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一本道

作者: 風詩

辺り一面桜色の道を歩いていた。


そこは並木道によって示された長い一本道で、終わりはない。


僕はただそこを歩き続けた。



「どのくらい歩いているの?」



道の途中でウグイスに聞かれた。



―さあ?忘れてしまったよ



そう答えるとウグイスは言った。



「変なヒトだね」




しばらく歩くと、キツネに出会った。



「そんなに歩いて疲れないの?」



と、キツネは聞いた。



―さあ…忘れてしまったよ



「冷たいヒトだね」




またしばらく歩くと、今度はネコに会った。



「何のために歩いているの?」



ネコはそう聞いた。



―さあ?……忘れて、しまったよ



「本当に生きているの?」




それからもたくさんの動物に出会った。そして、様々な事を聞かれた。でも僕は、とりわけ気にもしなかったし、なんとなくただ、この道を歩き続ければいいと思っていた。



でも、一つだけ気になる事がある。

最後に出会った、僕によく似た動物に聞かれた言葉。何故かはわからないけど、ひどく悲しそうな目で僕を見ていた。



「あなた、本当にヒトなの?」



それでも一本道は果てしなく続く。僕もたぶん気付いている。この道の先に、幸福に満ちた終わりなどないと。


この道の終焉は、深い闇と悠久の孤独がぽっかりと口を開けて待っている、そんな終わり。



―わかっているよ



それでも、僕は歩くしかなかった。示された、ただ長い、目の前の桜色の道を。



振り返ってしまったら、この美しい道も、今まで歩いてきた道も、全て消えてしまうとわかっていたから。




だから、僕は歩くんだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] いい話でした。 一本道が人生で終わりはわかっている そんな所がいいですね。 でも桜並木にする必要があったのでしょうか? それと、なぜ振り返ったらダメなんでしょうか? そこだけ気になりまし…
[一言] なぜ歩き続けるかという明瞭性に欠けている気がします。現在を含む過去までは桜色。これはハッピーな象徴ですよね。という事はそれを踏まえて未来がある事を暗示したほうが、読後感を強める良い効果がある…
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