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ライトハウス  作者: 北浦
第一章 パルス(8月15日~16日)
8/9

7話

時刻は12時を回り、ついに代行バスが駅前のロータリーに到着することになった。第一便は身障者、子供連れ、妊婦等の人が優先的に乗車し、僕は第三便に乗ることになった。


「一日間だけでしたけれどもお世話になりました。」


「礼には及ばないでごわす。こんな異常事態、支えあい 助け合いが肝心でごわす」

斎藤さんは最後まで残って作業をするらしい。僕が手伝いましょうかと聞いたら、

「きっと少年の家族が心配しているでごわすよ。ここはわっちゃに任せるでごわす。」

………

まぁ言ってることに間違いはないし、このまま残って足手まといになるくらいならということで先に行くことにした。彼なら大抵のことは僕よりうまくできそうだし。


ついに第三便のバスが来たとアナウンスがあった。斎藤さんにもう一回礼を交わしロータリーに向かう。改札に向かう階段を下りているとき、ふと、僕は今の世界はSFみたいだと思った。昔の人からすれば、暗闇をも優しく照らしてくれる電気があり、どんなに遠くてもコンマ何秒で思いを届けられるSNSがあり、昔は1か月以上をかけての大移動だった距離をわずか2~3時間で運んでくれる新幹線がある。そんな世界は昔の人から見たらSFの世界なのではないか?そしてそれらのSFが失われようとする(事実失われた)世界というのも実にSFっぽい。だから人々の考えるSFはその人からしての未来の予知をしていることと同じではないのか?だったら今僕が考えるSFは何だろうか……

そんなことを考えていたらロータリーについてしまった。とりあえず今この状況では、僕はあるかもわからない未来を予測するよりも今、この日々に集中して駆け抜けることが大切だ。ある程度元の生活に戻れたらゆっくりと考えればいい。


バスはほぼ満員の乗客を乗せて東苑に向けて発車した。電気が通ってないから当然だか信号は一つもついていない。道路沿いのガソリンスタンドでは燃料を求めて車の長蛇の列ができている。ガソリンスタンドの職員もとっても大変そうだ。そんな景色を見ていると、結局のところ、この災害で楽な人はほぼ誰もいないんだなと痛感する。それこそ変わらないのは草木位のものなんだなと感じることができた。そんなことを考えながら、当然新幹線よりは時間はかかるがそれでも昔に比べれば何十倍も早く着くことができる代行バスは1日前に着く予定だった目的地の東苑のバスターミナルに到着したのだった。

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