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【ハイファンタジー 西洋・中世】

戰場の女神達

作者: 小雨川蛙

 XXX年に起きた戦争における集団失踪については未だに謎が多い。

 分かっていることを羅列するならば以下のようになる。


 一つ、長く続くA国とB国の国家間での最後の戦争であること。


 二つ、記録が正しいならば史上でも有数の兵士が参加したこと。


 三つ、大規模な戦争であったが故にまだ十歳を過ぎたばかりの少年さえも兵士として駆り出されたこと。


 四つ、毎日数え切れないほどの兵士が死に、兵士達はやがて神を信じることさえもやめてしまったこと。


 五つ、そんな兵士達がある日、まとめて戰場から消え去ったこと。


 六つ、男達が消えたことに伴い国力が低下しA国、B国は共に滅びたこと。


 七つ、彼らの下に女神達が現れたと伝えられていること。



 この謎の解明に役立ちそうな手掛かりらしい手掛かりは何一つ存在せず、唯一『女神達』と称されたモノが私達の空想を掻き立てる。

 しかしながら、今日においてもその答えは定まらず、現代においても歴史における大きな謎として私達を魅了し続けている。

 ・

 ・

 ・

 さて、ところ変わって当時の戦場。

 敵も味方も突如現れた『女神達』に骨抜きにされていた。

 彼女達は皆、売女を思わせるほどに煽情的な姿をしており、戦場という女っ気のない上にいつ死ぬかも分からない場所では兵士達にとりこの上ない衝撃を与えていた。

 女神達は口々に言う。

「神様は居ないけれど、私達はいるのよ。さぁ、一緒に楽しみましょう?」

 その言葉に逆らえる兵士など……いや、男など一人も居なかった。

 彼らは我先にと女神達に飛びつきそのまま情欲にふけり続ける。

 そんな兵士達を抱きしめ、共にまぐわいながら女神達は互いに聞こえる程度の声で囁いた。

「男って本当におバカね」

「良いじゃない。おバカだから私達も楽しめるんだから」

「ほんと、ほんと。まぁ、私達からすればこんなおバカさん達はいくらいてもいいんだけれどね」

 あるいはこの場所でまだ神という存在を信じられていたならこのような結果にならなかったかもしれない。

 いずれにせよ、後に女神と語られるサキュバス達によってこの悲惨な戦争は終わったのだ。


 彼らが守りたかった故郷を道連れにする形で。

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― 新着の感想 ―
タイトルの戦場の女神からヴァルキリーのようなものを想像していましたが、全然違うタイプの女神でしたね。 戦争の虚しさは伝わりました。
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