた奴か?それとも、サクがここに?



 「あれ?あれあれ?」


 すると、階段を上って誰かがやって来た。

 黒いローブを着ていて、身長は小中学生くらい。

 幼い顔立ちで男の子とも、女の子とも取れるような中性的な顔をしている。


 「なんで、蓮くんがここにいるのです?」

 「それに、先生も起きてるじゃないですか?」




 数時間前に高校初めての友達となった面白そうな奴。


 「...........サク?」




 「はい、数時間ぶりですね蓮くん」

 「なぜ、君がここにいるのですか?」

 「もしかして君も...........」



 僕達の前には鋭い目つきで睨む朔夜サクが立っていた。

 それはそれは、お昼ご飯を食べる可愛い小動物であったサクが放たないような殺気を放って。





 ▽





 「レンレン遅いなー」

 「何をもたもたしてるんだろうレンレン?」



 可怪しい。レンレンは私をこんな長時間も待たせるような奴じゃない。

 もしかして、何かあったのかな?


 さっきから、嫌な予感もするし.........

 不安だし、一度レンレンの所に行ったほうがいいと思う。

 うん、行こう!!



 そうして、私は嫌な予感と気持ち悪い気配を校内から感じながら、レンレンを追いかけて行くのであった。




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