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人の気持ちが分かるようになったら辛すぎて生きていけなくなる

「ねえ、ちょっと付き合ってくんない?」

 病院を出てから、駅に向かう橘と別れたところで、安曇が俺を誘ってきた。

 今日、この後別に予定もないし、それに安曇には俺から言って胡桃の勉強に付き合ってもらっているので、彼女から頼まれたのであったのでは俺も断り様がなかった。


「どっか行きたい場所でもあるのか?」

「うん。病院の近くに大きな本屋さんあるの知ってるでしょ。そこ行きたいの」

 

 病院の近くの本屋と言うと、胡桃と橘、安曇の三人が初めて会った場所でもある。


「……別に行くのは構わないんだが、俺がついて行ってなんかお前にいいことあんのか?」

「えっとね、ちょっと英語の本、選ぶの手伝ってほしいかなって」

「……なるほど」

 先程の橘先生の授業を受けて、さすがの安曇も危機感を持ったらしい。腐っても神高生、勉強の憂いを残しておくのは忍びないのだろう。


「じゃ、行くか」

 俺は自転車のハンドルを切って、本屋の方向へと歩き出した。

「うん!」

 と安曇が元気よく返事をして、先に歩き出した俺の後を、同様に自転車を引きながらついてくる。

   

 自転車を本屋の前に停め、荷物を持って入口へと向かう。

「どういう本を買いたいんだ?」

 歩きながら、彼女の目的の本がどいう言った種類のものなのか尋ねてみる。

「え? 英語の本だけど?」

 安曇はきょとんとした表情を見せた。俺が記憶障害にでもなったのかと思ったのだろうか。


「いや、だから、英語の本って言っても、いろいろあるだろ。単語とか、文法とか、リスニングとか」

 俺が再度尋ねれば、安曇は人差し指で自身の頬をぷにぷにさせながら

「あー、えっと、なんか、さっき美幸ちゃんが胡桃ちゃんに教えていた感じの奴が欲しいんだけど。単語とか文法のは学校のがあるし」

「つーと、英文解釈ってことだな」

「何それ?」

「おいしくはないぞ」

「……は?」

「……いや、なんでもない」

 こういうところがオタクっぽいって言われる原因ですね。自重します。


「……英文解釈って何?」

 ニューワードに戸惑いを覚えている安曇さんに丁寧に教えてあげる。

「だから、橘がさっき胡桃に教えていたようなやつ。ざっくり言うと、橘が言っていたようにSVOCMを見抜けるようにすることだな」

「……うーん。でもなんかやっぱり違和感あるんだよね」

「というと?」

「英文解釈? っていうの、勉強した方がいい気がするのは確かなんだけど、でも、ネイティブの人とか、絶対Sがどうとか、Vがどうとか考えてないでしょう。単語と熟語覚えたらそれでいい気もするんだけどなあ」

「……お前は、橘が胡桃にした丁寧な導入をもう忘れたのか?」

「いや、だから、まだ半信半疑と言うか……」


 学習者の姿勢として疑り深いのは別に悪いことじゃないとは思うが、疑いすぎて前に進めないのも問題である。

 俺は橘とは別の観点から説得を試みることにした。

「……じゃあ聞くけど日本語で『俺はお前が好きだ』って言われたらどうだ?」

 安曇は俺の言葉を聞き、嫌悪感をあらわに

「……え、困る」

 と吐き捨てた。

 ちょっと安曇さん、本気でドン引きしないでね。

「いや、そうじゃなくて。主語がどれで、述語がどれで、目的語がどれっていうのは考えたらすぐわかるだろ」

「……いや、まあそうだけど」

「日本人が日本語を使う時は、いちいち主語述語なんて気にしちゃいないが、でもいざ説明しろと言われたらちゃんと分かる」

「そうかなあ? まるもんが思っている以上に、義務教育のレベルに達していない人、いっぱいると思うよ?」

「……いや、外国語勉強しようってやつが母国語を満足に使えないなんてことがあるわ──」

「普通にあると思う」

 安曇はぴしゃりと言ってのけた。

「……安曇さん、時たまシビアだよね」

「そうかな? 普通だと思う」


「とにかく、高等教育を受けようって人間なら、母国語の文構造くらいは分かるだろう。いや、分かるはず!」

 とある国の大学では、分数の計算から教えているなんて都市伝説がまことしやかにささやかれているが、都市伝説は都市伝説。そんな大学も、国も存在していいはずがない。そんなものはない。あったとしても俺が認めない。

