飯食って倒れてそんで
ほぼ初投稿です。頑張って書きたいです
「昨夜23時ごろ、女性に人気のない路地で無理やり性的行為を行ったとして30代男性が逮捕されました。本人も容疑を認めており・・・・・・」
俺が朝ご飯を食べながらぼーっとテレビを見ていると、そんなニュースが流れていた。
まあそうだよな。いくら男性も性的被害を受けることがあるとか言っても、やっぱ身体的に力が劣る女の方がそういう被害は受けちゃうよなー。
神様は思わなかったのかね。こんな体のつくりにしたら男側が優位に立ちやすいってさ。
なんて益体もないことを考えると、ふとテレビの左上に表示されている時計が目に入った。
7:20
「やばっ!会社遅刻する!・・・・・・って昨日辞めたのか俺は」
すっかり習慣になった起きる時間に朝食、それにニュース番組。それらをいつも通り過ごしていた俺はつい、先日退職したばかりの会社に行くことを思ってしまった。
パワハラ上司に耐えかねての退職。
新卒で入社した会社は入る前はとても印象が良かった。制度は軒並み整っているし、給与はまあ普通。面接で話した人事や営業の人も優しかったし、内定式で出会った同期もいいやつばっかりだった。
しかし、配属されると俺は地獄に落ちた。俺の上司がとんでもないパワハラ野郎だったのだ。しかも上の人間からは覚えが良いタイプの厄介なヤツ。同じくその上司についた同期の女の子は半年でやめてしまった。俺は最初はできの悪い自分が悪いのだと頑張っていたが、一年たてばそんな気もそがれ、二年たてば言いなりに、三年目に差し掛かった矢先にプツンと糸が切れて、出社してそのまま辞表を出してやった。
そんなわけで24歳無職、貯金100万程度の俺が出来上がった。
「あー--、今日からどうしよっかなあ。なんか申請したら金もらえんのかなあ」
そう独り言を発しながらトイレに行こうとして立ち上がると突然全身に力が入らなくなった。
あれ、なんだこれ、やばい力は入らん。
え、どうすんの。そうだ、誰かに連絡、しな、きゃ、、、。
そのまま俺の意識は闇へと消えていった。
□□□
意識が浮上してまず感じたのは違和感。
俺の知ってるベッドじゃない。もっと固くて、それこそ病院のベッドみたいな・・・。
「先生、蓮司はちゃんと治るんでしょうか。」
男の声が聞こえる。蓮司?誰だそれは
「そうですね・・・。前にも説明したように今は何とか一命をとりとめた状態です。交通事故で運ばれた蓮司君はほぼ助からない状態でした。それが手術中に奇跡的に息をふき返し、今は何とか落ち着いています。ただ、あれだけの負傷でしたので意識は戻るかは正直、私にもわかりません。あとは蓮司君次第ですね・・・。」
回答したのは女の声だった。
そこまで聞いて異様に自分の体がダルいことに気が付いた。
なんだこれ、体が動かん。俺はいったいどうなったんだ。
目を開けるとそこには知らない天井と、わきに座る男性の姿が見えた。
「蓮司!?蓮司!!良かった気が付いたのか!」
こちらに気が付いた男が近づいてくる。
蓮司?俺のことか?
「あ、あ、、、う、、」
上手く声が出ない。というか全身に全然力が入らない。
「お父さん、蓮司くんは起きたばかりできっと声が出せないと思います。なにせ二週間も眠っていたのですから、全身の筋肉が衰えてしまっています。」
「おお、おお、そうですか・・・。いや蓮司、よく帰ってきてくれた。俺はうれしいぞ!」
女医の言葉を聞いて、お父さんと呼ばれた男性は興奮冷めやらぬまままた俺に話しかける。
だから誰なんだよ蓮司って、お父さんってこいつがか?俺の親父はもう六十代手前だぞ?ていうか顔が全然違うわ、、、、、、
声は出ないが心の声は加速していくままに、俺の意識は再び落ちていった。
再び目を覚ました俺は色々と検査を受けて、状況を察した。
これはあれだ転生ってやつだ。もしくは憑依でもいいかもしれん。
きっとあの時俺は死んで、同じく死んだであろうこの体に入っちまったんだな。
当然ながら父親と思しき男性も、あとから駆け付けた母親も記憶にないので記憶喪失という扱いになった。俺は春から高校一年生の子供で、今は3月らしい。ただリハビリが3か月はかかるそうなので学校には遅れての入学になるそうだ。
あとこの世界にはどうやら魔法が存在するらしい。かけつけた母親は空を飛んでいたし、担当の女医はカルテや検査道具を浮かせて、1人で多くの道具を操っていた。
ワクワクするな。俺にも使えるんだろうか。転生チートとかありませんか神様
まあ喫緊の課題としてこの世界についてもっと知らねばならないな。
なぜだろう、前世は死んだという意識でいるからなのか特に未練みたいなものは感じなかった。
あるいは転生したら勝手にそういう気持ちになるのだろうか。
そして俺は前向きな気持ちで三か月間のリハビリを進めた。
ありがとうございます。
評価いただけると嬉しいです。コメント、ブックマークしてもらえたら泣いて喜びます。