3話 敗北
「撃ち方始め」
「撃ち方始め」
この感覚がたまらない。俺の一声で数百の命が飛ぶ。この全能感が半端なく好きだ。
肝に響くほどの爆音が大地を這う。その後ろから続く自軍の悲鳴と血の匂い…?自軍の悲鳴と血の匂いだと。
「何が起きた!」
肝が潰れるほどの大音量が我が体を包んだ。
「今度なんだ!」
「殿、我が部隊の弾薬庫が誘爆しました」
「はぁ?今なんと言った!」
「ですから、我が部隊の弾薬庫が誘爆しました!」
「誠か?」
「はい」
ありえん敵部隊もこの火縄銃2型を持っているだと
「敵部隊の2型は何問だ!」
「調査中です」
「クソ使えん」
今の攻撃で何問大破した?弾薬は何発分残ってる?だが不思議だ敵部隊のに2型のような物は見えなかった。ならばなんだ?敵は我々が混乱している今なぜ攻めてこないんだ?攻めれない理由は何だ?まて、我々が攻め込んでいるならば敵が先にこの地についていたに違いない。
「読めた!」
「あのぉ、殿突然叫んでどうしましたか?」
「読めたんだ!敵のカラクリが。敵は我々が開発中の地雷を設置したに違いない。2発目の砲撃の際の振動が地雷を作動させたに違いない。」
「ならば殿なぜ1発目の時に起動しなかったんですか?」
「それは振動の波形が違うから信管が上手く作動しなかったんだ」
「なるほどでは敵は我々が馬や鹿のように突っ込んでくると思っていたのですね。危うく全滅するところでした」
「馬や鹿のようにという言い回しが気になるところだがここは撤退する必要がある。全軍に通達即時撤退せよ」
「了解、全軍撤退」
「工作兵が無事に帰ってきたことから数はそこまであるわけではないだろう」
「増田氏にも通達、地雷原の存在を確認我々は即刻撤退する。貴官にも幸運の御加護があらんことを」
こちらに向かって複数の足音が聞こえ来た。誰かを読んだ覚えはないんだけどな。つい癖で腰の刀に手が出るのは仕方がないだろう
「貴様は誰だ」
「第2観測班班長田中です」
味方か驚かせやがって。刀をつかむ手が次第に緩くなる。
「何用だ」
「敵軍を双眼鏡で観測していた際に敵軍の大将と思わしき人物と目があいました。悔しくって悔しくって」
「まず落ち着け、何があった?」
「すいません、大将は我々に笑顔を見せながらこっちに向かって人差し指を折ったり伸ばしたりされました」
「つまり自軍が損害を受けているの見て笑いなおかつ挑発したということか」
「今すぐ全軍で突っ込んで敵大将の目に物見せようではないですか」
「阿保かこれは敵の策略だとわからぬか」
「すいません、部下がやられたのでついかっとしてしまいました」
「誰にでも頭に血ちが登ることもある。だが貴様の部下はどうして死んだんだ?」
「我が部隊が隠れていた木の真下が突然爆発しました。その際土田と伊東が爆発に呑まれました。あいつらはとても心優しく、いつも他の人から絶大な支持を得ていました。そして帰ったら結婚するんだと夜中に何回も言っていたのです。」
「必ず仇を取るだが今がその時ではない。あいつらの分も生きないとだな。隊長としてな」
死亡フラグを立てないように注意喚起したはずなんだけどな。