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スキルの名前はわかったが、詳細は不明であるとのことだった。
「とにかく、魔物と戦ったりしているうちにわかるんじゃない?」
マリエルは、すっかりラフな感じの話し方になっていた。
「王女様…!」
魔術師の男がそう言うと、マリエルは少し背筋をピクッと伸ばし、「コホンっ!」と咳き込んだ。
「とにかく、未発見スキルということは、必ずすごいスキルのはずです!!期待していますよ!!」
俺は、城門から外に出ながら、マリエルの言葉を頭の中で思い出していた。
「召喚術師も冒険者登録できるし、魔物討伐が可能なのか…!」
そう、俺は城を出た後、すぐに冒険者ギルドを尋ねていた。
王女様からの推薦状がギルドに届いていたこともあり、手続きはスムーズであった。
「あの…、召喚術師で冒険者の方って、他にいるのでしょうか?」
俺が受け付けの女の人にそう聞くと、
「まぁ、数は多くありませんが、いますよ!戦闘に特化した精霊と契約している人もいるし、後方支援として回復の役割を担う精霊と契約している人もいます!」
受付嬢は、ていねいに答えてくれた。
なるほど。召喚術師は精霊と契約して戦うけれど、契約した精霊に応じてパーティーでの役割も変わってくるということなんだな。
召喚術師が何をどのように召喚するのかについては、魔術師の男から話を聞いたので理解している。
城門から暫く歩いた森の中で、俺は試してみることにした。
「確か…こうだよな。」
俺は片膝と片手を地面に着き、もう一方の手を天に掲げるような姿勢になり、呪文を唱える。
「地に住まう荘厳なる精霊よ。天に住まう気高き精霊よ。我の声に答えよ。精霊召喚!」
「…!!」
何も起きないぞ…。
その後、何度も呪文を繰り返した俺だが、精霊が召喚される気配は全くなかった。
「地に住まう、天に住まう、精霊召喚!」
「おかしいな…。」
もう何度も繰り返すうちに呪文を省略するようにもなってしまった。
これじゃあいくらやっても精霊は召喚できないよな…。
んー困った。
魔術師が嘘をついていたのか、もしくは俺の聞き間違えなのか?
「ざわっ…!」
そんなことを考えていたら、目の前の草むらから一匹の魔物が現れた。
赤い色のスライムだ。
スライムはこちらの様子を伺っているようで、すぐには攻撃してこない。
一応、武具や防具は王女からもらった補助金で整えはしたが…。
精霊を召喚していない状態で戦うのは、どうなのだろう…か!?
赤いスライムは、前触れもなく飛びかかってきた!
俺は避けられないと思い、構えていた盾で攻撃を防ごうとした。
「べちっ!」
張り手をしたときの音と同じ音が鳴った。
赤いスライムは、垂れるように盾から地面に流れる。
今だ!
俺は身につけた剣を上から突き刺した。
「ぴぎっ…!」
赤いスライムは動かなくなり、やがて水たまりと化した。
ピキッ!
頭の中で声が響く。
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「条件は満たされました。スキル、召喚術を発動しますか?」
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「は?」
今のタイミングで条件が満たされた?
呪文を何度唱えても無理だったのに?
もしかして、魔物を倒したりして経験値を得てからじゃないと、精霊召喚はできないということだったのではなかろうか?
「なんだよ。やっぱり魔術師の男の人が説明不足だったのか!」
俺は少しため息をついた後に、承諾した。
「召喚する!」
そう一言、言い放つと周囲が光で満たされた。
眩しい光の中でうごめくもの。
赤い体の精霊。
これが俺の精霊か…!
手を伸ばして触れてみる。
「ぷにっ!」
ん!!なんと言う触り心地!!
まるでスライムのような体じゃあないか…!
光が消え、俺の触っていたものの全体像が明らかになる。
それは、間違いなく倒したはずの赤いスライムだった…。
「えーーー!なんでーー!?」
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レッドスライムの召喚完了
名称 レッドスライム level1
ステータス HP5 ATK3 DIF 2 SPD1
スキル なし
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なんで、魔物を召喚したの、俺…。