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【第2話】舞踏会場と悪役令嬢

〜舞踏会当日〜



「結局きちゃった。いつ見ても凄い御屋敷…。」


ベルナールから無理矢理?誘われた舞踏会に来たけれど、沢山の人やその雰囲気に圧倒される…。


「オーケストラも来てる…やっぱり私って場違い??」


そう思っていると、屋敷の奥の遠くの方からベルナールが登場した。


「本日はご来邸ありがとうございます。どうか皆様、楽しんでいってください。」


壇上から深々とお辞儀をし、来客者に順番に挨拶をしている。


「なんだか違う世界の人みたい…」


私が遠くからボーッとベルナールを眺めていると、


――――――やはり…。



『きゃ!ベルナール様だわ!』

『こちらに来てくださいまし…!』



――――――ほんと、すごい人気…。



ひと通り挨拶が終わると、いよいよオーケストラの演奏が始まり、舞踏会がスタートした。


管弦楽や吹奏楽の音楽が響き渡る。そんな中…



『ベルナール様!わたくしと是非!』

『いえベルナール様、わたくしが!』

『ベルナール様が、お手をお願いします!』



…みんなベルナールに群がっていく。

そりゃそうだ。みんなベルナール目当てで舞踏会に出席しているのだ。



しばらくベルナールを観察していると…


(ベルナール、全然周りの女の人の相手してない)

(ベルナールがキョロキョロしている)

(あ、ベルナール、私を発見)

(ベルナール、両手で手を振った)

(やばい…)



「おーーーい! !」



(ベルナールがこっちに走ってきた)

(どんどん近づいてくる)

(あ…)



「ローサ!待たせてごめんよおーーー!」



…ベルナールは私をギュッと抱きしめた。



(抱きしめていいとは言ってないぞ…)



「ローサ!踊ろう!」


「え、どうすればいいのか全然分かんないんだけど…」


「はははっ何でもいいんだよ!楽しければ!」


そう言うとベルナールは私の手を取り、エスコートしてくれた。


ベルナールのエスコートが上手なのか、私の体もわりとスムーズに動く。


「こ、こんな感じでいいのかな…」


「ローサが楽しんでくれてるのなら、それでいい!」


私はベルナールのなすがままに踊っていた。


「ちょっと楽しくなってきたかも…」


「おっ、ローサ、ちょっと慣れてきた⁇でも表情は固いなあ!笑って笑って!」


ベルナールは私をくすぐってきた。


「きゃははは!……ってベルナール、笑うってきっとそうじゃない…」


…でも確かに段々と慣れてきて、なんだか楽しくなってきた。


「ローサが来てくれてよかった!すごく楽しい!」


ベルナールは心から楽しんでいるように見えた。


そして…



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ローサ、疲れただろ?あっちにビュッフェがあるからのぞきに行こうよ!」


ベルナールがそう言うと…



『おーい、ベルナール!セネカ公爵がお見えだ!』



ベルナールのお父様の声がした。


「おっとごめん、ローサ!ちょっとおじさんに挨拶だけしなきゃ!あとで行く!」


そう言うと、襟をビッと正してツカツカと歩いていった。



「ベルナール、忙しそうだな。それにホスト役もきっちりとこなしてて凄いな…。」



私はビュッフェルームに行き、紅茶をいただいて椅子に腰掛けた。ホッと一息。すると・・・。




「アナタ、さっきベルナール様と踊ってた方ね?」




…髪の毛は高く巻き上げ、胸元が大きく開いた純白のドレスを着ているご令嬢が話しかけてきた。



「あ、はい…。」


私はペコっとお辞儀した。


「何よそのあいさつ。マナーがなってないわね。」


えっマナー?今のダメだったの?…と思ってたら、


「なんでこんな女がベルナール様と踊ってたのよ。私、許せないんだけど。」


…はいはい、そうですか。…問題勃発。



「ねえ!?あなた達もそう思わない!?」


女が後ろを振り返ると、


『そ、そうです!アイシャ様のおっしゃる通りです!』


なんか屈強な お付きの男が2人、直立不動で答えた。


(この女はアイシャと言うのか。てか、その後ろのおじさん達、…だれ?)


『ベルナール様にはアイシャ様がお似合いです!』


アイシャとやらは私を見て、


「ほら、みんなこう言ってるじゃない。」


とにらんできた。


(てか、言わせてなかった??)


「それにアナタ、ダンスのマナーが全然なってなかったわよ!」


アイシャの口撃は止まらない。


「ダンスのマナーですか?私、ダンス初心者なんです。マナーとか分からなくて。」


私は事実を伝えた。


「初心者とか関係ないわ。アナタはダンスのマナーもダメだし、あいさつのマナーもだめ!対人マナーが全部ダメだわ!こんな人がベルナール様と踊っていたなんて信じられない!」


