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プロローグ
きかせておくれ
かなしき恋のエピソード
かたりましょう
いとしき愛のストーリー
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童話や伝承の世界では、ヒトとヒトに非ざるものとのあいだに生まれた子は、忌み嫌われる存在であることが多い。
ラミアーしかり、ミーノータウロスしかり、神話における半人半獣の生き物は、退治されるべきものという役割を与えられている。
これは、多数派であるヒトが自分と仲間を守るため、得体の知れない少数派を排除しようとする意識に他ならない。
では、ここで発想を飛躍させ、半人半獣の生き物が多数派を占める異世界について考えてみよう。
舞台は、大きく分けて三つ。人狼族が住まう森、人魚族が住まう海、そして、その狭間に取り残された小さな湖。
まずは、先に挙げた二つの舞台の話から始めよう。