「高等教育っていうのがどこからそうなのかって問題があると思うけど」

 安曇さんが何か言っているが、高等教育は高等教育。大学は大学。この国の大学生はみな高等教育を受けているはず。それは厳密なものである。


 俺は咳払いをして、話を元に戻した。

「つまりだな、構文の知識が無意識であっても頭に染み込んでいるから、文章の意味を理解でき、また自分で作文することが出来るのだ。要するに外国語を学ぶときでも文構造の理解が土台にあるべきだという事だ」

「うーん。なるほど」

 安曇は首をひねりながら腕を組んでいる。


「……まあ、あれだ。母国語は十年以上の年月をかけてちょっとずつできるようになるが、外国語の勉強にそれだけ時間を割くのは到底不可能だから、先に意識的に土台を完成させるっていうことだな。どうだ、納得したか?」

「うーん。分かった」

「とりあえず、入ろうぜ」

 一応納得してくれたようなので、親指で店の入り口を指し、安曇にそう促した。

「うん」


 この本屋は比較的新しく、また本の数も充実しているので、休日とあればそこそこ多くの市民で賑わうことになる。高校からも近いので、以前、橘と安曇に会ったように知り合いに出くわす可能性もあるわけで、私服姿で同級生と二人きり、と言う場面を高校の知り合いに見られる可能性は捨てきれない。それはどうも具合が悪い。

 そう思って、安曇から少し離れて後ろを歩いていたのだが、彼女が振り返って立ち止まり

「何してるの? 早く来なよ」

 と俺を急かそうとする。


「……あんまひっついてると、誰かに見られた時嫌だろ」

 安曇は曖昧に笑って

「……私は、気にしないけどなあ」

「俺が気にすんだよ」

 ほら、こういうのを見られると誰かさんに「あら、花丸くんったら、真昼間から女の子を(はべ)らせていいご身分じゃない」と冷ややかな視線を向けられるだろう。橘ボイスで脳内再生されるのは、今まで何度も似たシチュエーションがあったから。他意はない。大体、今回にせよ、前に萌菜先輩とアフタヌーンティーをしていた時にせよ、俺から誘ったわけじゃないからね? それに真昼間からってなんだよ? 真夜中だったとしても、お前おんなじこと言うだろ、絶対。

 と俺がすっかり俺の脳内に住み着いてしまったヴァーチャル橘(programmed by 俺)に反論していたら、冷めた声が飛んでくる。

「気にしすぎだよ」

 安曇はいかなる事態にも対応するべく鍛え抜かれた俺の千里眼を目にし、眉尻を下げていた。


「……他のやつはともかく、橘が見たら色々言ってきそうだろ」


 安曇は手櫛で髪をかきあげるような仕草をして、流し目でこちらを見てきた。

「……気になるの?」


「……いや、まあ、あいつの言うこといちいち気にするのは馬鹿だって言うのは、確かにそのとおりなんだが」

 問題なのは無視できないというのが最大の難点として横たわっている点。

 

 でも、既に家に向かった橘に会うはずはなかったので、それが杞憂なのは間違いないか。

 浮かんだ雑念を振り払って俺は歩き出した。ところが今度は、安曇が何か考え込むような、思いつめた表情をしてその場に立ち止まってしまった。


「どした?」

 俺が声をかければハッと気づいたように

「あ、うん、ごめん」

 とたったと近くまで駆け寄ってきた。


   *


「これを後ろの黒板に貼っておくので各自名前を書き込んでおいてください」

 教室で前に立った修学旅行委員は最後にそう言って席に戻った。

 彼が説明していたのは修学旅行中の部屋割りと移動時の席についてだ。高校生にもなってグループ決めに時間を割くことは流石に不適切と思ったのか、各々適当に決めて名前を書き込めという方式を取るらしい。

 俺的には実に良い。これは最後まで埋まるのを待ってから、「ああいつの間にかここまで埋まっちゃったのか。もう一つしか残ってないな。仕方ないここにしよう」という(てい)でなんの気兼ねもなく自分の席を決めることができる。俺の隣に来るやつはどうせボッチで、すなわち俺の同類だから、お互い様ということで許してもらえるだろう。

