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落ち人:明日をも知れぬ運命  作者: 木苺
    タンタンとポン & おうち探検Part2
20/97

お風呂

・我が家ともうよんでもいいだろう、この家(救護所)のことを。

 我が家には お風呂がある。


台所の料理用の竈の奥には、風呂の焚き付け口もある。

 壁の向こうは浴室だ。


風呂と脱衣場は 位置的に言えば洗濯場の東側だが

脱衣場の入り口は台所にある。(洗濯場への出入り口のちょっと横)


風呂と脱衣場の造りは、旅館の家族風呂とよく似ている。

 窓は控えめ、ロッカーとかついている点で。



最初、ここのお風呂は五右衛門風呂方式

いわゆる 鉄の大鍋の底の下で薪をくべて火をおこし

大鍋の中の水を沸かす。


大鍋の上部外側は 触れてもやけどしないように粘土?を塗り付けてある。


入る時には 下駄をはいて、すのこ状の側板と底板を沈めて入る

(鉄なべの底に触れたらやけどするもん!

 それに いくら 木の板を沈めて鉄底に直接触れないようにしていても、やっぱり熱いから 下駄をはいて足裏を保護するのだ。

 だから 風呂の底に尻をつけるのではなく しゃがんで湯に入る感じ)


そんな風だった。


だから 体はあったまるけど あんまりくつろぐ雰囲気ではない。


 (現代っ子の私には しゃがむ姿勢も苦しいんだよね。

  ヤンキー座りのできる若者は 現代っ子の中では例外的に足腰が鍛えらているのだと思う。

  なので 今どきの 不良たちは 元祖ヤンキー座り(しゃがんでいる)ではなく、

  尻をつけた体操座りの足開きバージョンのような座り方をしているのかもしれない)


それがなぜか、私が一人暮らしになってから、お風呂が変化していた。


実のところ 一人暮らしが始まった日の夜、

「お風呂に入りたいなぁ

 でも 湯船に何杯も 水を組み入れる元気がない


 温泉は無理でも 蛇口から温湯が出てくる太陽熱温水タイプ(※)だといいのに。

 ほんとは温泉を希望しているけど ここの地下は 地下水脈からの冷気を利用した冷蔵室が広がっているから 温泉は無理だろうな、たぶん)」

と思いながら寝たのです。


そして 翌日、顔を洗いに洗濯場に行くと、台所の壁と脱衣場の壁との間に階段が・・


怪訝に思い、階段を上ってみると、ポンプと上面ガラス?蓋つきの水槽のようなものがある。 水槽の底面には 排水口のようなものも。


もしやと思い、浴室を見に行くと\(◎o◎)/!


まず第一に、浴室の壁が、板壁からオシャレなタイル壁に変化!

そして 浴室そのものが広くなった!


そして 足を延ばして座れる長さの浴槽

でも鉄製で、入浴するときには、すのこ状の底板と側板を取り付けなければいけないのは 五右衛門ぶろスタイルを継承。

 でも 鉄なべ部分とすのこの内側との隙間が大きいので 下駄無し入浴で座れた!


そして 浴槽に突き出た蛇口をひねると、なんと屋上の水槽からの配管を通ってぬるま湯が注がれる!