「ねえ!そう思うでしょ!あなた達!」


『は、はい!アイシャ様の言う通りです!』


アイシャはこちらを見て、


「ほらね。」


と言った。


私は、


「さっきから『マナー』っておっしゃってますが、『マナー』って何ですか?」


とアイシャに聞いた。


「アナタ、本当にマナーを知らないのね!マナーとは相手に不愉快な思いをさせない事よ!」


と鼻息荒く答えた。



「そうですか…。じゃあ、アナタのマナーがなってないって事ですね。」


私はニッコリと微笑みながら言った。


「なんでワタクシのマナーがなっていないのよ!?」


とアイシャはさらに鼻息を荒くして聞いてきた。


なので私は、


「今の私の気持ち、分かりますか?もの凄く不愉快なんです。私は舞踏会の出席者として、ダンスを踊っていただけですよね?それに対して、いきなり話し掛けてきて 勝手にギャーギャー言ってるのはアナタですよね?私は今、心の底から不愉快です。」


と答えた。


アイシャは、


「ベルナール様と踊ってたんだから当たり前じゃない!」


と叫んだ。


なので私は、


「ええ、私はベルナールと踊っていました。それ以上でもそれ以下でもありません。それに対してギャーギャー言ってるのは完全にアナタ側の勝手な都合ですよね?私はアナタを不愉快にさせる行動は何もしていません。もっと言うと、アナタのことはどうでもいいです。心の底から。」


そう言って、ペコっとお辞儀した。


アイシャは私をキッとにらみながら、


「あ、あのダンスは何よ!あんなダンス、ベルナール様に失礼だわ!」


と、カクカクした私の踊りの真似をしてきた。


私は、


「失礼でしたか?私には分からないです。あのダンスも『マナー違反』だったのでしょうか?」


と、アイシャに尋ねた。


「当たり前じゃない!」


と、アイシャは吐き捨てた。





――――――そこへ、ベルナールが帰ってきた。



「遅くなってすまない!」


ベルナールはアイシャと向かい合っている私を見て、


「ん?どうかしたの?」


と小声で聞いてきた。


なので私は、


「私の踊りって『マナー違反』だったのかしら?」


と、ベルナールに聞いた。


ベルナールは不思議そうな顔をして、


「マナー違反?どこがマナー違反だったの?? ローサと踊ってて凄く楽しかったけど。」


と、ベルナールも私のカクカクした踊りの真似をしてきた。


「……私の真似はいいから。ねえベルナール、『マナー』って何かしら?」


ベルナールはさらに不思議そうな顔をして、


「マナー?マナーとは『相手に不愉快な思いをさせない事』じゃない?」


と答えた。


アイシャが言った『マナーの定義』と同じ回答だった。アイシャは一瞬うれしそうな顔をした。


「じゃあベルナール、ベルナールは私と踊ってて不愉快だった?」


と、あえて少し大きな声で聞いた。


「ぜーんぜん!!すっっごく楽しかった!!」


ベルナールはとびきりの笑顔と大きな声で答えてくれた。


「じゃあ私の踊りは、『マナー違反』じゃないって事ね!?」


と、私はさらに大きな声で聞いた。


「もちろん!!」


ベルナールは私の両手を取り、その場でステップを踏んでくれた。


「てかローサ、マナー違反って何のこと?」


ベルナールはあらためて聞いてきた。


「何でもないの。行きましょう。」


私はベルナールとホールへ戻ろうとした。


「あ!ベルナール、先に行ってて!」


私はベルナールに先に行ってもらうと、アイシャの元へ駆け寄った。そして、アイシャの耳元でささやいた。



「私、マナー違反じゃなかったんですって。よかった〜。ベルナール様のお墨付きもらっちゃった。ウフフ。」


アイシャの『ギリリリ』という歯ぎしりの音がビュッフェ内に響き渡る。


「あと、最後に一つだけ。」


私は付け加えた。



「私、アナタとずっと敬語で喋ってましたよね。アナタはどうでしたか?」


と尋ねた。


「アナタの言葉遣いの『マナー』はどうだったのでしょうか。マナーのなっていない人間が、マナーを語るなんて、片腹痛いと思いませんか?」


と言った。


最後に、


「片腹痛いの意味、教えてあげましょうか?」


と言い、さらにアイシャの耳元に近づいた。




「『笑わせんな』」




私はそう言い残し、ベルナールの元へ戻った。


後ろから歯ぎしりしすぎて歯が砕けてる音がした。屈強な男2人が、砕けた歯を拾っていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



舞踏会開始から2時間ほど経った。

外は月が出る時間になっていた。


「おーい、ローサ!ちょっと夜風にあたりにバルコニーへいこう!」


…ベルナールはいつも私の事を気にしてくれる。素直にうれしい。




「なあ ローサ、私はいつでも、ローサに側に居て欲しい。」




ベルナールはサラッと言った。


「そ、そう…?」


私はどう反応していいか分からなかった。


ベルナールがクルッと私に背中を向けた。


「…? ベルナール、どうしたの??」


ベルナールは背中を向けたまま、


「もうローサは気付いてるかも知れないけれど、私はローサの事が……」




……そのとき!




『ガバッッッ!!』


(えっ!?)




……誰かが後ろから私の口を塞ぎ、2人がかりで私をかかえた!!


(え!? なに!? 声がだせない!!)



そしてそのまま運ばれていった!


どこまで運ばれただろうか。


着いた先は、邸内のせまい書庫だった。




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