 もしこれが今まで幾度となく開かれてきたグループ決めという名の、公開処刑であったりなんかしたら、既に傷ついて疲弊している俺のハートが持たなかった。

 最初はみんなワイワイ楽しそうに決めている。いつだってそうだった。それでも最終的には「逸れ者」つまりは花丸元気をどこのグループに入れてあげるか、いや押しつけるか、という展開に落ち着くのが常だったのだ。

 学級会の開始時には「自分たちで話し合って決めなさい」と言っていた教師が、最終的に「どうして花丸くんを仲間外れにするんだ! 君たちはクラスメートだろ!」と出動してきたことは一度や二度ではない。そして怒って教室を出ていった教師を皆で職員室まで呼びに行き、教室に戻ってから「先生はとても悲しいです」という、定型句から始まるお説教を受けるのがお決まりのパターン。それがなきゃ遠足や修学旅行が始まらないまである。俺のせいで教師にクラス全員が怒られるという状況ほど肩身の狭い思いをすることは今までなかった。あとやっぱり悲しむべきはどう考えても教師じゃなくて俺だと思う。

 一度なんかは見かねた女子の委員長が、慈悲を(たた)えた表情を以て「うちのグループ来る?」と女ばかりの班に混ぜられた事もあった。

 ……。


 ほんと、遠足とか修学旅行って楽しいよな。楽しすぎて涙が出てくるわ。


 朝のホームルームの時に貼られたその掲示は、五限目の授業が終わる時には既にほとんどが埋まっていた。一日中、「どうする?」「私ここがいい!」「この四人で回ろうよ!」と男女ともにきゃいきゃい騒いでいたわけだが、俺の心は特に踊る事もなく、プリントが埋まっていく様を、しんしんとした深い森の中にある切り株くらいに静謐な気持ちで見守っていた。

 夕方のホームルームが終わってから、さて俺もそろそろ名前を書いておくかと、後ろの黒板に向かう。部屋割りは後一部屋を残し、新幹線とバスの席もほとんど埋まっている。

 部屋の方はもうどうしようと動かないから、残りの所に名前を書き込んだ。どうせ後の連中もぼっち組だろ。馴れ合うつもりはないが、ここでいがみ合っても醜いだけだ。さて、移動時の席はどうしようかと、そちらのプリントに目を移したところで

「うっひょー、残り一部屋だけじゃん!! ラッキー! 間に合ったぜ!」

 とどっかの坊主頭が、威勢よく俺の隣に滑り込んで、名前を書き込んだ。ラッキーも何も、最初から人数分用意されてるからね?


 それからわざとらしい声で

「あれれ!? もしかしてもしかして、花丸くんと同じ部屋!? フォー!! これは夜が楽しみだな!!」

「……ほんと勘弁してくれ」

 俺はそう言ってにやけ顔をしている外野の方を向いた。本当になんなんだこいつは。


 俺が苦々しく思っていたら

「お、外野と花丸が同じ部屋か。じゃ、俺もそこに入れてもらうぞ」

 そう言って、今度は各務原が俺と外野の間から手を伸ばして、部屋割りの紙に名前を書き込んだ。


「……お前ら、俺が書き込むの待ってただろ」

 と俺が呆れて言ったら

「べ、別にあんたなんかと一緒の部屋になんかなりたくなかったんだからねっ!! たまたま最後に書いて偶然一緒になっただけなんだからね! 勘違いしないでよね!」

 と外野が疎ましいことこの上ない。


「……そうかそうか。なあ各務原、他の部屋の奴に頼んで、外野と誰かトレードできないか相談しようぜ」

「おっ、ちょっ、まてい! やめろ、俺を売ろうとするな! お願いだ! なんでもするから、俺を一人にしないでくれ!」


 俺は本人の希望をかなえてやろうとしたというのに、各務原は俺を宥めるように

「まあまあ、花丸。いいじゃないか、修学旅行ぐらい」

 といった。

 修学旅行くらいって、いつもいつもこの坊主には迷惑を掛けられているんだが。


 どうにも人間関係の構築というのは、当人の思い通りにはできるものではないらしい。

 俺はため息をついて、せめて移動時くらいは静かにさせてほしいと思い、ペンを持って、鬱陶しさが服を着て歩いているようなこの男から、離れた席にしようとプリントをにらんだのだが、さざ波を立てないようにしたことが裏目に出たのか、既に逃げ場がほとんどなかった。

