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青の世界  作者: 瓜島 夏
1/1

自由が待つ世界へ

思えば昔からだった。

ずっと何かが違う気がしていた。

ずっと今の日常に違和感を覚えていた。

そう、生きているという感じがしない。

右を見ても左を見ても社会のどこもかしこも、同じ景色にしか見えない。

来る日も来る日も同じような生活。

人によってはそれを平和と言う人もいるが、平和というのは少し退屈に感じる。

だからと言って戦争が起こってほしいとかそういうわけではない。

平和なことは素晴らしいことだと思うし、それを心から望んでいる人もいるだろう。

でも何かが心の奥のほうで引っかかるんだ。

何かしっくりこないんだよね。

まだ僕の人生は本当の意味で始めってはいないんじゃないかっていつも思ってしまう。

後ろ向きってわけじゃない。

昔から楽しいこととか面白いことを見つけるのは得意だったし、好きなことは全力で頑張るタイプだった。

人が嫌いってわけでもない。

友達もいるし、人と接して心が動かされることだってある。

でも、なんかこの世の中はしっくりこない。

そんな感じがする。

みんなもそう思うだろ?

だが、僕はそんな違和感だらけの日常を脱却する方法なんて知らない。

きっとそんなことを考えたって答えは出ないだろう。

でも僕は信じている。

いつか僕の日常をひっくり返してくれるような誰か、もしくは何かが僕の前に来てくれると信じている。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――—

いつもと同じ放課後。

いつもと同じ時間にいつもと同じ道を歩いて帰る。

今日も今日とて、いつもと変わらないクッソつまらない日常だった。

そう思っていた。

とあるものを見るまでは。

いつもの通学路に見たことのない道があるではないか。

ここ四、五年使っている道だ。

飽きるほど通っている。

基本的に早く家に帰りたい僕でも、好奇心からいつもとは違う曲がり角を曲がったり、違う道に入ることも少なくなかった。

故に、このあたりの道はどこにつながっているのかなどは完璧に分かっていた。

そんな僕の前に突如として見たことのない道が現れた。

幅は人一人が通れるくらいの狭い道、奥に何があるかは分からない。

「こんな道あったかな?」

少し不安もあるが、それ以上に奥に何があるのかが気になりすぎて仕方がない。

狭い道を奥へと歩いて行く。

奥に進むにつれ周囲は木々でおおわれていった。

さすがに違和感を感じた。

いつも使っている道は住宅街の一角であり、そんな住宅街の中にこんな自然豊かな場所があるはずがないからだ。

慌てて来た道を戻ろうとすると、瞬く間に辺りは霧でおおわれてしまった。

それからは来た道をいくら走っても今までの通学路は見えてこなかった。

「そうかい、そうかい。進むしかないってことね。」

いつもの道に戻ることを諦め、おとなしく不思議な道の奥へと進んでいく。

しばらく進むと看板が目に入った。

看板には

”この先森の魔女の家 ”

魔女の…家?

看板に書かれていた言葉、意味の分からない謎の霧。

普段から異世界物のラノベやアニメを見ていた青年の心に火をつけるのに十分すぎる出来事だ。

この道の先にはきっと今までの日常とは違う何かが待っている。

そんな気がして仕方がない。

青年はいつの間にか走り出していた。

早く新しい世界を見たい。

夢中になって走っていると、この森の出口見えてきた。

いったいこの道を抜けた先にはどんな世界が広がっているのだろうか。

いったい何が自分を待ち受けているのか。

様々な思いが一気にあふれ出してきた。

青年の心は今までにないほどに踊っていた。


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