第1話「選ばれし者」
戦争は続く、どこまでも。
ヒトは憎しみ合う存在だから――。
***
小国フォークリスタルの内紛――。
始まりは少数部族を巡っての小さな抗争だった。
やがて国を二分する戦いにまで発展し、世界中の注目を集める。
政府軍、解放軍、双方が大国の支援を取り付けたことで戦いは長期化し混迷を極めた。
終わらない泥沼戦線――。
世界からそう呼ばれた。
やがて、政府軍を支援する大国の一つが最終兵器の投入を決める。
人型戦闘機オー・クルス――。
全長20m。飛行能力を有し、強力な銃火器を使いながら高速で戦場を駆け巡る。
10年ほど前、人型戦闘機が実戦投入されると軍事評論家達は口を揃えて語った。
戦争は一変する。
その言葉の通り、人型戦闘機は戦争の中心軸となり、保有数が作戦の成否を分けた。
政府軍の諜報機関によれば、解放軍は未だ人型戦闘機の支援を得られていない。
1体送り込めば解放軍を制圧できる状況にも関わらず、政府軍はオー・クルス10体による奇襲作戦を立案した。
大国から派兵されたパイロット達が最小限の攻撃を進言したが、政府軍は聞き入れない。
反乱の芽は徹底的に叩き潰さねばならない。それがフォークリスタル政府の決定だった。
後ろめたい気持ちを抱き、パイロット達は出撃した。
ここまでやる必要はない。もしかしたら新たな戦争の火種になるかもしれない。そう思っていた。
しかし、それは杞憂に終わる。その部隊は無惨に破れ去ったのだ。全員が脱出に成功したものの、機体は全滅した。
政府軍基地と襲撃予定地のちょうど中間地点でのことだった。未確認の機体が彼らの前に立ちはだかる。
美しき純白の人型戦闘機――。
部隊全滅により政府軍が混乱する中、救助されたパイロット達への聴取が行われた。
彼らの報告によれば、その機体には銃火器の類は搭載されていない。剣や盾も持っていない。
銃弾を避け続け、蹴りと拳のみで戦う。
まずメインカメラを狙う。次にスラスターを破壊し、飛行能力を奪う。
オー・クルスは行動不能となり、パイロットは脱出する以外に打つ手はない。
鮮やかな舞踏を見せられているかのようだった、パイロットの一人はそう語った。
そして、彼は予感していた。
新たな時代が始まるのかもしれない、あの純白の機体によって――。
***
純白の機体は初陣を勝利で飾り、母艦に降り立つ。
コクピットの扉が開き、パイロットが姿を現した。そして、ヘルメットの下の素顔が明らかになる。
その正体は亜麻色の髪と瞳の少女。
しかし、その髪色と瞳の色は彼女本来のものではない。とある装置で頭髪と瞳の色を変えているのだ。
少女の名はジュリア。年齢、16歳。
純白の人型戦闘機、その名は――。
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