 俺がペンを持ったまま静止したのを見て

「ふっふっふ。どうした花丸。早く名前を書くがいい」

 外野は満足げな表情を浮かべている。


 開いている席は四つ。二席ずつ隣り合った席が二組残っている状況だ。そしてざっと目を通した限り、外野の名前はまだない。

 俺は助けを求めるように各務原を見たのだが

「悪い、他の奴と座ることにしたんだ」

 と各務原は申し訳なさそうに顔の前で片合掌した。


「諦めろ! お前は逃げられまい!」

 外野は満面の笑みを浮かべる。


 俺はその憎たらしい顔に向かって、

「……前から思ってたんだけど、お前、友達いないの?」

「はぅあ! そ、それはぬしとて同じかろうが!! そ、それに、我輩とぬしは幾星霜の時を共に歩もうと誓った仲ではないか! 我輩はぬしさえいれば他に何もいらんのだ! ぬしは我輩だけのものだ!!」

「ごめん。ちょっと何言ってるのかわかんないし、かなり気持ち悪いかな」

「よ、よいではないか! 俺とお前で傷をレロレロなめ合おうではないか!」

 

 ……まあ、俺の意思にかかわらず、こうなってしまっては、それ以外の選択肢もないのが事実なのだが。

 仕方ない。移動中はイヤホンを付けて、狸寝入りでもしておこうと、高校に入学してから、最大の敗北を受け入れる覚悟をしたところで


「もし、外野君。今、よろしいかしら?」

 クラスの女子の一人がそう言って、ちょいちょいと外野を手招きし、廊下の方へと引っ張っていった。

 

 大方何かやらかしたんだろうと、特に気に留めず、そのまま書きかけていた自分の名前を表に書き込む。

 そこで

「他に空いてないし、隣いいよね!」

 不意に現れた安曇がそう言って、ささっと俺の隣の席の所に彼女の名前を書き込んだ。


「……君何してんの?」

 俺は暴挙ともいえる行動に出た安曇をじっと見た。安曇はぺらぺらと

「いやあ、いつもつるんでいる子たちからあぶれちゃったからさ、他にしゃべる人いないし、しょうがないかなって」

 と理由を話し始める。

 こういうとき、いつもグループで組んでる子たちって、困ったりするよね。奇数人のグループだと安曇みたいにペアがうまく作れなかったり、それか仲良しグループじゃ人数が足りなくて、他の所から人員補充しようとして「へえA子そっちいくんだ。ふーん」とか相手グループから言われたり、逆にあぶれた子を他のグループにやったりとかいろいろあるよね。それから、「あれ私この子達といる方が自分らしくいられるかも」って、修学旅行から帰ってきたら元のグループに反旗を翻したり、「A子最近つれなくない?」って疎遠になった仲間を疎んじたりなんかして、……女子ってホント怖いな。傍から見ているだけで、気づくぐらいだから、実態はもっとひどいに違いない。俺、男の子でよかった。俺みたいな性格の女子がいたら確実にリンチに遭うからな。


「……女子って大変だな」

 と安曇さんの心中お察しする。

「ん? 何の話?」

 俺は答える代わりに肩をすくめた。


「……でも、わざわざ男の隣に来なくてもいいだろ」

「まあ、いいじゃん。他にいい人いないんだよ。バスはともかく新幹線はどうせ走り始めたら、席なんてぐちゃぐちゃになるよ。貸し切りって言ってたし。そう。修学旅行専用車だよ? すごくない?」

「いや、そうかもしれないけど」

 俺の名前と女子の名前が並んで書かれてあるという光景がしばらく後ろの黒板に表出しているというのは、何とも言い難いものだ。安曇さんはそういうところちゃんと分かって……。

 いや、分かってるからこそなのか。

 修学旅行の席決めで、もしある女子がクラスの人気の男子の隣になろうとしたらどうなるだろう。

 そう確実に「何よあの子、ちょっとかわいいからって、男子に色目なんて使っちゃって」みたいな陰口を叩かれる。つまりこれは安曇なりの処世術なのだ。色目を使う対象であるどころか、むしろ色物だから蔑視を向けるぐらいの男子だったら、女子の間でとやかく言われる事なんてないだろう。それどころか、「あんなボッチの相手してあげるなんて、梓ちゃん優しい!」みたいに評判をあげることすら可能だ。

 その意味なら、確かに俺は、ちょうど「いい」人であって、さらに言えば、どうでも「いい」人なのだ。

 ちょっと目にゴミが入ったから、手洗い場行こうかな。





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