これ 真夏の夕方だと、朝の間にくみ上げた水が かなり熱くなって浴槽に注ぎ込まれるのだろうなぁ。


そして 天日による水の温まり加減が足りないときは、従来通り、台所側の風呂のたき口から薪を燃やして 浴槽=鉄の巨釜を温めるわけだ。 ┐(´д`)┌ヤレヤレ


井戸からつるべで くみ上げた水を 浴槽まで運び込まなくて済んで良かった、と思った。


でも 手押しポンプで 浴室の屋根の上まで水をくみ上げるのも 結構大変だった。


この変化って やっぱり 神様が配慮してくれたのかなぁ・・


というわけで、

我が家を再訪したタンタン夫婦は、

洗い場の変化に気が付くと かなり怪訝な顔をして私に尋ねに来た。

「なにか しましたか?」と。


「浴室の中も見て来たら?」という私の言葉に従って、

浴室まで行って 扉を開けるなり、「ポン!」と煙を上げて 狸姿に戻ったのでありました。


そして 変身が解けたことにうろたえたタンタンは 洗い場の隅まで走って行き|

ポンさんが付いてこないのに気が付いたらしく、立ち止まり、それでも怯えがまさって隅っこで丸くなり

一方のポンさんは、腰が抜けたらしく 浴室の隅っこで丸まってしまったのでした。


「あ ごめん びっくりさせて。

 実は 私も 初めて見た時はびっくりした。

 一晩寝て起きたら、こんな風に変わっていたの。」


「そ そうですか。 これも神様の御業みわざですか?」タンタン


「そうなのかも」私


「でも これどうやって使うのでしょうか?」ポン


そこで かくかくしかじかと実地も交えて説明した。


「それでね、雨が降ったときには、このタンクのガラス蓋をあけて、

 天水を貯めるとよいと思うの」私


「ならば、 洗濯の水も タンクの水を使えたら便利ですね。

 

 冷たい水より ぬるま湯の方が汚れが落ちやすいし、冬の冷水での洗濯はつらいですから」ポン


「そうなのよねー

 でも 洗濯で使っちゃうと、お風呂のお湯が足りなくならないか心配。

 一応 蛇口は 洗濯場にもついているのよ。配管も通っているし」


と言って、私は、洗い場の蛇口の位置も示した。



その後、屋上まで登って、実際にポンプを押して水をくみ上げたタンタン曰く


「わざわざ 屋上まで登って手押しポンプで水をくみ上げるくらいなら

井戸から つるべで水をくむ方が楽というか 手軽というか」


「確かに少しの洗い物なら、汲み置き水でも ぬるみますものね(=少しだけ温かくなる)」ポン


「ポンさんは 普段ご自分の家では 洗濯をどうしているの?」


「狸の姿の時は 服を着ていないから 洗濯しないですし

 人間の姿に化けるている時の服装は、変身を解くときに消えますし、

 次に変身した時は、またきれいな姿になりますので、洗濯不要です。」ポン


「でも さっき洗濯の話をしてませんでした?」私


「晩年の源蔵さんの洗濯物の話です」ポン


「父さんも 最後は 身に着けたものを汚しがちになったから

 お世話が大変だったんだ。

 ポンには ずいぶんと負担をかけてしまった」タンタン


「そして 5年たったら 今度は私の世話まで頼むことになって申し訳ないような」


「それは 言いっこなしですよ」ポン


「それもあって、一度ポンに相談してから今後のことを決めたくて

 この前 ここを出る時には あなたに何も先のことを言ってなくて

 不安な思いをさせてしまったのではないかと 申し訳なく思っている」タンタン


「確かに独り暮らしに不安も感じていましたが、

 こうして再開でき、この先1年は いろいろ手伝っていただけるということですから、過去にこだわらず、

 むしろ これから いろいろできるようになろうと頑張ります!

 なので これからよろしくお願いします!」と 頭を下げた私


「でも 無理はしないでくださいね。

 私たちも 無理のない範囲でお手伝いしますから。」ポン


「ありがとうございます」


というわけで、タンタンさんが来た日の夜、私は入浴を済ませた。


残り湯をどうしようかなと迷っていたら、タンタンさんが遠慮がちに声をかけてきた。


「この湯を分けてもらえるとありがたいのだが。


 以前 父から、タヌ族は 抜け毛がすごいから、一緒の浴槽を使ったり

 風呂の洗い場を共用するのは 勘弁してほしいと泣かれたことがあるので

 その、館の外で、この湯を使って 私とポンが 入浴できる設備があれば良いと思うが・・」


「その設備、タンタンさんが自分で作れるの?」


「いや ぜんぜん思いつかない」タンタン


「しかし 落ち人の中には 自分がイメージしたものを 作り出せる人がいるときいたことがある」タンタン


「でも その代償に 寿命を縮めたり。人より早く老け込んだり、体を弱らせた人もいるって聞いてます」ポン


「少し考えさせてくれる?

