クール真面目キャラで売っていこうと思う(思ってない)
毎日投稿したいと思ってたのに悔しめです
学校についた。俺がこれから入る私立高校は、HPで確認したところ共学で男子の方がやや少ない程度の人数比である。
今の世界は全体的に好景気らしく日本では学校がたくさんあるようだ。過保護な親は女子の魔の手を警戒して子校に入れたりするらしいが、うちの教育方針は共学に進学することだったらしい。あとこの体の前の持ち主も共学には前向きだったらしい。
ちなみに女性だけが魔法を使えるため、この世界の女子校は魔法を磨き上げるためのエリートを育成する教育機関となっているようだ。しかし近年では女子校出身の女性が男性慣れしなさ過ぎているのではないかという問題も出てきているというニュースも見たので、今後はなにか改革があるかもしれない。
続々と徒歩や自転車で登校してくる周りの生徒に囲まれながら俺は校門をくぐり、校舎の中に入った。
周りの生徒たちを見ていると、なんとなくだが前世の時と意識の違いがあるのが感じられた。6月末というかなり暑い時期なのに、男子はしっかりボタンを締めて肌を露出している人が少ない。反対に女子はシャツ一枚で腕まくりしたり、目に毒な短さのスカートを履いていたりして自分の肌が見えていることになんとも思っていないように感じた。
きょろきょろして明らかに余所者感を出しながら自分の教室へ向かい、ガラガラと音を立ててドアを開けた。その瞬間、クラスの中で談笑していた生徒たちが一斉にこちらを見てピタリと空気が止まった。
う・・・気まずい・・・。絶対に誰だあいつって思われてるなこれ・・・。
あらかじめ聞いていた自分の席に座ると、凍っていたクラスの時は再び動き出した。そのまま談笑を続けている生徒たちであったが、明らかにこちらを意識していて、誰かが話しかけるのを待っているような空気が流れていた。
「はーいみんなぁー、おはよう~」
そういって亜麻色のロングヘアの女性が教室に入ってきた。女性は手にファイルや教科書を持っており、柔らかな雰囲気を身にまとっていた。
「たま先生おはようー-!」
「玉城先生おはようございます」
生徒も口々に挨拶をしており、玉城と呼ばれた先生が生徒たちから好かれていることが分かった。
美人であるもののその柔和な笑顔や話し方から、親近感や話しかけやすさを感じるので生徒に人気なのも納得だろう。というか俺も美人女教師大好きだ。前世の年齢を考えると、若い女子高生よりも玉城先生の方がストライクど真ん中なのである。
「はいみんなおはよう~。じゃあちょっと座ってね~」
こちらに一度視線を向けて先生はそう言った。そして全員が座ったのを確認して改めて口を開いた。
「交通事故でずっと来れていなかった瀧くんが、今日から来れるようになりました!
瀧くん、自己紹介してもらってもいい?」
うお、突然振られると心臓に悪いぞ。だが社会人経験三年。これぐらいは華麗にこなしてみせよう。
「はじめまして、瀧蓮司といいます。リハビリでずっと来れていませんでしたが、やっと学校に来ることができて嬉しいです。皆さんと仲良くなりたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。」
パチパチとクラスの人たちが拍手をしてくれる。
完璧だ・・・。この当たり障りなく丁寧に話すのは社会人必須スキルの一つである。
「あらあら、これはご丁寧に。じゃあみんな、瀧くんが困ってたりしたら助けてあげてね。これで今日のホームルーム終わり!良い一日を~」
玉城先生はそう締めると、手をひらひらとさせながら教室を出ていった。
そうしてクラスにざわめきが戻ると同時に、後ろから肩をぽんぽんとたたかれた。
「なあ、瀧くん・・でええ?今日からよろしくな」
黒の短髪に優しそうな関西弁で話しかけられた。
「あ、ああもちろん!よろしく!名前聞いてもいいかな」
「オレは近藤修斗。修斗って呼んでくれてええで!」
「修斗ね、わかった。俺も蓮司って呼んでほしい」
近藤修斗。俺に初めて話しかけてくれた。いい人だ・・・。
それから授業まで修斗と雑談をしているとチャイムなって授業が始まった。
社会の授業だ。俺が今一番知りたいことでもあるのでより真剣に耳を傾けた。
「え~というわけで、現在の日本では既存の事業に魔法を組み込んでいく、MXが流行ですね。MX、Magical Transfomation、日本では魔法化なんても言われていますね。ただし、このMXには一定数反対する人もいます。何故でしょう。・・・え~そこの人」
「はい、魔法は女子しか使えないので男女格差がもっと広がってしまうからだと思います」
ボブカットの快活そうな女の子が答えた。
「そうですね。私たち女性は身体に魔力を宿しており、魔法を行使することが出来ますが、男性はできません。しかし世界連合の定めるように男女は平等で同等に扱わなければなりません。世界魔法機関も魔法による男女差別はなくしていくべきだと声明を出しています。そのため社会の魔法化は現在非常に議論されているトピックでもあるのです。」
はえ~、確かに魔法っていう圧倒的なアドバンテージがあれば男女格差は開いちゃうよなあ
俺も社会では「男のくせに!」とか言われながら花婿修行とかしなきゃならんのだろうか。うちのお父さんも主夫だし、どうせ養ってもらうなら玉城先生みたいな美人なお姉さんがいいなあ。
そんなこんなで授業が終わり、次の体育のために男子は別室で着替えなければならないようだ。
と、移動しようとすると、女子は何ら気にした様子無く周囲の友達と会話しながら、バッと服を脱ぎ始めた。
「も~まだ男子残ってるから出て行ってからにしてよ」
ある男子が着替え始めた女子にクレームを飛ばしながら教室を出ていった。そうか、貞操観念も逆転しているんだもんな。確かに前世では男子は上裸くらいなら全然気にしていなかったように思う。それがこの世界では女性に当てはまるなんて、なんて、なんてラッキーなんだ!
初めてみた女子高生の生着替えに興奮しつつそれを隠しながら教室を出ると。修斗が話しかけてきた。
「女子ってああいうとこあるよなあ。デリカシーがないっていうか、無神経っていうか。ほんまやめてほしいわ~」
「そう?俺は別にいいと思うけどな。女子ってそんなもんだろ。」
まるで女子をよく知っているかのようなふりをして努めてクールに答えた。
「え~蓮司けっこう経験あるん?真面目そうな雰囲気だしといてやるな~」
まあこの世界の女性と話したのは三か月しか経験ないんですけどね。
そんなこんなでゆっくり話していると予鈴がなり、俺たちは急いで体育館に向かった。
読んでいただいてありがとうございます。
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