4話目! ギルドマスター視点
とてつもなく危険な依頼をA級に上がったばかりの少女に押し付けてしまったことを後悔する。
一泊する余裕が無いからと日帰りの予定だったのに返ってこないのだ。
月の薬草なんてこの森ではなくとも手に入る。希少ではあるがわざわざここで取るメリットなんて輸送費がかからないだけだ。そうだというのに貴族の小僧がポーション作成やってみたいからとそれだけで独断で依頼を出してしまった。
本来そんな依頼は断ればいいのだが貴族の小僧は親の権力を持ち出してギルド職員を脅した。
小僧の親は今この街にはいない。いないからこそ小僧が調子に乗ったのだ。
親が帰ってくれば解決するはずだがリーシャがその依頼を受けてしまったのだ。
やらなくてもいい、危険だと伝えてもS級目指すためにこれくらいこなせるようになるんだ、と行ってしまった。
そして森に行った日に帰ってこなかった。
貴族の親が帰ってきて事情を聞きギルドに謝罪しに来た。が、リーシャは帰ってきてない。
そのことに貴族は何度も謝罪し今後同じようなことがないようにしっかり教育することを誓う。
その日の夜酒に逃げた。
他の職員に慰められつつ飲み続け気が付けば寝ていた。
店主に部屋を貸してもらったらしく迷惑をかけてしまった。
暗い気持ちでギルドに向かう。一人いなくなったところで仕事はなくならない。
反省しつつ二度とこんな事件を起こさせないと決意する。
そして決意したその日の夕方。
リーシャが帰ってきた。その情報を疑った。
死の森は相当な準備をしないと一泊なんて絶対に不可能だからだ。
だがリーシャは月の薬草をもって帰ってきた。
リーシャからいきさつを聞いてるが人がいたことに驚く。
持って帰ってきたものをみて実力は足りてたのかと思いS級を進めるがもらったものらしい。
そんな実力者の情報をリーシャが聞いてくるが分かるはずもない。
容姿の情報を聞いて隣町でおっさんと呼ばれるB級の冒険者が頭に浮かぶ。
B級だが実力はS級以上と言われているおっさんで有用なスキルがないからB級で止まってるだけの冒険者がいると聞かされたことがある。
B級のクエストだと偽りS級のクエストをちょいちょい回したりするがあっさり達成してくるおっさんらしい。
作り話だと思ってたが実話なのかと思い隣町に連絡を送る。
するとおっさんは既に冒険者をやめているらしい。そしてS級の依頼ではなくSS級の龍も単独撃破済みだという。
龍なんて偽れるものではないと思うがどうやってそんな依頼を押し付けたのかと問えば
でかい蛇が出たから倒してきてとさらっと伝えたらしい。
そんな依頼の押し付け方に驚愕する。依頼書すら見せてないそうだ。
そんな状況でなぜそのおっさんは蛇もとい龍の討伐を行ったのかと。
それほどの実力があるなら有用スキルがなくともA級以上にすればいんじゃないかと聞くが
有用スキルを持ってない冒険者はC級までにしかなれないのを思い出す。
一つのギルドのギルドマスターの推薦があればB級。
二つのギルドの推薦でA級
四つのギルドの推薦でS級
そんな制約があったと聞いてから思い出す
一つのギルドで、できることはしていたのだと思うが他の街に派遣させればよかったんじゃと聞く
しかしおっさんは自分で受ける依頼は安全第一なものだけでギルドが施錠しないと上位の依頼を受けないから他のギルドでは推薦されることがなかったらしい。
とりあえずリーシャが経験した話を隣町のギルドマスターに伝えると冒険者時代には持ってないはずのスキルを使ってるらしい。
というのもそのおっさんは幸運というスキルしか持っていなかったらしく冒険者をやめてから、もしくはやめるきっかけとしてスキルが手に入ったのだろう。
それ以上は何も分からないまま対談は終わった。