 一応 タンタンとポンの要望は聞いておくわ」


「狸姿で とっぷりと湯に浸かったり、水仕事をするときに湯が使えると便利かなと」タンタン


「日頃入浴は?」


「しない。村に入る時 夏に水浴びをすることはある。

 子供の頃 父に風呂に入れてもらうのは好きだった。

 ただ ほんとに抜け毛がひどいし、入浴中は 気持ちが緩んで人の姿に変身してられないしで だんだん入浴しなくなった。


 村に入る時 入浴のために湯を沸かすと 排水が大変だったから 誰もタヌ族は風呂に入らない、今でも」


「抜け毛がね 湯に混じって困るんです。

 それに 人によったら 湯冷めする人も多かったですし」ポン


「一応は タヌ族でも 試したことがあるんだ」私


「ええ タンタンが 源蔵さんところで入浴した体験を話し、みんなが興味を持って試したけど 結果はさんざんでした。

 湯あたりする人も割といましたね」ポン


「それでは タヌ族に入浴は合わないのでは・・」私


「私は そう思います」ポン


「そもそも 人間だって 風呂の残り湯で 洗濯はあまりしないかな

 人の体の油とか汚れが 湯に混じるからね。

 風呂に入る前に、風呂用に沸かしたお湯を使って、小物を洗濯することはある」


「なるほど。」タンタン


「ところで 入浴すると 抜け毛がどっさりというのは

 体にくっついていた すでに抜けていた毛が 湯に浮かぶからなのか

 湯に入ると 毛がぬけやすくなるのか どっち?」私


「実は それもよくわからないのです。

 確かに 体についている抜け毛が落ちたり 浮かんだりも多いと思うのですが・・

 毎日入っていると どうなるのかまではわかりません」タンタン&ポン


ということで この話は いったん ここまでということにした。



ただ その日は 私の残り湯で良ければということで、

タンタンは 湯船から湯を汲みだして 洗い場で たらいを使って行水をした。

 翌日 洗い場は 狸の毛だらけだった。


ポンさんは 

 「だ~か~ら~

  抜け毛が床にはりついて とれないじゃないですか!

  責任もって 1本づつ拾い集めてください!」

とタンタンに怒り倒していた。


確かに 抜け毛が 石畳にこびりついたうえ、排水溝も詰まらせて 

新たな洗濯ができない状況だった!!


はぁ~ どうしても タンタンが 風呂をに入りたいというなら

タンタン専用の浴槽を作らないといけないが、

湯に混じった抜け毛の処理をどうすればいいんだろう??


「タンタン ほんとに 自分でちゃんと処理できるんだろうか?」とポンさんに聞いたら、彼女は 黙って首を振った。

そして一息ついてから言い放った。

「彼 そういうことに関しては無頓着だから 困るんです!!」


というわけで タンタンの浴室問題は 一時保留だ。

 源蔵さんの日記にも タンタンにできたのは 寝所の抜け毛対策まで

 入浴問題の解決は無理だったとあったしね・・。


 それこそ タンタンが入浴したいなら、どこかに

タヌ族専用温泉と 人間専用温泉施設の両方を作れるくらい広い温泉群をみつけてくるくらいのことをしないと無理じゃないかしらと言ったら、

ポンさんも 溜息つきつつ言った。


なんでも 昔 タンタンは自分用の温泉を求めて1か月ほど放浪して、

温泉を見つけられず 汚れた姿で戻って来たことがあったそうな。


 タンタンかわいそう・・


 でも 


「救護所の洗濯場を荒らさないでください!

 なので ここでは あなたの入浴を禁止します!」

私が悩んでいる間に ポンさんが厳しくタンタンに言い渡していた。


(助かった ポンさんありがとう。 そしてタンタンごめん)

私は心の中でつぶやいた。

※1 太陽熱温水器、スタイルは どんどん変化していますが、今も 日本で生産されています

   (この物語で描いたお風呂とは 全然形態が異なります。)

   また 海外援助の一貫で無償建設した住宅などにも使われていました。


  

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