魔法の書 転じて日記帳
タンタンさんが言うところの「書付」、
私にとっては「魔法の書」、
そこに 日々の出来事を書き記して置いたら良いと、タンタンさんに言われた。
なんでも養父さんによると、歴代の落ち人が 折々に書いたことがこの書付の原資料となっており、
後世の落人が 困ったことや 知りたいことを頭に浮かべて書付を開くて、
先人たちが書き記した情報が現れるようになっているのだそうだ。
「でもね、それだけじゃないんです。
案内人もね 在任中は 落ち人の世話や この救護室の整備などに迷ったときには、この書付を見ると やるべきこと・必要とする情報を見ることができるようになっているのです。
なので 今後のことも考えて、できるだけ 落ち人さんの日常をここに書き残してくださると助かります。
お書きになったことは ご本人の分はいつでも読み返せるようになっているそうですから。」タンタン
「でも 筆記具は?」
「書付を開いて 書くぞ!と思うと手になじんだものが出てくるそうです。
実際 養父が書いている所を 何回か見たことがありますが、毎回筆記具の種類が違っていたような気がするんですよねぇ。
詳しいことは その書付を見てください。
嵐が続いている間は、私が 食事の支度から風呂の用意までお世話しますから
落ち人さんは ゆっくりと休憩しながら 書付を見たりしてお過ごしください。
なにか あれば 気兼ねなく 私に声をかけてくださいね」
と、私がここに来た日の翌朝、外ではまだ雨風が吹き荒れる朝餉のあとで タンタンさんから言われた。
なので しばらくは 食っちゃ寝しながら、書付を読んだり、
タンタンさんに質問したり、
嵐が収まってからは、いろいろなことを手伝いながら教えてもらったりしながら過ごした。
この日記の(その一)の所に書いた、落っこちた日の出来事だけは、割と早いうちに書いたのだけど、そっからあとは いろいろと覚えることが多くて、
この一人暮らし第一日目の今日まで 日記を書くことができなかった。
ちなみに 私の中では 「書付」ではなく「日記」です!
この「魔法の書」に何かを記す時には。
だって だって、本を閉じるとスッとどこかに消えて、
この本を見たいと思うと スッと手元に現れて
書き込みしようと思うと 鉛筆とか消しゴムとか筆記具が出てくるんだもの!
しかも 過去の落ち人さん達の書き込みを見ると、毛筆、インク、ボールペンを使って書いてあるのだもの。
きっと その人達が使いたいと思った筆記具が 現れていたのだろうと思う。
だから きっと これは ただの書付ではなくて、「魔法の書」なんだと思う。
そのうち 自動翻訳機能とか 欲しいものがお取り寄せしたりできるようになるのではないかなぁ・・と期待。
(今のところ 文字を見て言語を推測できても、読解はできない言語が多いのです。
言語的要素を弁別することと 語彙の意味や文章の内容を理解するのは別ですから)