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いえ  作者: 経陽 然
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白い家

朝起きると、日差しが入ってくる。

窓を開けると小鳥の鳴き声が聞こえる。


ここは東京から約15分の神奈川県にあたる。


周りには、誰が住むのかわからない新しいマンションが建てられていく。


そんな中で微かに僕の家の周りには木々があり、所狭しと鳥たちが集まる。


例え自然豊かな環境ではないが、こんなふうに小鳥の声が聞こえるのは喜ばしい。


本当は、鶏を飼ってみたいものだが、流石にマンションに囲まれた住宅街でそんな事は出来ない。


僕は、鍋に水を入れた。800ccの水に熱を加える。

そして、だしの素を小さじ3入れてから、塩蔵ワカメを水で戻す。


この塩蔵ワカメは三浦半島産のワカメだ。


東京湾は、実はワカメのメッカであり、皮に囲まれた湾奥で富栄養であることから、ワカメがよく育つのだ。


とても柔らかく歯ざわりの良いワカメを細かく刻む。


次に、豆腐をサイコロより一回り小さくする。

僕は豆腐を切るのが好きだ。


柔らかく、力を入れすぎると、自らの手も切ってしまう。

そのリスクを取りながら、綺麗に正方形に切れたときは、とても気持ちがいい。


まぁ、大体は失敗して、長方形になってしまうのだが。



切ったワカメと豆腐を、入れて沸騰前に味噌を大さじ二杯溶かして完成だ。



味噌汁の香りが、部屋に広がれば、朝の空間は作られる。


『うん、気持ちがいい朝だ』


次に、先日釣ってきた東京湾のアジの干物。


ワカメ同様、東京湾、特に横浜周辺の湾奥アジは脂が乗っていて美味い。


本来アジは青物で、回遊する魚だ。


それが東京湾では富栄養で餌となるプランクトンが多くいるため、本来回遊魚であるアジが居着いてメタボになる。


すると、黄金に輝く事から金アジと呼ばれている。


こいつの干物がまた美味い。


魚グリルに入れて、12分のタイマーをセットする。


僕は、刺身も好きだが、基本的には火を通した方が美味しく感じる。


そして、野菜庫から湘南大根を取り出して15cm程にカットしておろし器で大根おろしを作る。アジの干物は大根おろしで二度化けるのだ。


それから、作り置きしたきゅうりの浅漬と、きんぴらごぼうを小皿に盛る。


この辺は週末に安い野菜で常備野菜を作っている。

それがあるだけで、朝の食卓が豪華になる。


後はお好みで、味付け海苔と梅干しを取れるようにしておく。



さぁ、子供たちを起こしに行こう。



朝の日差しが、家の中に入る。



僕はこの空間が好きだ。


ずっと続けば良いと思う反面、どこかでこの幸せが去る日が来ることをわかっている。


ただ、今日という日を噛み締めて。

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