『日めくりカレンダー』 【なろうラジオ大賞6】
22日
「おはよ、ナツ君」
「おはよう、ユキ」
「ふふ、眠たそうな顔」
「うるさいな〜」
「…ナツ君を起こしてあげられるのもあと少しだね」
「そうだな…って、ちょっ!?」
「カレンダーに書き込んどこっと、27日まで毎日起こしにきますよってねー」
「勝手に書くなよ。それに、そんなの書かなくても毎日来てるだろ」
「気にしない、気にしない。カレンダーめくっとくねー。早くしないと朝ご飯冷めちゃうぞー」
ビリッ。…ズキッ。
23日
「おはよ、ナツ君」
「おはよう、ユキ」
「ナツ君の寝顔見れるのもあと四回だけかー」
「……」
「パパの転勤の話を聞いたときは不安だったけど…今は少しだけ興味あるんだ、向こうの学校」
「…楽しみなの?」
「…どうなのかな?よくわかんない…あっ、めくっとくねー。先食べてるから」
「……」
ビリッ。…ズキッ!
24日
「おはよ、ナツ君」
「…おはよう、ユキ」
「元気ないじゃん、どしたの?」
「…なんでもないよ」
「もー、シャキッとしないと。これじゃ私が海外に行ったあと、どうやって起きるの?」
「うるさいな!」
「!?」
「…もう起こしに来なくていいよ。一人で起きれるから」
「えっ…なんで…」
「楽しみなんでしょ?海外。もういいから」
「…わかった、もう来ないよ。それじゃ…」
「……」
ビリッ!…ズキッ!
25日
「おはよ、ナツ」
「母さん?」
「ユキちゃんとケンカでもしたの?」
「…べつに」
「…ちゃんと仲直りしなさいよ」
「……」
ビリッ。…ズキッ!!
26日
「あっ」
「ユキ…おはよう」
「ナツ君、起きてたんだ」
「なんか目が覚めちゃって…」
「そっか…明日で最後だから来たんだけど、もう一人で大丈夫そうだね」
「そ、そんなこと…」
「ほんと寂しくなるなー。私が起こさないと、ナツ君なかなか起きなかったのにさー」
「…ごめん」
「いいよー。…体調には気をつけてね、ナツ君。これ、めくっとくねー」
「ユキ!」
「わっ!?ど、どしたの?」
「ユキに話したいことがあるんだ」
「…なに?」
「俺は……」
ビリッ。…ズキッ。
27日
「おはよ」
「…おはよう」
「どしたの?私の顔じっと見て」
「ユキが海外に行った時の夢を見たよ」
「わぁ懐かしー。…そういえば今日だったね。あの時ナツ君大泣きしてたからなー」
「なっ!?ユキも泣いてただろ!」
「そーだったかなー??ふふ、これからも私が起こしてあげるから泣かないでね」
「う、うるさいな〜」
「さっ、朝ご飯食べよ!あっ、カレンダーめくっとくねー」
ビリッ。
『なろうラジオ大賞6』用に作った作品です。
千文字以内に物語を収めるのって、とても難しいんですね。入力した文章を削ったり、違う言葉に変えたり…普段、文字数を気にすることがなかったので凄く勉強になりましたよ。
あと何作か『なろうラジオ大賞6』用に作品を作ろうと思います。
ぜひ読んでいただけると幸いです。